オタク女子が婚活して気づいたこと
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記事:アオノスミレ(ライティング・ゼミ1月コース)
「もうなんか無理です」
当時、結婚相談所で婚活をしていた私は、担当の仲人さんに愚痴りまくっていた。誰と会ってもピンとこない。割とお見合いは組めるものの、お見合いで会いすぎて誰が誰だか分からなくなった。誰と会ってもトキメかない。誰を選べばいいのか分からない。挙句に疲労困憊。婚活女子あるあるの悩みである。
「なんだか訳わからなくなって疲れました」
そして、しばらく婚活を休みたいと伝えた私に、仲人さんはこう言った。
「胸がキュンキュンするような恋愛物とか見ると、また婚活する元気が出るかも。また婚活再開したくなったら連絡してね」
なるほどそうか。キュンキュンするような恋愛物でも見れば、婚活で荒み切った心も癒え、また婚活しようという気も起きるかもしれない。
しかし、私はオタクである。いわゆる世間一般に言われるキュンキュンする恋愛物は苦手である。私にとって恋愛物と言ったら、それはBLである。しかし、当時の私は婚活に疲れすぎて、BLを読む元気すら失っていた。疲れすぎてBLが読めなくなるなんて、かなり重症だ。
そこで私が手に取ったのは、安野モヨコの『監督不行届』であった。これは、オタクの道を極めたオタク男子のカントクくんとその妻・ロンパースの日常を描いた漫画である。ロンパースはオタクなのだが、自分をオタクとは認めたくないオタク女子である。しかし、いくら自分で認めたくなくとも、オタクの性に逆らえず、結局カントクくんとオタクの道を爆走するのだ。
この世に漫画など数多存在するはずなのに、なぜこれが読みたくなったのか?
理由は簡単だ。私がロンパースと同じくオタクな自分を認めたくないオタク女子だからだ。インドア派で陰キャの自分にコンプレックスがある。子供の頃はオタクが理由で揶揄われたり、大人になってからもオタクが理由で傷ついたこともある。私はそんな格好悪いオタクな自分が嫌いなのである。
そのため、婚活ではアウトドア男子やスポーツ男子に申し込んだりした。それは別にそういうタイプの男子が好きなわけではなく、ただ単にそういう人と付き合えば、オタクな自分が矯正されるかなと思っただけである。我ながら、本当に馬鹿だなぁと思う。
本当に好きなのは、カントクくんのようなオタク男子で、カントクくんとロンパースのようなオタクネタで盛り上がる楽しいオタク夫婦生活がしたかったのだ。しかし、オタクな自分が嫌いな私はどうしてもそれが認められない。
仲人さんに「トキメキません」「疲れて無理です」と言っていたが、全然好みのタイプじゃない男子と会っているんだもん。トキメくわけがなかろう。疲労困憊して当然である。
よくよく考えれば、オタクって矯正するほど悪いものなのかなと思う。今までオタクで傷ついたのは、たまたまその時いたコミュニティがオタクに優しくないところだったり、出会った人がオタク嫌いだったからである。ただ、それだけの話である。
別にオタクだっていいじゃないの。コミュ力高いキラキラ女子に憧れるけど、オタク女子だって悪くない。婚活は大勢にモテるんじゃなくて、ぴったりくる誰か1人と出会えればいいわけだし。
漫画を片手にゴロゴロしながら思う。婚活って、相手探しではなく、自分探しの旅だなあと。自分のことが分からなくては、自分にぴったりの相手だって見つからない。そして、人間は自分のことが実は一番よく分からない。そして、人間は時々自分にも嘘をつく。こんな格好悪い自分は本当の自分じゃないよとか。人間って、本当に面倒臭い。
しかし、どんな自分でも、この世にたった1人しかいない大切な存在だ。どんなに格好悪くとも、それは大事な自分自身なのだ。
まだまだ自分を好きになれない私だが、『監督不行届』を読んで、ちょっとだけ元気が出た。そして、私は婚活を再開したのである。カントクくんみたいな男子に会えたらいいなと思いながら。
再開した婚活のお供は、BLである。またBLが読めるくらいまでに、私の心は回復したのである。婚活が辛くなったら、大好なBLでトキメキと元気を補充した。疲れてBLが読めなくなるまで、頑張るのはやめた。困ったり悩んだりしたときは、素直に仲人さんに相談した。
そして、私は出会うのである。カントクくんのような筋金入りのオタク男子と。そして、いかにもオタクらしいヘンテコなデートを経て、出会って1ヶ月で結婚することとなったのだ。まさに運命の出会いである。
自分のことを好きになれない私だったが、夫と出会ってから自分のことが大好きになった。今まで認められなかったオタクの自分も大好きになった。そして、もちろん夫のことも大好きだ。
もしかすると、誰かを好きになるのに必要なのは、まず自分を好きになることなのかもしれない。
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