メディアグランプリ

平和のためにできること


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記事:オオフチ マナミ (ライティング・ゼミ6月コース)
 
 

今年も8月がやってきた。
広島、長崎に原爆が投下された日。そして終戦記念日。
8月は過去の戦争の記憶を思いおこす季節で、お盆と相まって、何となくもの悲しさを感じる。
今年はオリンピックが行われている。オリンピックは「平和の祭典」と呼ばれているが、世界の情勢を見ると、心が苦しくなる。
 

この時期は、テレビや新聞など、戦争の話が取り上げられ、原爆や戦争の語り部の人たちの活動が紹介されたりする。
 

「多くの人は、戦争は愚かしいこと、平和が大切なことを知っている。でも、どうして人は戦争を繰り返してしまうのだろうか」
 

私は子供の頃から歴史やドキュメンタリーが好きだった。
私の育った地区では、8月の夏休みの登校日に、平和教育というものがあって、戦争について考える時間が設けられていた。
戦争の本や写真をよく見るようになった。
 

小学生の時に読んだ戦争に関連した本で、特に印象に残っている本が3冊ある。
ひとつは「はだしのゲン」
原爆の前の日常生活から、広島に原爆が落とされた時のこと、そして、その後その主人公の小学生の少年が、逞しく生きていく様子を描かれた漫画である。原爆のことがとてもリアルに伝わる、素晴らしい作品だ。
 

二つ目は「ベトナムのダーちゃん」
ベトナム戦争を体験した少女が、その体験を日本人の作家に語るリアルな話だ。小学2年生の時、先生が授業を潰して、私達に読み聞かせをしてくれた。自分でも読んでみたくて、本を買ってもらった。当時は、ベトナム戦争が終わって、そんなに時間が経っていなかったので、より近く感じられた。
 

三つ目は、「アンネフランクの物語」
題名は正確には覚えていないけれど、クラスの本のコーナーにあった、アンネフランクの生涯を書いた本だった。小学4年生位だったと思う。それまでナチスのユダヤ人迫害のことなど全く知らなかった私は、もの凄く衝撃を受けた。
 

それらの本は、私に人間の残酷さ、戦争の愚かさを強烈に教えてくれた。その頃からずっと、平和について、自分に何ができるかを考え続けているように思う。
 

私は思った。「人間は基本的に残酷なのだ。普段はいい人でもそれが、何かのきっかけで豹変する」
「人は簡単にマインドコントロールされて、大切なことを見失ってしまうのではないだろうか」
自分にもきっと残酷な部分があって、それが世の風潮の中で、その部分が出てしまうのではないかと思った。だから、気を抜いてはいけない。私はこれまでの人類の歴史を学ぶことによって、マインドコントロールされづらくなるのではないかと考えるようになった。
 

大人になって、現実を知るにつれて、事はそれほど単純ではないことがわかってきた。自由を得るために、平和のために闘おうとする人たちが、国家や世界の大国の前に、恐怖にさらされて、命を奪われている現実が目の前で起こっているのを日々目にするからだ。
その現実の前で、一個人に何ができるというのだろう。結局、大きな権力の前で、庶民は無力なのだろうか。
 

今から15年前、私は英語の通訳ガイドになった。通訳ガイドというのは、外国から日本にいらしたお客様と一緒に旅をして、日本のことを紹介する仕事だ。
この仕事を選んだ目的は、「日本のよさを伝えて、日本のことをもっと好きになってもらうこと」そしてそれが「世界の平和につながる」と思ったことだ。
 

ガイドとして、広島や長崎にお客様をお連れする。
「広島や長崎について、私が、何を外国の方たちに伝えられるだろうか」
ずっと考え続けている。被爆された方のお話しを聞く機会も頂いた。
この方たちの思いをどう伝えるか。ガイドとしての責任の重さをいつも感じている。
 

そして、今はこんなことをメインに伝えている。
・私達は、恨みを伝えたいと思っているのではないこと。
・原爆の恐ろしさ。それは熱線、爆風、放射能だ。
・日本は唯一の被爆国である。あの時、広島と長崎で何が起こったかを知って欲しい。
そのことを伝えることが、日本人としての責任ではないかと思っている。
・今も核兵器は存在し、その破壊力はずっと強くなっている。それがもし使われたらどんなことになるか、考えてほしい。
・平和の尊さを考えるきっかけにして欲しい
 

思いを込めて話すとき、お客様たちは真剣に聞いてくださっているように感じる。
 

こんなお客様がいらした。オランダからのお客様だった。長崎に向かう日の朝、お客様のお一人が、「原爆は戦争を終わらせるために仕方がなかったんだよね」と言われた。私は何も答えなかった。「長崎を訪れればその答えがある」と思ったからだ。実際に長崎を訪れ、私の話しを聞き、原爆資料館を訪れた後、その方が日本のガイドブックを持って私のところにいらした。
表紙を開いたスペースに、「私達は皆、世界の平和を願っています」という言葉を日本語でここに書いて欲しいと言われた。
「私の思いは伝わったのかな」と感じた瞬間だった。
 

世界の情勢は複雑だ。長い歴史の中、各国の利害関係が絡み合い、大きな流れに飲まれれば、個人は無力かもしれない。けれども、私たち一人一人が考え、できることはきっとあると思う。
一年のこの時期、貴方にとって「平和のためにできること」少しだけでも考えてみませんか。
 
 
 
 
***
 
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2024-08-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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