メディアグランプリ

ビュッフェは食べ散らかすところではない


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記事:服部達哉(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「いろいろやってくれるのはいいけど、食べ散らかしてる感もあるよね」
 
 数年前、上司との業務振り返り面談時に言われたことだ。つまり、いろいろなテーマに携わっているのは良いとして、どれもまとまった成果になっていない、と、若干の皮肉も込めてのフィードバックのように感じた。
 
 なるほど、一理ある。自分としては興味のおもむくまま、頼まれるままにいろいろなテーマの仕事に首を突っ込んでいた。それを「食べ散らかす」、と表現するのはなかなかうまい。
 
思い返してみると、自分にはいろいろなことに手を出し過ぎてしまう傾向がある。まるでビュッフェのように、食べ放題のように、美味しそうなものにちょっとずつ手を出しては、また別のものに手を出す。
 
 学生時代は参考書マニアだった。あれがいい、これがいいと言われるとついつい買ってしまう。その結果、とても処理しきれないほどの参考書だけがたまっていた。それは今も変わっていない。専門書であろうとなかろうと、良いと言われるもの、自分が面白そうと思うものはとりあえず手元に置いておきたい。書籍だけでなく、あらゆるコンテンツについてもそうだ。同一テーマであれ、異なるテーマであれ、魅力的な宣伝文につられ次から次へと手を出してしまっている。
 
 趣味についてもそうだ。何か運動系の趣味をと始めてみたサイクリング、写真撮ってみたいとカメラを手に取り、同僚に誘われテニスを始めたのは、ダイエットがきっかけだった。テニス自体にハマると、テニスのために体幹トレーニングやボクササイズもやってみた。憧れのままにバイオリンを始め、一つの楽器だけでも大変なのが分かっているのにピアノにまで手を出してしまっている。楽器で身体を傷めないようにと身体の使い方と姿勢矯正にも手を出す。もちろん全ては続けられていない。ちょっと自分には合わないなと、サイクリングは止め、写真は続けたいながらかなりのスローペース気味だ。自分のテニスレベルを超えてできあがってしまった筋肉がバイオリンには邪魔になり、ジム通いは止めた。
 
 好奇心のおもむくまま、さまざまな選択肢を試してきた。手を出し過ぎて一つ一つのことが中途半端になってしまうのでは、という心配はもちろんある。また、時間管理の難しさもある。
 
 ただ、自分はこの「食べ散らかし」を「試食」ととらえてこれからも続けていきたい。多くのことに手を出すことでこそ自分に合ったものを見つけられる。やってみないことには分からないことだらけなのだ。仕事においては新しい視点やアイデアを得られ、自分の強みを見つけることにもつながる。
 
 これだけ多様な世の中だ。手を付けられるだけ手を付け試行回数を増やすことで、自分のスキルも多様化させうるのだ。そこで重要なのは優先順位の設定と時間管理だ。常にその時々での優先順位をアップデートし、その時に集中すべきことに集中する。優先順位付けされたタスクは時間管理によって効率的にやるべき時間と分量に配分する。自分にとって不要なことは自然とふるいにかけられていくので心配ないのだ。
 
ただし、食べ残しならぬやり残しが発生してしまっているのは問題だ。ビュッフェでは限られた時間内に、食べ残しなく自分の満足度を最大化したいわけだ。やりたいことが多過ぎる際にポイントとなることを、ビュッフェの楽しみ方として表現すると以下のようになるだろう。
1.「選択の楽しみ」
まずは興味のおもむくまま、いろいろなことに手を出そう。ビュッフェの料理のように、世の中には様々なことであふれかえっている。
2.「適量」
どれも中途半端になり、食べ残しが発生したり、取ったはいいが手も付けていない状態を防ぐために取り過ぎは厳禁。まずは「試食」的にこなせる量から始める。
3.「好みの発見」
いろいろ試すことで、自分にあったものが見つかり、自分が思いもよらなかった発見が得られる。まだ知らない自分の好みを発見できる可能性は大いにある。
4.「時間管理(配分)」
ビュッフェに制限時間があるように、1日に使える時間にも限りがある。様々なことに時間を使うのはいいが、使う時間は効率的に割り振る必要がある。
5.「優先順位」
時間配分だけでなく、食べる順番、やる順番にも意味がある。料理も食べる順番によって楽しみ方が変わるのだから、やることについても順番によって効率や生産性は異なる。優先順位を決めるべし。
6.「新たな出会い」
自分がやりたいこと、好きなことだけしてしまうと可能性をせばめてしまう。新しいメニューに挑戦するように、新しいことに挑戦することで自分のあらたな側面を発見できる。
7.「バランス」
バランスの良い食事が身体にいいように、バランスの良い経験をすることで自分のスキルセットもより良いものに仕上がっていく。
8.「楽しむ」
何よりビュッフェは楽しいもの。多様な経験そのものと、その過程を楽しむことが何よりの満足感を与える。
 
 上司は自分の「食べ散らかし」を気にしていたのではない。食べ残しが多いことを指摘してくれていたのだ。
 
 
 
 
***
 
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2024-05-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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