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携帯キャリアを変えたら、ギガの減りが早くなった!?


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記事:豊田紘子(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「新しいSIMに変えてから、すぐギガがなくなるんだけど」
携帯キャリアを変えた翌日、夫は私にこう訴えた。
本人はきっと隠しているつもりだったと思うが、私にはひしひしとそのイライラオーラが伝わってきた。
 
一体、この人は何を訳のわからないことを言っているんだ……?
だって、いつもと同じ使い方をしているのに、携帯キャリアが変わっただけでギガ(データ通信量)の消費量が変わるわけがない。
もしそんな携帯キャリアがあったとしたら、問題ではないだろうか?
 
いつもだったら「そんなことありえないから」と一喝してしまう短気な私。
だが、当時の我が家は海外移住を来月に控えており、いつになく忙しなく、ピリピリとした空気感の中生活していた。
そのような状況下で、これ以上空気を悪くしたくない。
できるだけ穏便に、「そんなわけないよ、きっといつもと違う使い方をしているから、ギガが減っているだけだよ」ということを、なんとか理解してもらいたかった。
 
 
 
携帯キャリアを変えることになったのは、夫の異動で海外への移住が決まったからだった。
移住期間は2年。
2年後に日本に戻ることが決まっているのに、携帯電話番号が変わるのは面倒だなと思った。
ましてや、今はなにかとログインをするだけで、SMS認証をすることが多い。今使っている番号を解約してしまうと、そういった面でも面倒なことになる。
日本の携帯電話番号の保持、そしていざというときにSMSを受信できる状態にしておきたかった。
ただ、そのためだけに毎月数千円も払うのは、非常にもったいない。
そのような理由で、基本料無料の携帯キャリアに変更することになったわけである。
 
実は、このとんちんかんな訴えの前に、少し予兆があった。
「え〜なんかコレ使いづらいなぁ」
この契約プランは基本料が無料である代わりに、使用したいデータ通信量を、指定のアプリから事前に都度購入する仕組みになっている。
夫は、とにかくこういうことに疎い。
このような新しいアプリを使うことは、きっと夫にとってストレスになるとは想定していた。
想定内ではあったが、案の定、このような文句から始まったわけである。
 
「新しいものなんて、そんなものだよ。すぐ慣れるから大丈夫!」
ただ使いたい分のギガのボタンを1回タップして買うだけなんだけどな……と、いちいち文句を垂れる夫に少しモヤっとしたが、それを悟られないよう笑顔で答えた。
 
私だって、変えなくて済むものなら変えたくない。
ただ、携帯電話番号の保持が目的なのに、毎月数千円も払っていられない。
何がなんでも、夫には慣れてもらうしかない。慣れるまでは必死におだてるのみ。
「一家の家計のことなのに、なんで夫はそんなに他人事なんだ?」とも思ったが、グッと飲み込み、とにかく夫が慣れるまでは笑顔で対応することを決めた。
 
 
 
私の心の中では、実はこのような小さなモヤモヤを抱えていたのだった。
そんなときに言われたのが、冒頭の発言だ。
「そんなワケあるかぁ!」と、のどまで出かかった声をグッッッと堪えた。
 
冷静になれ、私……。
そんなワケあるかと一喝したところで、夫は実際そう感じているわけだから何も解決しない。
かと言って、私がそんなワケないという説明をしたところで、余計イライラさせてしまうだろう。
毎日夜遅くまで社内の移住手続きやら引継ぎやらで、夫も疲れている……。
よし、これはなんとか自分で原因に気づいてもらおう。それが一番納得してもらえるはずだ。
 
「えっ、マジ? そんなことある? えぇ〜なんでだ?」
……私にできた精一杯の返しがコレだった。
そんなワケあるかぁ! と思っていたが、「ギガ 減りが早い 〇〇(携帯キャリア名)」と調べたところ、意外と同じお悩みが出てきて驚いた。
確かに私もそんなワケはないとは思いつつも、じゃあなぜそのように感じてしまうのか、明確には答えられなかった。
しかし、それらの記事を読んでみると、多分これが原因なんだなというものが見えてきた。
 
「とりあえず私も調べてみたんだけどさ〜、なんかいくつか解決しそうな感じの記事があったから、さっき送っておいたよ。あとで見てみて」
夫よ、頼む。気づいてくれ。いつもと違う使い方をしているということを……。
 
 
 
しかし、私の願いも虚しく、次の日の夜もまた冒頭の発言を繰り返されてしまった。
「やっぱり減りが早いよ。なんなんだよコレ」
今度はイライラを隠すことすらせず、ストレートに私に訴えかけてきた。
「えぇ〜? 昨日送った記事、読んでみた?」
「いや、読んでない」
 
読んでない……? なぜ? あれだけイライラを私に訴えてきていたのに……?
思えばいつもこういうとき、「私が原因調べてみるから、ちょっとスマホ貸して」と言い、私が調べていた。
しかし夫も、自分のスマホをあまり触られたくないらしく、イヤイヤ私にスマホを渡していた。そんな風に渡される私だって、いい気分はしない。
 
よし、もう放置しよう。私は匙を投げた。
夫がいくらギガの減りが早いと不満を言おうが、日本にいるのも残り1ヶ月だ。
1ヶ月くらい自由に課金して、たくさんギガを使おうが構わない。
今一番大事なのは、これ以上家庭をピリついた空気感にしないことだ。
「あら。まあ、気になったら読んでみてよ」そう言い残し、その話題にはもう触れないことにした。
 
 
 
モヤモヤした気持ちは残っていたが、私も介入し過ぎだったのかもしれないと、ふと思った。
夫に調べてほしいと言われたら、調べれば良い話。
夫よりも自分の方がモヤモヤしてしまって、それで今までアレコレ手取り足取りやってしまっていたのかも、と気がついた。
夫だって、もう大の大人だ。苦手なことでも自分でなんとか解決しようとしていたのかもしれない。
少し前まで、モヤモヤした気持ちが残っていたけれど、そう考えたら今回はこれで話を終えたことがベストだったなと思えた。
 
 
 
次の日の夜、夫が仕事から帰宅し開口一番、「ギガの減りが早い理由がわかった」と報告してきた。
どうやら、写真を大量に整理をしていたことが原因だったらしい。
写真を読み込むにもデータ通信が発生するらしく、それでギガの消費が早かったということだった。
一件落着。家庭の空気感を悪化させることなく無事解決して、ホッとした。
これを機に、自分が介入して早く解決するのではなく、見守ることの大切さを私も学んだ。
 
 
 
実はまた後日、「かか(私)が新しいスマホに変えてから、俺のスマホの調子がおかしくなった」と、さらにトンチンカンな訴えをしてきた。
「そんなことあるワケないでしょ」
さすがにこのときばかりは即座に突き放してしまったが、夫もそんなことあるワケがないとそのうち理解してくれるだろうと、心穏やかな気持ちで突き放すことができた。
 
引継ぎのため、1週間ほど海外の新しい勤務先に行くことになった夫は、そのSIMカード1枚で海外でのデータ通信を乗り切ることができた。
今となっては、「新しいSIMカード、最高だ」と言わしめるほど手放せないものになっている。
 
 
 
 
***
 
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2024-04-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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