知ってください、ひそむヒートショック
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記事:みやび♪(ライティング・ゼミ9月コース)
「あ~、やっぱりか…」
母を見つけた時、頭によぎった言葉と思い。
その時の私は、不思議なほど冷静で、「無」に近い感情でした。
私は、何かを予感していたのでしょう。
玄関の鍵を開けることができず、直感的に110番に電話をしました。
心細さと寒さの中、ひとり玄関前で、お巡りさんが来るのをまだかまだかと待っていました。
平成30年4月9日の19時ごろ、それは、一人くらしの私の母の死の発見でした。
結局、母は、浴室の中の浴槽にいました。
推定された死亡日時は、発見の一週間前。
私は、忙しさにかまけて母の異変に気づけなかったのです。
その後悔が、今も胸に深く刻まれています。
母は、検死に回され、死因は心筋梗塞と判定されました。
原因はヒートショックです。
実は、さかのぼること1995年7月1日に、私の祖母(私の母の母)も浴室内の浴槽の中で亡くなっているのを、私が発見しています。
この時は、今回亡くなった母と2人でした。
まさか予期していませんでしたから、かなりのショックでした。
死後2日間ほどと判断されました。
2人とも、同じ78歳でした。
2人とも、病院に通うことなく、元気に一人暮らしをしていました。
そして2人とも、同じくヒートショックによる死でした。
2人がヒートショックになったのは、死亡推定日時から4月頭と6月下旬です。
場所は、兵庫県西宮市と大阪府池田市です。
いずれにせよ、決して寒くはないのでは? と想像される頃でした。
これらは珍しいケースなのでしょうか?
いいえ、残念ながら、決して珍しいことではありません。
厚生労働省の統計調査では、家庭内における不慮の事故による死亡者数は、年間15,673人。
ナント交通事故での死者数の4.4倍です。
家庭内での不慮の事故死は、ニュースになりにくいので、あまり知られません。
しかも、その家庭内での不慮の事故死の3大原因の1つが溺死・溺水死です。
さらにヒートショックによる死亡は、浴室に限らず、また、家庭内に限らずいろんな場所で起こるため、その人数は1万9千人に上るとの統計もあります。
ヒートショックとは、急激な温度の変化によって血圧が大きく変動し心臓や血管の疾患が起きることをいいます。
では、どのようにしてヒートショックが生まれるのでしょうか。
決して他人事ではありません。お隣にひそんでいるかもしれません。
ちょっと、想像してください。
普段過ごす部屋から、寒い廊下に出て、さらに寒い洗面脱衣所で洋服を脱ぎ、寒いまま浴室に入ります。
寒いので、浴室に入ったあと、慌てて熱いお湯に入るかもしれません。
その急激な温度差に血圧が追い付かず、ヒートショックを起こし、危険な運命を招く、ということになるのです。
ポイントは、温度差です。
高齢者の場合は、その日のからだの調子も関係してくるでしょう。
なので、私の祖母や、私の母のように、寒い時期とは思えない頃にも関わらず、ヒートショックとなり、帰らぬ人となったのです。
では、ヒートショックにならないためにはどうすればいいでしょうか。
できるだけ、おうちの中の室温差をつくらないことです。
目安は、10度以上の温度差が、特に危険といわれています。
手軽な方法として、暖房器具を各所に置いてみませんか。
暖房費を気にするのではなく、命のことを気にしましょう。
寒いからといって、浴室に入り、熱い湯船に入らないようにしましょう。
浴室暖房乾燥機の利用や、入浴前にシャワーを出して浴室の温度を上げるのも有効です。
お湯の温度は、38度から41度が推奨されています。
急激な温度変化に血管の収縮・拡張が激しくなることを抑えましょう。
家族がいる場合は、お互いを気にしながら様子を見守りましょう。
気温の下がる夜の時間帯を避けるのも方法のひとつです。
危険なのは、浴室だけではありません。
トイレも危険です。
便座を温めるだけでもかなり有効ですが、トイレの部屋全体を温めることも考えてみてはどうでしょうか。
これからだんだんと寒くなっていく時期です。体がまだ寒さに慣れていません。
急に冷える日もあります。気を付けたいですね。
そして、一番危険な時期は、やはり冬から真冬で間違いありません。
つらい思いをするのは本人だけではありません。
周囲の家族も、深い悲しみと後悔が残ります。
ぜひ、みなさまも、文明の利器を利用し、部屋間の温度差を小さくする工夫をなさってみてください。
後悔先に立たず、です。
さっきまで元気だったのに、という言葉を聞かなくてすみますように。
今では、私もひとり暮らし。
以前のように家族の見守りがありません。
さらに、洗面脱衣所も浴室も寒い造りのままです。
ですので、入浴時は、より一層注意をしてまいります。
そして、今年の冬も元気で、楽しく過ごしたいと思います。
***
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