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遅咲き桜からの“メッセージ“


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記事:春澤 寛善(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「あれ? 今年の桜開花は少し遅いなぁ」
 
春の訪れを最大限に表現してくれる『桜の開花』は私にとって待ち遠しかった。
寒い時期が長く続いた後、ようやく暖かい日差しと風が吹きはじめ、
開花した桜は“峠越え”したような爽快さと、本格的な1年のはじまりを感じさせてくれるからだ。
 
前年の秋より葉が枯れて紅葉になり、
冬には全ての葉が散り、まるで骨組みのように枝だけの姿には哀愁が漂う。
年が明けると次第に蕾が育ちはじめ、新しいスタートへの期待感がある。
そして、春になれば桜が華やか咲き、人々の心を優しく癒やしながら魅了する。
これに終わらず、また夏になれば活き活きとした青葉が活力を感じさせてくれる。
このように四季折々の表情に趣があるのも、きっと桜の魅力なのだろう。
 
こうした桜の輪廻転生は季節によるもので、“時期がくれば変化するもの“と思っていた。
ただ、桜が咲く春だけは少し違う。
「早咲き」、「遅咲き」、「狂い咲き」というような現象が起きるのはきっと開花の時期だけだろう。
2024年春の桜は「遅咲き」だった。
なぜこの様な現象が起きたのだろうか。
 
遅咲きについてニュースでも取り上げられていたが、桜が咲く条件として大きく2つある。
それは2月1日から最高気温を累積したもので、日々の最高気温を足して合計600度を超えること。
もう一つは、“寒い時期をしっかりと経由しておかなければならない”ということで、
たとえば「ソメイヨシノは冬に2~12℃の間で800時間以上経過を要する」といった指標もあった。
今年は暖冬であったが、それが遅さ咲きの原因とされていた。
桜は冬の間には充分な低温刺激により“成長を止める”ことが必要だそうだ。
単に“暖かくなれば咲く”程度にしか思っていなかった私にとって、それは新鮮に感じた。
 
夏から秋に花芽を作り、
秋から冬にしっかりと休み、
冬の終わりに目覚め、
春に花が咲く。
 
どこか人生観に似たような感じがした。
“人生の光と影”
どことなくこれに似ている感覚だ。
表現はイマイチかもしれないが、私にはこのように置き換えられた。
 
何かを実現したい時、あるいはトラブルに遭遇した時、
早く解決したい、人からの支援が欲しいと思いがちだ。
そのため、うまく進まないときには焦燥感にかられ、頭が停滞して心に余裕が無くなることがある。
しかし、そんな時にこそ現実から逃げず、
何が足りなかったのか、どうすれば良いいのか、
時間をかけてでも現実から目を離さず見つめ直し、一つずつ解決するヒントを見つけることで、
次第に落ち着きを取り戻しはじめる。
そういった意味では、時として人にも“一定の時間”が必要な場面があるのではないか。
 
私にもそういう思い当たる節がある。
たとえば、クライアントとの交渉場面でベストを尽くしたはずが通用しない。逆に失望されることもあった。
周囲で心配してくれる方もいれば、一緒に落ち込む者もいた。
その後、クライアントと幾度か折衝を重ねても何かすれ違う感覚が拭えない。
“もうダメだ、あきらめていいだろう”
“いいや、ここでやめてはダメだ”
「ダメだ」×「ダメだ」と頭を巡る。
 
こんな時、お酒なんて何の薬にもならない。むしろ逆効果だ。
それは若き日に失敗を重ねてきたことで分かっている。
今では“夜風に吹かれる”ことが自分の儀式になっている。
夜風が自分を“無”の状態、つまりは感情が静まり“冷静な状態”にしてくれるのだ。
 
“そもそも俺は完璧ではない。きっと俺に原因があるはずだ”
“俺は何を目指して、どこへ向かっているのか?”
“その中で、クライアントに何をすることで意味をもたらせるのか?”
“足りてないことはやっぱりあるな”
こうした自答自問をしながら、自分のエラーやイメージギャップに気づき始める。
 
過去に問題解決できたポイントは、
自問自答に“じっくり”と時間をかけ、感じたこと“すべてが自分である”と受け止め、その答えと素直に向き合ったことだった。
それを正しく分解して解釈することが大事なのだが、
この“自分を省みること”が実は重労働になりがちで、
これをやれるか否かが分かれ目になると思っている。
 
盆栽作家で有名な小林國雄氏の言葉で、こんな一節がある。
「強風に晒されたり、水が無かったり、雷に打たれたり、そういう試練に遭ってこそ素晴らしい深みのある盆栽ができる。
人間も苦労して、苦労して苦労して、それを糧にしていくことで器量の大きな、味のある人間に成長していく。」
 
辛いときこそ歓迎しよう。
焦らず心と頭を休眠させよう。
寒い時期(辛く寂しい時期)にこそ自分と向き合える。
新たな自分に気づかせてくれた苦境に感謝しよう。
一日ずつ、一歩ずつ、前へ進もう。
自分の中で化学反応をさせるのだ。
 
苦難に対して真っ直ぐ向き合うことで人は成長し、
“笑顔という名の花”を見せるのだろう。
それが家族や仲間を笑顔にする。
 
そして、その笑顔が満開になった姿を見た人は魅了されて感動し、
その人が“我こそ”もと感化され、それが種として広がっていく。
美しい人生は輪廻を繰り返しながら至る所にあるのだ。
いろんな場所で桜が咲いているように。
 
今年の遅咲き桜が、私に何となくメッセージとも受け取れるような回顧をさせてくれた。
毎年ひらひら舞い散る花びらに“寂しさ”を感じていたが、今年は“喜び笑顔”に見えてきた。
今年の春は、いつもより力強く踏み出せそうだ。
 
 
 
 
***
 
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2024-04-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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