トラブル解決にも男女関係にも効く!? 魔法の言葉
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:加藤 真矢(ライティング・ゼミ9月コース)
「え、入れないんだけど??」
その日、私は異国の空の下、約束した建物の前で呆然と立ち尽くしていた。
趣味のヴァイオリンの勉強のため、ドイツへ渡航したのだが、練習室として手配してもらっていたアカデミーのベルを鳴らしても、うんともすんとも開く気配がないのだ。
通常、お昼から営業なのだが、旅行者のスケジュール予定に合わせ、特別に朝早い時間から開けてもらう約束になっていた。
前日にも確かに確認をしたのだが。
北海道よりも北部にあるドイツの首都・ベルリンは、冬場は氷点下となる。
加えて日照時間が短く、早朝はまだ薄暗い。
寒さに震えながら途方に暮れ、留学コーディネーターに電話をかけた。
「今朝、練習の予約をしてくださっているかと思うのですが、ドアが開かなくて……」
「ええっ、本当ですか!? 私からメールをしてみましょうかね……」
え、メールって、返信が来るまで、この寒い中待ってろと言うの?
「お願いします」
と言って電話を切ったものの、すぐに連絡がつく気がしない。
駄目もとでアカデミーに電話をしてみる。
冷たく、営業時間外であることを告げる留守電メッセージ。
なんだよ、どうしたらいいの……私、お金払ってるのに!
寒さと不安でイライラしながら何度も電話をかけてみる。
しばらくすると、担当者の携帯に転送されたのか、コールバックがあった。
「マヤ、ごめんね! 忘れてた! 今、オートロックを解除したわ、ドアを開けてみて!」
はぁ、忘れてたぁ!?
呆気に取られながらエントランスのドアを押してみると、ガチャリと開いた。
あぁよかった……
「開いたわ!」
「よかった! じゃあまた後でね。充実した練習ができますように! よい一日を!」
「あ、ありがとう……」
てっきり、
「大変申し訳ございませんでした」
と深い陳謝の言葉が来るものと思っていた私は、
思ってもみなかった言葉に、意表を突かれた。
こっちが迷惑を被ったのに、なぜかお礼を言っちゃったよ。
時間や約束事に厳しいイメージのあるドイツ人。
しかし彼らでも、たとえ自分に落ち度があるような失敗をしても、
過度に謝るようなことはせず、
それよりは、迷惑をかけた相手が1日を気持ちよく過ごせるように声掛けをする。
このことは、期せずして男女関係にも生きることとなった。
40代独女の私は、酷い失恋を経て、婚活に大苦戦していた。
年齢を重ねたら、訳アリな男女が多いことは分かっていたつもりだった。
しかし、まず会話が成り立たない……。
こちらはマメに返信をしているつもりなのに、音沙汰ナシを繰り返し、
忘れた頃に、
「出会いがなくて心折れました……」
と謎のメッセージをしてくる宇宙人。
やっと会話ができる人と会えた! と思っても、
初回のデート時に2回目以降のデート予約金を徴収し、トンズラしたロマンス詐欺男など、
想像を絶するような異星人に疲弊していた。
そんな中、紳士的で神様のような男性が舞い降りた。
同世代、商社勤務。
海外とのやり取りが中心なこの方はとにかく忙しい。
日付が変わる頃に帰宅することも多いそうだが、それでも毎日夜遅くにメッセージをくださっていた。
初回のカフェデートで話がはずみ、順調にLINE交換をし、やり取りを続けていたある日の月曜日、
「今日は会食でした。遅くなってしまったので、また明日に連絡しますね」
疲れてるだろうに、メッセージの「予告」をしてくれるなんて、申し訳ないな……
そう思った私は、翌日に返信することにして、スマホを閉じ、
翌朝、ふと、ベルリンでの出来事が蘇ってこう送った。
「こんにちは! 週始めから会食だったとのこと、お忙しい中、ご丁寧にありがとうございます。メッセージはまたお手隙時に見ていただけたら嬉しいです。今日もよい一日を!」
すると、いつも夜遅くにメッセージが返ってくるところ、秒で返信が来た。
「ありがとうございます! 真矢さんもよい一日を!」
スヌーピーが手を振る可愛いスタンプも登場した。
ここからメッセージが朝・晩の1日2往復に、一気に加速していった。
「次の週末のプランを考えてみました!
ワクワク神楽坂散歩
夕方に集合して赤城神社方面にお散歩して、可愛い狛犬を見て食事に。夜の神楽坂はお店の前を通って覗くだけでもワクワク!
ドキドキ青山表参道散歩
根津美術館に行って、お庭も楽しみながらランチへ、きらびやかな表参道にドキドキしながら明治神宮へ
さわやか清澄白河散歩
お昼に集合して清澄庭園へ。オススメの紅茶屋さんに寄って爽やかな気持ちに。夜は門前仲町のお店にトライしてみる?
番外編・超健康的隅田川テラス朝散歩
浅草橋辺りで朝集合して隅田川テラスを浅草まで北上。浅草寺を横目にお味噌汁とおむすびのお店で健康的朝ごはん」
忙しい中、一生懸命考えてくださったようで、
なんだかくすぐったいような、恥ずかしい気持ちになってしまった私は、
LINEの通知が目に入るなり、スマホを裏返し、ドキドキしていた。
すると、追いLINEが来て、
「すみません、我ながらタイトルが恥ずかしい笑」
自分も同じだったので、ちょっと笑ってしまいつつ、お礼を述べて
お互いが気になっていた「ワクワク神楽坂散歩」に出かけることとなった。
神楽坂では風情ある石畳の街並み、趣向を凝らした絶品料理の和食屋さん、フレンチのワインバーとはしごして楽しい時間を過ごしたものの、
具体的に次の約束の話にはならずに解散となった。
暫く忙しいのかな……と思いつつ、
お互いが「気になる!」と話していた展望施設「渋谷スカイ」の空き状況を調べてLINEしてみる。
「○月×日、○時~、渋谷スカイの予約取れそうです! ご都合あえば次回は私で予約させていただけないでしょうか? またお手隙時に相談できると嬉しいです。よい週末を!」
するとまた秒で返信が来て、
「調べてくださったんですね、ありがとうございます……! 是非、お願いします。真矢さんもよい1日を!」
相手に迷惑をかけてしまった時、
相手との関係を進めたい時、
意外と日本語ではあまり使う機会がないように感じる、
「よい1日を!」
カジュアルに使えて、相手に対する敬意と思いやりを伝えることができる。
前へ進めたい時に是非、お試しを。
散々な出会いばかりだった私は、「メディアグランプリ」への挑戦を通じ、どんな出来事にも学びがあると信じ、日々ネタとして昇華し、明日を前向きに生きられるよう、自分自身の行動も変わっていった。
人生を変えるという、天狼院書店の「ライティング・ゼミ」、
次はあなたが、人生を変えてみませんか。
***
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