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「私で歌う」って?


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:白峰優梨子(ライティング・ゼミ11月コース)
 
 
私は小さい頃からクリエイティブな遊びが大好きで、お絵描き、塗り絵、着せ替え人形遊び、その人形のお洋服のデザインをしたり、お洋服を作ったり、漫画を書いたり、物語を作ったり、詩を書いたり、作詞作曲もしてたし、毎日自由に歌ってもいました。
 
幼稚園でクリスマス会にキリストの誕生の物語をやった時には、立候補して大好きなマリア様をやらせてもらって凄く嬉しかったです。
 
小学校4年の誕生日には父からテープレコーダーをプレゼントしてもらって、鉛筆削りのコマーシャルソングを即興で作って録音したりして面白がっていました。
 
小学校高学年では国語部の部長になって、部員が順番に大学ノートに1ページづつ物語を書いくという部活をして楽しみました。学芸会ではオリジナルのお芝居の台本を作って演出して出演もして、凄く楽しかった記憶があります。
 
中学では文化祭でクラスのお芝居を演出したり、よそのクラスがミュージカルを上演する噂を聞きつけて振り付けを数曲やらせてもらいましたし、高3の文化祭ではクラスのメンバーと小説『ピーターパン』を脚色して、曲を作れる子に作曲、作詞をできる子に作詞をお願いして、私は演出、振り付け、出演して屋上で上演して、良い思い出になりました。
 
自分で自由に表現すること、クリエイティブに作ることが大好きで楽しくて幸せでした。
 
大学では入って英語劇でキャストをやるようになりました。役を演じること、演出家の要望に答えて表現することは初めてでした。大きな舞台に立って今までとは違う喜びを感じて、どんどん演劇の世界にのめり込んでいって、日本語の劇にも出演するようになりました。
 
劇の中にはミュージカルもあって、役として歌うということが要求されました。なんの迷いもなくそれを何年もやり続けていきました。そして歌の先生にも色々とついて学びました。先生によって色々なことを言われるので、正直どんどん迷っていきました。歌っていてもなんか歌いにくいし、声も出しにくいな〜って思うこともありました。
 
そんなある日、歌の先生から「もっとあなたで歌って!」と言われました。
 
「え? 私で歌うってどういうこと???」
 
頭が真っ白になりました。大学から30歳過ぎまでお芝居の中で役として歌うことばかりやってきて、それが当たり前だったので、自分で歌う感覚が分からなくなってたし、ミュージカル以外の曲を歌おうとすると、原曲の歌手の人のような声を出そうとしたり、同じように歌おうとしていたのです。確かにそれって私じゃない。
 
わ〜、小さい頃は自然に自分として歌ってたはずなのに……。
歌だけじゃなくて色んな表現を自分として自然に楽しく自由にやってたのに……。
あの感覚はどこにいっちゃったんだろう……。
 
そんな疑問を抱えつつ、お芝居ではなんの違和感もなく役として歌っていたけれど、「私で歌う」の感覚を取り戻したくて、思考錯誤していました。
 
いくら歌の先生を変えても「何かが違う」と思いつつ、2024年を迎えました。
 
そして声そのものにも興味があったし、何かのヒントになるかもと音声心理学を学び始めました。声を録音してその周波数と心理の関係を音声診断ソフトで分析して、バランスの良い周波数が出るようにサポートするものです。
 
そのソフトを使って私が歌について話している時の声を録音すると、自己表現の部分の周波数が見事に出なくてビックリでした。何かブロックがあるようでした。
 
そしてつい11月に先生と一緒に学んでいるメンバーと合宿に参加した時のこと。合宿のテーマは「表現」。自分の魂が表現したいように表現できるように、自分の内面と向き合って2日目には皆んなの前で何らかの表現をすることになっていました。
 
詩や絵本を読む人、絵を描く人、踊る人、色々でしたが、私は歌で表現したいと思っていて、小さい頃のような感覚、自由で自然に出来た表現をしたいと思っていました。直感的にそれが魂が自然に望んでいる表現だと思ったからです。
 
初日の夜、露天風呂に1人で入って星空を眺めながら問いかけてみました。
「私は誰ですか? 私の魂は何を表現したいのですか?」
 
するとすぐに「あなたは、あなたでしょ? それを表現したいんでしょ?」という想いがやってきました。
そっか…私は私というのを表現したいのか……。
確かに子供の時は私を自然に表現していたんだっけ。
 
そして思い出したのは、2010年に葉祥明さんという絵本作家の『リトル・ツリー』という絵本に出会ったことでした。ページをめくっていた時に「この物語に曲を入れて作品化して上演しなきゃ!」っていう想いがきて、そこから作品にして現在までミュージカルや音楽朗読劇として何故か毎年上演する機会をいただいてる、不思議なライフワーク的な作品があるのです。
 
それは、ある森に芽を出したリトル・ツリーが自然の営みや森の仲間たちとの交流で様々な気づきを得て「わたしになる」物語。そして森の長老マザー・ツリーがリトル・ツリーに「あなたは あなたになる」ということを伝える歌がテーマ曲でした。
 
今まではずっと役で歌っていたのですが、「そうだ! 大人の自分が自分の中の子供の自分に歌うのはどうだろう」って閃いて、発表の時にやってみました。
 
すると! 今まで出したことの無い、自然で楽な声が出たのです!
 
歌いながらビックリしたと同時に凄く嬉しくなって幸せな気持ちで満たされました。
 
「あ〜、これが『私で歌う』っていう感覚だ!」って思い出したんです。
 
どう歌うとかピッチがどうとか、みんなにどう伝えるとか関係なく、ただ自分の中の自分を感じて歌っただけ。そう、昔はホントただ感じて歌っていただけだったっけ、そうそう、この感覚だった!!! 目の前が明るくなった感覚になりました。
 
合宿後、人前で歌う機会をいただき同じ感覚で歌ってみたら、多くの人の心に響いたと感想をいただき、凄くビックリしました。これからは自信を持って私で歌おう、そしてこの感覚で私として色んな表現をして、人生を楽しんでいこうと思います。
 
 
 
 
***

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2025-01-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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