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記事:磁石(ライティングゼミ11月コース)
 
 
「お父さんの方が太いに決まっている」
 
「そんなことは無い、お前の方が絶対に太い」
 
メジャーを持ちながらお互いのウエストを測り合う父と母。
 
健康診断で思わしくない結果出た二人、どちらのウエストが太いのか? で言い争いになり、ならば測ってみようという事になったらしい。
両親が60代に入ったころの我が家での一幕です。
 
結果は……驚くべきことにピッタリ同サイズ! (笑えました)
身長は母の方が低いので、どちらの方が太っているかと言われれば母でしたが、そんなことは関係ないようでした。
 
その頃、仲良くウエストのサイズが一緒だった両親ですが
性格、好み等は全くと言っていいほど正反対でした。
 
几帳面で心配性の父と、でずぼらで楽天家の母。
 
とにかく仕事中心、仕事好きな父と
仕事は嫌い、できれば働きたくない専業主婦希望の母。
 
怒りっぽくいつも不機嫌そうな父、あまり怒ることは無くにこやかな母。
 
同じものなら少しでも安い物を購入したい、主婦のように食品の値段を気にして
買い物する父と
必要な物は必要、値段などあまり気にせずに購入する母。
 
テレビを見るならニュース、政治経済、スポーツ番組の父と
ドラマ、お笑い番組が好きな母
 
人と話すのが好きな父と
人と話すのは苦手、一人でいるのを好む母。
 
病室は相部屋派の父と
絶対に個室派の母。
 
洋服は綺麗にアイロンがかかっていないと嫌な父と
着ているうちに皺が寄るから少しぐらいの皺など気にしない母。
 
勉強が大切、学歴が大事だという父と
勉強より健康が一番だという母。
 
親の言う事を聞き、安全な道を進んで欲しい父と
自分の事は自分で決め、どんな道であろうと自分で責任を持って欲しいという母。
 
年老いてからは、生きていても仕方ない、つまらない死んだ方がいいと言いながら
少しでも体に不調を感じるとすぐに病院にかかる父と
今が一番幸せ、年をとると大変だけれど死ぬまでは生き切るしかない。
ならば健康でいたいと言いながら医者嫌いでかなり調子が悪くなるまで病院に行かない母。
 
まだまだ他にもいっぱいありますが
両極端な両親に育てられたので、どちらの言う事を信じたらいいのか?
悩んだかと言うと……
私にはそのような記憶があまりない。
 
私の場合は、結局は自分が好きな方を選んでいるだけでした。
 
例えば学生時代、勉強があまり好きではなかった私が採用したのは、勉強より健康が大切と言う考えでした。
 
勉強、勉強とうるさく言う父を鬱陶しく思い、健康であれば人生何とかなるに違いないと考えていました。
 
歳を重ねるにつれ、勉強も大事だという事がわかり、何か新しい知識を得る事、学ぶことは楽しい事だと気づいたのです。
今は、勉強も健康もどちらも大切と言う結果になりました。
(考えてみたら、どちらか一方だけと言うのはおかしなことですよね。なぜ両方大切だと教えてくれなかったのか不思議です)
もし今まで採用していた考えが違っていたら修正したらよいだけです。
 
時と場合によっては、何かの事情で自分の好きな方を選べなかった事もありました。
しかし心の中には答えがあり、違和感を持ちながら選んでいました。
何かの事情の方を自分が優先し選んでいたという事です。
自分の正解に気づいたら修正すればいいだけです。
 
だから、私がこんな風になったのは親のせいだと言われる方がいらっしゃるけれど、やはりそれは違うような気がします。
その時は選べなかったかもしれませんが、いつでも自分自身で修正ができると思うのです。
 
今私は、いずれ自分が年老いたら、母のように今が一番幸せと言いながら暮らしていたいと思っています。
 
それは、今は亡き父が生前
「生きていても仕方ない」
と言う度にとても暗い気持ちになり、更に
「死んだ方がいい」
と言われると、とてもやりきれない気持ちになったからです。
 
自分にはどうすることも出来ない。とても気分が落ち込みました。
父の問題であったのに、自分の事のように思え、何とかしなくては! と真剣に受け止めてしまったのです。
 
父に会いに行くのもしんどくなり、そんな気持ちになる自分を責め、しまいにはどうしてそんな事を言うのだろう? 言われた相手の気持ちが落ち込むことがわからないのだろうか? と父の事を腹立たしく思いました。
そして、私は絶対に子供達にそんな思いはさせないと強く思ったのです。
 
考えてみたら、父は少し甘えたかっただけなのかもしれません。
 
私には強く厳しかった父が娘に甘える感覚が分からなかったのです。
他人にだったら、やさしい言葉のひとつもかけることが出来たかもしれません。
だんだんと父が弱っていく姿に自分の心が付いけず、受け止め、聞き流す力が無かっただけでした。
 
結局原因は相手ではなく、自分自身の受け止めから来る問題でした。
相手がどのように映るのか? と言うのは全て自分自身の中にあるという事なのでしょう。
 
嫌だなぁ、こんな風にはなりたくないと思っていた父の対応
そこから色々な気づきがありました。
嫌な思いをしたからこそ、気づいたことが多くあり、自分自身が成長できたように思います。
 
だから今はどちら対応が、どちらの考えが、良いか悪いか以前のようにジヤッジするこが少なくなりました。
そういう考えもあるのであなぁと思うだけ。
但し、自分がどうありたいか? どういう選択をしたいか? という事はあります。
 
私が正反対の両親から学んだ事は、ジヤッジしないこと、自分の人生は自分が選んでいけること、いつでも修正可能なこと。
 
今では、両親が違う考えだったからこそ、自分で考え選んでいくことが出来たように思えます。
どちらを選んでもどちらかの考えに賛成という事になりますから、親の意見に合わせなくては! と悩む事が無かったのかもしれません。
 
そう思うと、私の両親は有難い存在だったと思えてきます。
 
 
 
 
***

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2024-12-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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