メディアグランプリ

目の前にきたチャンスをつかめ、そして大海へ漕ぎ出せ


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:岩井純子(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
大阪ミナミで、スナックを25年間も経営する人生が待っているなんて夢にも思っていなかった。
 
時代はバブル全盛期、20代前半は会社勤めをしながら、週3日ほどスナックでアルバイトをする浮かれた生活をしていました。
 
お酒を飲むのが好きだったこともあり、お小遣いがほしくて軽い気持ちで楽しく働いていたんです。
 
ところがバブルは終焉を迎え、時代は不景気の波にのみ込まれていきます。
 
勤めていた会社の経営が傾きだしたことをきっかに、自分の人生を考えなければならなくなりました。25歳のわたしは人生の岐路に立たざるを得なくなるのです。
 
昼間のお勤めに戻るにも、水商売で生きるにも若さが通用しなくなっていることを実感していましたから、どう生きていくかを考えなければならなくなり、悶々とした日々を過ごします。
 
 
当時、私は世間的にネガティブなイメージがあった水商売にどっぷりつかることに抵抗があり、会社勤めをしていることが自分を守る盾のように思っていました。
 
けれど、ふつうの事務職でしたから取りたてて専門性も持ち合わせていません。
かといって、水商売は人の入れ替わりが激しい業界、一生の仕事にするのは難しい。
 
四方八方をふさがれ、立ちすくむしかないような気もちでいました。
人生で一番苦しくあがいた時期だったように思います。
 
しかし、時は容赦なく過ぎていきます。
 
世間体を気にせずに自分の人生と向きあった結果、実力で勝負できる世界はやっぱり魅力がありました。
 
悩みぬいて、夜の世界を選び、
ただし、「30歳までにお店を持つこと」を目標とし、それができなければ、キッパリと足を洗うと覚悟を決めます。
 
目標を立てたと言っても、何をどうすればそこへたどりつけるのかわからず、日々の仕事を誠実にこなすことが精いっぱいです。
 
それでも仕事はやっぱり楽しくて、あっという間に一年が過ぎようとしたころ、常連Aさんから思わぬ話がありました。
 
「知り合いが店をやめるんだけど、やってみる気はないかい」とお声をかけていただいたんです。
 
目ん玉が飛び出るくらいびっくりしました。だってお店を出すことは無謀なチャレンジだと思っていましたから、だれにも言えず胸に秘めていたことだったから。
 
そこへそんな話が舞い込んできたわけですから、若い私には、チャンスがやってきたようにしか思えませんでした。
 
おもしろいもので、腹をくくった瞬間にモノゴトは、大きく動き出すことを経験しました。
いわゆる、引き寄せの法則みたいなことなんじゃないかな。
 
30歳をめどにしていましたから、予定より早く来たチャンスに戸惑いましたが、乗っからない手はありません。
 
常連Aさんに連れられて、そのお店を訪れます。そこはカウンター10席だけの小さなお店。
小柄で上品なママさんが格安で譲ってくださると言うのでやってみようと決意したのです。
 
 
私がスナックをオープンさせたのは、1993年4月のこと。
時代はバブルが崩壊して不景気の真っただ中。ミナミの街は空き店舗が増えて閑散としています。借り手がいなくて、保証金や家賃が安くなっていることだけがメリットの暗澹たる世界。
 
26歳の無謀なチャレンジを、私を応援してくださっていたお客様方、全員に反対されました。「こんな不景気な時に、やめときなさい。3ヶ月ももたないよ」と私を想ってこその大反対でした。
 
でも、私はこんなチャンスは、もうないような気がしてあきらめきれずにいた時、
母だけが「やってみたらいいやん! あかんかったらまた、その時に考えればいいんじゃないの」と背中を押してくれたのです。そしてお金も貸してくれました。
母の励ましとやさしさは大きな力となり、私に荒波に漕ぎ出す勇気をあたえてくれました。
 
 
当時の慣習で、独立するのに、お店のお客様にお声がけすることは禁じられていました。
ですから、私が懇意にしていたわずか17名のかたに自筆の案内状をかいたことが船出となります。
 
開店祝いなど、華やかなことのないスタートでしたが、うわさを聞きつけて反対していたお客様も足しげく通ってくださるようになりました。そして、たくさんのお客さまも紹介していただきました。
どれほど勇気づけられたことでしょう。感謝の気持ちがあふれ出して止まらない。
 
日々をがむしゃらに過ごし3ヶ月を経過できたことが、どれほど嬉しかったことか。どなたさまにも続かないと言われた期限をきりぬけられたことが 、1周年を迎えるよりも何十倍もうれしかったことを覚えています。
 
その後、いろんなことがありました。移転オープンを2回繰り返し、店も大きくできました。お客様に支えられながら積み重ねた25年。
 
あの時決断し、行動したことが大きな実りとなったことを、苦しみぬいた25歳のわたしに伝えてあげたい。
 
決断は、人の人生を大きく変えてくれます。怖くても不安でも前に進むしかない。答えはその先にあるのだから。
 
 
 
 
***
 
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2024-05-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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