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私らしく自由に―バブルを謳歌したわがままな女性たち


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記事:山形ゆか(ライティング・ゼミ11月コース)
 
 
“50代から私らしく自由に”“もう一度●●を楽しもう”
シニア女性をターゲットにしたキャッチコピーには、こういったキーワードがよく使われている。まったく同じとまでいかなくても、だいたいこんな感じにしておけば食いつくと思われている気がするのだ。
急にフォロワーを増やす50代前後の女性は、会社を辞めたり、離婚したりして自由を手に入れた幸せを発信し続ける。女性が自立して、自分らしく生きる姿に共感する人は多いのだろう。50代以降の女性をターゲットにした雑誌を見れば、この世代に響くフレーズがよくわかる。
 
2024年には、50代以上が日本の人口の50%を超えると予測されていた。これは、第二次ベビーブームと呼ばれる団塊ジュニアが50代に突入するためだ。総務省が出した2023年人口推計を見ても、50代前半の人口比率が最も高い。
少子高齢化が進み、50代は大きな市場として色々な企業がこの世代を取り込もうと狙っている。
特に女性は購買意欲が高い。デパートの売り場面積を見てもわかることだが、婦人服・婦人靴・バッグ・アクセサリーなど圧倒的に割合が高い。女性がお金の管理をしている家庭が多いこともあり、不況のときほど夫の洋服などの購入が減る。女性は、節約してでも子どものものや自分の洋服を買う傾向があるらしい。
これは私がデパートで働いていた大昔の情報だが、売り場面積の比率があまり変わっていないことを見れば、その傾向に変わりはないようだ。
 
50代女性に響くマーケティングはとても重要だ。
仕事で、チームメンバーと50代女性をターゲットに商品開発を考えていたときの話だ。
50代は、子育ても終わって、住宅ローンも終わる頃。お金に余裕ができて、自分に投資したいと思えば可能になる。
さらに過ぎた時間と残った時間を比べて、もう潤沢に時間がある訳ではないことに気づく。だから、経験という投資や何か新たなスタートを切りたいと考え始めるのかもしれない。
 
50代にはいると「私らしく」「自由」「もう一度」の言葉に敏感に反応するのか? 
企画メンバー4人うち、Aさんと私が50代。
確かに、最近久しぶりにあった友人のうち数人が離婚していた。Aさんの周囲でも同じことが起こっているそうだ。
 
「今の50代女性って、自由じゃなかったと思う人が多いのかな」
「結婚して仕事辞めて、子育て終わるまで専業主婦って人も多いかも」
「私の友人は、子どもが独り立ちするの待ってようやく離婚した。そのために20年も前に社労士の資格をとって、いつか離婚できるようにと準備してたんだって」
 
50代はバブルのど真ん中に青春を謳歌した世代。
自由で華やかにイメージとは裏腹に、男性ありきの世の中だった。アッシーやメッシー、ミツグくんと呼ばれる存在がいて、お金を払うことなく遊べた。それはある意味、経済面で男性に依存して楽しんでいたってことだ。
男女雇用機会均等法が施行されても、女性と男性の給与支給額の差が縮まった訳ではない。男性は基本給も高いうえ、残業はし放題で付け放題。出世のスピードも各段に違った。
 
将来有が望な京大生とつき合いたいことを理由に、サークルが同じ京女に入学した友人がいた。
職場の飲み会となれば、女性は男性よりも会費が少ない。そのかわり? に役職者の傍に席を決められお酌と料理の取り分けをする。
金融関係で働いていた友人は、職場結婚すれば女性が辞めるのが当然だった。
そのことに疑問を持たず、当たり前だと思っていたのが私たちバブル世代。女性の幸せは、収入の高い男性と結婚することだと思い込まされていた。
 
例えば、高学歴で大企業に勤めお金を稼いでくれる旦那さんがいれば幸せと思っていたら、それほどでもなかった。実は、自由が欲しかった。もう一度あの頃のようにキラキラしたい。自分の力で生きてみたい。そんな願望が生まれてくるのかもしれない。
ところが、バブル期を過ごした同世代の男性たちは、妻がそんなことを考えていることに、まったく気づいていないのかもしれない。
離婚の話を聞くと、たいてい「旦那は離婚なんて全く想像してなかったみたい」と女性の側は言う。まさか、私らしく生きるための最初の一歩が夫と別れることなんて……。
 
30年も経てば、世の中の常識は変わって当然。私たちは常識が社会情勢や権力者によって変わってゆくことを、歴史を学んで知っている。
常識=正しい ではいことは理解しているつもりだ。
けれど「ジェンダーレス」や「多様性」は、ずっとずっと前から望み、憧れ、渇望していたこと。
 
「女の子のくせに」「職場の花」「女はクリスマスケーキ」「早く子どもを産まないといけないよ」「ひとりっ子はかわいそうよ。2人は産みなさい」「まだ働くの? 子どもがかわいそうでしょ」そんな言葉に振り回わされてきた。
目の前にぶら下げられた自由と自立の魅力に取りつかれながら、窮屈な時代を生きてきた50代女性がようやく一歩を踏み出せるときがきたのだ。
 
夫の立場からしてみれば、今さら「私らしく自由に」なんて勝手すぎるだろ! と思われるかもしれない。でも、仕方がない。私たちは、バブルを謳歌したわがままな女性なのだから。
 
 
 
 
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2025-02-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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