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モノの見方変換療法で億り人になった私


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:かたせひとみ(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 

「認知行動療法? なんじゃそりゃ」
認知? 認知症? ドラマで「子供は認知してもらいます!」なんて言うあの認知? 
 

当時、私は原因不明の慢性痛に苦しんでいた。背中、肩、首、頭と上半身全体の痛みが長引き、日常生活にも支障をきたしていた。そんな中、慢性痛治療の一つに認知行動療法というものがあると知る。私は早速、認知行動療法の本を手に取ってみた。
 

本には、モノの見方を変えることで行動を見直し、症状を改善する療法だと説明があった。例えば、1000円を「1000円もある」と捉えれば前向きな行動が促され、「1000円しかない」と考えれば消極的になる。このように、捉え方の変化を通じて症状の改善を目指すそうだ。
 

要は「モノの見方変換療法」ってことか……。そんな気の持ちようで治るなんて信じられない。日本は世界でも最先端の医療技術を誇っている。私は病院での治療を選ぶ。こんなことに時間を費やすだけ無駄だ。そう感じた私は、眺めていた本を放り投げた。
 

しかし、色々な病院で診てもらっても痛みは治らなかった。ガンも治るこの時代に、たかが痛みが治らないなんて……。大学病院、有名な医者のいる病院へとドクターショッピングを繰り返した。整骨院にペインクリニック、鍼治療にも行った。それでも痛みは一向に治まらず悪化するばかりだった。
 

こんなに手を尽くしてもちっとも良くならないなんて……。原因不明なのが余計辛かった。日に日に焦りを覚え、夜も眠れないほど悩んだ。一生このままだったらどうしよう。不安に押しつぶされそうになって何度も一人涙を流した。辛くて辛くていつ衝動的にフラッと電車に飛び込んでしまうかもわからない。だからこっそり身辺整理もした。
 

でも。
こんなことで諦めたくない! 元気な私に戻りたい! 強く思った。
じゃあ、どうすればいい? 医者には匙を投げられた。また別の病院に行ったところで同じ結果なのは目に見えている……。
 

そんなとき、「モノの見方変換療法」を思い出した。本当に薬も何も使わずモノの見方を変えるだけで痛みが治るのだろうか。でも、私に残されたのは、この認知行動療法=モノの見方変換療法しかない。四の五の言ってる場合じゃない。やるしかなかった。
 

本には「慢性痛は脳が痛みに過剰反応している状態です。意識を痛みとは別のことに向けるのが大切。できるだけいい気分や楽しくなることをしましょう」と書いてあった。
 

こんなの精神論じゃないか……。痛いのにいい気分になれだなんて、泣きながら笑うようなものだ。
でも、やらないことには何も変わらない。私は気を取り直し、お笑いの動画を見たり、久しぶりに散歩に出かけてみたりした。すると、わずかな時間ではあったが、100%痛みに向いていた意識を別の方へ向けられた。
 

今までは「痛いから何も出来ない」と決めつけていた。だからじっと家の中に籠り、ネット検索を繰り返し、頭の中を「痛み」で埋め尽くしていた。まるで痛みの推し活をしているかのように……。
しかし、「痛くても出来ることがある」とわかった。出来ないと決めつけていたのは自分だった。置かれている状況は何も変わらないのに、モノの見方を変えることで、その後の行動が変わり、もたらされる感情も全く違うものになると知った。
 

徐々にコツを掴んだ私は、いい気分になる時間が増えていった。
「モノの見方を変えるだけでこんなに変わるなんて」
薬も飲んでいないし、手術も何もしていない。なのに確実に痛みは減ってきている。狐につままれたような思いだった。
 

それでも私はまだ満足できなかった。確かに痛みは前よりマシになった。でもゼロではない。「いつになったら痛みはなくなるの?」「もっと痛くなったらどうしよう」そんな不安とおさらばしたかった。痛みそのものよりも不安な気持ちになるのが苦痛だった。どうすればいいんだろう……。
 

私はうんうんと、とんちをひねる一休さんのように考えに考えた。そしてチーンと閃いた。
そうだ、私が今やっているのはモノの見方変換療法だ。見方を変えてみたら? 
私はずっと痛みを「悪」と見てきた。だから、痛みがある私が異常で、痛みがない私を正常だと捉えている。ここを変換しよう! 
「痛みがある私が正常」そう見方を変える。痛みがあるのが当たり前だと捉えれば、痛みは最早悩みではなくなる。
 

この瞬間、目の前が一気にクリアになった思いがした。そうか、そういうことか! モノの見方を変換する。つまり自分を苦しめている見方を裏返すことなんだ。
置かれている状況は何ひとつ変わっていない。痛みはしっかりと私の中にある。しかし、捉え方を変えただけで見える世界が180度変わった。「謎はすべて解けた!」漫画『金田一少年の事件簿』の決め台詞を言いたくなるくらい、私は爽快な気分だった。私も解けたよー! って。
 

今ある痛みも徐々に「痛い慣れ」して気にならなくなる日が来るだろう。人間の適応能力は意外に高い。昔は最高気温30度でもヒイヒイ言っていたが、今では30度はさほど暑いとは思わない。だから痛みだって、きっと……。
 

モノの見方を変換してからの私は、どんどん痛みが軽くなっていった。以前は痛みを感じると「もっと痛くなったらどうしよう」と不安になり「重い物を持ったから?」「あんなことしなきゃ良かった」と原因探しや反省を繰り返し、延々と痛みのことを考えていた。
後から知ったことだが、これは慢性痛にNGとされることだった。痛みに注意を向け続けると、脳に痛みの記憶が定着される。結果的に脳は益々痛みに対して敏感になり、過剰反応を引き起こすという悪循環を生む。
 

私はこの悪循環を断ち切ることができた。痛みが出ても「痛っ! どうしよう……ん? そうだ、私は痛いのが普通だった。痛くて当たり前じゃん!」とそれ以上気にしなくなった。痛みのことを考える時間が減るにつれ、痛みも薄れていった。そして、ついには痛みを忘れて暮らせるまでになった。
 

医者も匙を投げた慢性痛を、薬も使わず手術もせず自力で治した。私が「気の持ちよう」だの「精神論」と不信感を持っていた認知行動療法は、実は脳科学などの科学的根拠に基づいた最新の治療法だったのだ。
 

ある人にこの経験を話したら「それは億の価値があるね」と言われた。
ウソ! 私っていつの間に「億り人」になってたの? 現ナマはないけどね(笑) 
とはいえ、現ナマは盗まれることもあるし、使えば減っていく。しかし、私の人生を大きく変えたこの億の価値を持つ経験は、永久不滅の財産なのだ。誰かに盗まれることもなく、使っても使っても生涯1円たりとも目減りすることはないのだから。

 
 
 
 
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2024-10-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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