早口は、災いのもと
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:藤原 宏輝(ライティング・ゼミ9月コース)
「引き出物が1つ多いみたいだけど、これは、どこのお席? それともお持ち帰り分なの?」
と、スタッフの大きな声が、会場内を響き渡った。
ご披露宴の準備で、会場入りしている時の事。
前日準備の段階で、発注ミスで引き出物の数が違う。という事は、あってはいけない事ではあるが、どうやらミスが起きてしまったようだった。私は、チーフのもとに駆け寄り
「どうしたの? 何があった? 引き出物の数が違ったの?」
と、一気に尋ねた。チーフは、
「ゲストの欠席連絡が、発注期限ギリギリでした。すぐに、引き出物1セットキャンセルをしたはずなので、間に合ったはずですが」
と答えたが、なんだか様子がおかしい。業者に確認したところ、やはり発注キャンセルはされておらず、引き出物が1つ余る事態になった。するとチーフは、慌てて担当のプランナーに
「どうして1つ余るの! この引き出物、どうするの?」
と、詰め寄った。発注の連絡ミスで、引き出物の数が、合わない。
こうして、引き出物が余ってしまった時には、ご新郎様とご新婦様に事情を話し、記念にお引き取り頂く事もあるが、お引き取り頂くとはいえ、弊社でいったんは買い取る事になる。
今回は、20,000円ほどの損失だ。きっと、以前の私だったら、
「1ヶ月前のミーティングで、言ったじゃない。なんで、1セットキャンセルしてないの!」
「チーフ、どうして最終確認してなかったの!」
と、感情的になり、怒っていたのかもしれない。でも、今回のミスは担当のプランナー、チーフ、と連帯責任ではあるが、私が部下に怒る! という前に、ミスが起きた原因を冷静に、考えてみた。
というのは、近頃とくに、
‘口は災いのもと’という、ことわざがあるが、私の場合は‘早口は災いのもと’なので
「あッ、もしかしたら? 私、やらかした。かもしれない……。」
と、ハッ! とし、冷や汗が流れた。
思い返せば、1か月ほど前。披露宴施行の為の、社内ミィーティングでの、出来事である。
「すみません、もう一度、この部分からゆっくりと、言ってもらえますか」
と、プランナーから指摘を受けた。
ミーティングでは、今回のミスのお客様の事だけではなく、その他の何組ものお客様の内容もあった。
私は、あれもこれも。と、ものすごいスピードで、早口で一気! に、報告と変更事項を、社員に話した。その中で、今日のゲストが1人欠席となり、引き出物の発注を、1つキャンセルする話も確かに、していた。
その時にまた、私の悪い癖‘早口は災いのもと’が、出ていたのである。
私の早口な話のせいで、プランナーは、重要な変更事項を聞き逃し、引き出物のキャンセルが必要である。という事を、全く認識しなかったのである。
その結果、引き出物1セットのキャンセル連絡をしていないまま、今日を迎えたのだった。
もちろんこれは、金額の問題だけではない。引き出物の数が足りない時よりは、まだ、セーフなのだが……。そういう問題ではなく、私の言葉のスピード、早口なせいで、また災いが……。
聞き流した担当のプランナー、最終確認を怠ったチーフにも、それぞれの反省点はある。しかし、私にも原因があった。
「もっとゆっくり、みんなに分かるように、伝えていれば」と「その後、確認をしっかりしていれば」と、悔やまれた。
私は、人に何かを伝える時や指示を出す時、そして、人に言葉を届ける時。
内容や思いが、正確に伝わるように話すこと。相手が、理解出来るように伝える。と、意識してきたつもりだった。自分だけが、分かっていても、プランナーに、正確に伝わっていなければ、何も意味はないのだ。
私の早口のせいで、もしかしたら引き出物の数どころか、もっと別の写真撮影や映像、演出などの事で、チーフやプランナーは、何かミスをするかもしれない。それらのミスで、お客様に迷惑を掛けたり、会社の信用問題になる可能性もある。あわや、大問題になるところだったのだ。
以前も、チームミィーティングをしている時に、チーフから
「社長の話すスピードは早過ぎて、時々何を言っているのか分かりません。まだ私は、そのスピードに慣れてきているので、おおよそは理解出来ますが、100%理解出来ているかな? と考えると、正直少し不安な時があります。
日頃、プランナーたちに丁寧にゆっくり、私が話しても、内容を理解していない事も多いです。
なのに、社長の話すスピードの早さだと、正確に伝わらないと思うので、もっとゆっくり! みんなに分かるように、話してもらえますか」と言われた事を、思い出した。
それまでも話すスピードには、気を付けているつもりだったが、1か月前の社内ミーティングの時には、チーフからの言葉をすっかり忘れて、目の前の事だけに集中し、実際には心のどこかで、
「一度、言ったら分かるでしょ」とか、「この話の流れからなら、みんな分かってるよね」と、
プランナーたちが、どこまで理解しているのか? 何が分かっていないのか?
を、私からは確認する事もなく、早口で一気に、報告や変更事項を言い放っていたのだった。
そんな私は、どれほど、独りよがりで自己中心的だったのか? と反省した。
プランナー1人1人は、ブライダルの仕事が大好きで「お客様の思いをカタチに! 感動の結婚式を作り上げる為に!」と、自分の理解出来た範囲だけで、自分の理解したように、仕事を進める。
報告や変更事項等には「なぜ?」という、疑問を持つ事なく、一生懸命で真面目に、与えられた仕事をこなす。だからこそ、与える側がより、気を付けないといけないのだ。
今回、引き出物が1つ余った事で、私の早口は、災いのもと。を身をもって、体験した。
私は、話す側(私自身)の伝え方と、聞く側(チーフやプランナー)への伝わり方、それぞれの捉え方や受け取り方は、決して同じではない。という事も、あらためて気づく事が出来たので、仕事だけでなく、コミュニケーションの根本は‘私の早口は、災いのもと’とより意識し、相手に届くように、伝わるように、理解してもらえるように‘ゆっくりと、話すこと’から、もう一度、始めようと思う。
***
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