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任せた瞬間から始まる責任物語

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:Motobu(ライティング・ゼミ9月コース)
 
 

「任せたんだから、大丈夫だろう……」
 
そう思って安心していたはずが、思わぬトラブルに巻き込まれたことはありませんか?
仕事でも家庭でも、他の人に任せたことがうまくいかず焦る経験は、多くの人に覚えがあるでしょう。リモートワークや分業が普及する現代において、距離や時間を超えて物事を進める機会は増え、こうした状況は特に目立ちます。この新しい働き方の中で、「任せる」と「責任感」の意味を再考する必要があるのかもしれません。今回は、自身の体験をもとに、他者に仕事を委ねる「任せる」という行為と、最終的な責任を見届ける「責任感」について考えてみます。
 
ある会社でのこと。毎月、経営層が出席する重要な会議の準備を任されていたAさんがいました。この会議のための日程調整は、幹部たちのスケジュールに直接関わるため、極めて慎重に行う必要があります。しかし、Aさんはその月、通常業務に加えて別のプロジェクトも抱え、スケジュール調整まで手が回らない状況に追い込まれていました。
そこで、Aさんは会議の日程調整を秘書に依頼し、「秘書に頼んだから大丈夫だろう」と自分に言い聞かせてしまったのです。しかし会議直前、出席予定者の一部から「日程の確認がまだ来ていない」と連絡が入り、Aさんは顔が真っ青に。デスクに視線を落とし、背中に冷たい汗を感じながら、周囲の同僚たちの目がどこか厳しさを帯びているように感じたのです。幹部たちが会議の直前に慌ててスケジュールを調整する姿を見て、Aさんの胸は締め付けられました。急いで状況を確認しようとしましたが、もはや手遅れでした。
 
結局、会議は一部の幹部が急なスケジュール変更に対応する形となり、スムーズには進行せず、不満が残る会議となりました。会議後、Aさんは上司に呼ばれ「なぜ事前確認を怠ったのか」と問われた際、「秘書に任せていた」という言い訳は使えず、ただうつむくしかありませんでした。この時、Aさんは「任せたから終わりではなかったのだ」という現実を初めて深く実感したのです。
 
私自身にも、似たような失敗経験があります。あるプロジェクトで重要な判断を迫られた際、「この判断で進めて大丈夫か」と上司に確認し、「それでいい」との了承を得ました。それで安心して作業を進めたところ、その後さらに上の管理者から「なぜこの判断をしたのか」と厳しく問い詰められたのです。
私はすぐに「上司の了承を得ていました」と弁明しましたが、返ってきたのは冷ややかな一言でした。
「上司がOKを出しても、最終的に判断を下したのは君だよ」
 
その瞬間、私の頭は真っ白になりました。しばらく沈黙が続き、自分が頼りにしていた上司の「OK」に甘えていたことが急に恥ずかしく、そして痛みを伴う反省に変わっていくのを感じました。自分が信頼の上にあぐらをかき、責任を他人に委ねていたことに気付かされたのです。
こうした経験を経て私は、「責任感」とはただ任せることではなく、任せたことの最終的な結果まで見届ける覚悟を伴うものだと痛感しました。他人に委ねることで自分が最終的に責任を負うことの意味を理解した瞬間でした。
 
リモートワークが増え、距離や時間を超えて仕事を進める機会が多い今、他者に任せるときの意識を変える必要があると感じます。「任せたら終わり」ではなく「自分が最終的な責任者」という意識が求められる時代に変わりつつあるのです。
 
Aさんのケースでも、秘書に依頼したからといって確認を怠って良い理由にはなりませんでした。会議の準備が本当に整っているかを見届けることが、Aさん自身の役割だったのです。また私の場合も、上司に確認を取っただけで安心するのではなく、「最終判断を下す責任者は自分である」という自覚が必要でした。
 
誰かに作業を任せる場面は、仕事だけでなく日常生活でも数多くあります。しかし信頼されるためには、ただ任せきりにするのではなく、相手の進捗を確認し、最終的なチェックを行うことが重要です。例えば、友人の相談に乗るときも話を聞くだけで終わらせるのではなく、「その後どうなった?」と気にかける姿勢が「この人は自分のことをちゃんと考えてくれている」と感じさせ、信頼へとつながります。こうした「最後まで寄り添う姿勢」が、仕事においても家庭や友人関係においても、より深い信頼関係を築くことに繋がるのです。
 
他人に仕事を任せるとき、その過程を見守り、必要な確認を怠らない覚悟を持つことが、責任感の本質です。
「任せることは信頼の証、見届けることは責任の証」
任せた結果に向き合う覚悟こそが、私たちに求められる真の責任感です。
 
最後まで見届ける姿勢を身に付けることで、自分の判断力も磨かれ、周囲からの信頼も着実に得られていきます。結果として、チームの一員としても、そして人としても頼られる存在になることができるのです。
 
どんな場面でも「任せたから終わり」ではなく、「最後まで見届ける」姿勢こそが、長く信頼される人材となり、自分自身の成長にもつながる重要な教訓です。
それが最終的には、信頼関係を築くための第一歩となるはずです。

 
 
 
 
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2024-11-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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