メディアグランプリ

200字を2000字にするということ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:小松原 啓加(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「校長先生のお話になるのはイヤだな……」
 
締め切りまであと12時間。せっかく淹れたコーヒーは、とっくの昔に冷めてしまった。
かつての学校生活での「恒例」の思い出が、焦る脳裏をふいによぎった。
 
4月から天狼院書店が開講しているライティング・ゼミに参加している。
4カ月間で8回の講義があり、毎週月曜までに書いた記事を提出すれば、編集部からの講評が受けられる任意の課題付きだ。その記事が一定のレベルと認められると、天狼院書店のWebサイトに掲載してもらえるという。
 
なるほど。全16回の掲載のチャンス、やってやろうじゃないか。
文章を書くのは好きだ。上手だと言われたこともある。
そのくらい朝飯前……と意気込むところだったが、一つ壁があった。文字数だ。
 
フィードバックを受けられる記事の文字数は、1800字以上、3000字未満。つまりおおよそ2000字。
わたしにとってこの2000文字というのは割と長い。日々習慣にしている日記のように書いていたら足りない。学生時代に趣味で書いていたブログでも、せいぜい一記事1000字程度だった。
 
さらに、どちらかといえば長文を要約する方が得意で、国語のテストでの「〇〇字以内でまとめよ」の問いは確実な得点源だった。
 
人に何かを説明するときも、できるだけ要点をまとめて簡潔に話すようにしている。冗長な話は全く記憶に残らないことを感じているからだ。
 
例えば、学校での校長先生のお話。始業式や終業式で全校生徒が体育館に集まる。最初は耳を傾けているが、5分も経つと自分も周りも虚ろな目で空を見つめるか、舟をこいで居眠りを始めるか。時に寒さや暑さも相まって漂う「早く終わらないかな」の空気。
 
校長先生のお話はその場から逃れようがないが、文章は飽きたらいつでも読むのをやめることができる。本を閉じる。ブラウザバックする。そこには残酷にも思える自由がある。
 
短く、わかりやすく、という自分のスタイルにおいて、2000字は気合を入れなければいけない相当な文字数だ。
わたしは200字で済むことを2000字にしようとして間延びし、だらだらと書いてしまうことを恐れていた。
 
「2000文字なんて余裕!」と思えるくらい濃く、語れるテーマが必要なんじゃないのか。誰もしたことがないようなインパクトのある経験についてなら、最後まで読んでもらえる可能性を高めるかもしれない。
 
頭の中で、これまでの人生に起こった波乱万丈そうな出来事を探し始める。
 
キーボードを打つ手が止まってどのくらい経っただろう。
 
「やめ、やめ。これじゃだめだ」
 
パソコンで新しいタブを開いた。「天狼院書店 メディアグランプリ」。検索。
 
そこには歴代のよく読まれた記事がランキング順に載っていた。何かヒントが隠れていないかと、目を引く記事をいくつか読んでみる。
 
「あれ」
 
ふと気付いたことがあった。
ランキング上位の記事たちは思わずクリックをして読みたくなるようなタイトルばかりだ。
しかし、読み進めていくと、宝くじが当たったとか、会社をクビになったとか、大それたことを書いているわけではなかった。意外にも内容はさほど驚くことではない。
 
“道を歩いてたらぬいぐるみが落ちているのを見つけて交番に届けた”
“近所のそば屋さんが閉店になるので最後に食べに行った”
 
そのくらいの誰にでもあるような、何気ない日常生活の出来事に焦点を当てている。
 
ただ、そこからが違った。
 
どの人も、感情を細かく描写するのが上手い。ある出来事に直面して、どのような経緯をたどり、どう感じたかを等身大に表現している。
 
文章に固さがなく、読者に向かって気軽におしゃべりをしている感じだ。こういう記事を書く人はラジオのパーソナリティーなんかも上手そうだなあとぼんやりと思う。
 
「文章に性格は出る」
 
そんな言葉を聞いたことがあるが、より詳しく言えば「文章に感受性は出る」なのかもしれない。いつだって心の動きは自分だけのもの。ささいなことでも、自分の解釈次第で他人に最後まで読みたいと思わせるコンテンツになる。
 
200字を2000字にすること。それはまず、日常への感度をあげるということ。
 
2000字でも20000字でも書ききることのできない毎日を表現すること。
 
わたしは昨日、どんな一日を過ごし、どんな文章を書いただろう。
 
わたしは明日、どんな一日を過ごし、どんな文章を書けるだろう。
 
「よし、やるか」
 
今日も生きて、書いていく。自分だけの言葉で、自分だけの文章を。
 
 
 
 
***
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

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2024-04-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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