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幸せ目指して手をたたこう


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記事:和田 千尋(ライティング特講)
 
 
幸せなら手をたたこう♪ という歌があります。言われた通り手をたたくと、2番以降は足や肩をならすよう要求。それも従うと、「ほっぺたたこう」とエスカレートします。さらにアレコレやらされた最後にはきわめつけ、「幸せなら最初から」。終わらせてくれません(歌い手さんによっては、いろいろな歌詞バージョンがあるようです)。幸せなことをうっかり後悔してしまいそうな歌詞となっています。
 
とはいえ、この歌は戦時中の日本人に対する恨みや憎しみが残る、フィリピンの地を訪れた1人の日本人によって作詞されています。YMCAのワークキャンプに参加した木村利人氏が、最初は拒否されていたものの、最後には自分を受け入れてくれたフィリピンの人々への感謝と平和を願って作った歌です。「手をたたこう」という歌詞は聖書の「詩編」47章の「すべての民よ、手をたたけ」が元になっているそうです。実際に手をたたくということではなく、主を礼拝する喜びを表すということです。これを踏まえると歌詞の意味は「もし自分が幸せであると感じるならば、そのことをしっかりと記憶に刻んで認識し、幸せを与えてくれた神様、周囲に感謝しよう」ととらえることができ、ものすごく深い歌詞だと言えます。
 
手をたたくという行為について、あらためて考えてみますと不思議なことに、この両手を合わせて音を出すという手打ちの行為は、場所とタイミングをわきまえている限りは我々にとって嫌なものではない、むしろ大切にされてきている特別な行為だと気づきます。代表的なのは拍手です。拍手をもらうと嬉しいものです。皮肉で拍手するという事はありますが、基本的に拍手は賛成や賞賛の意思表示として使われます。また「魏志倭人伝」に倭人の風習として、貴人に対し手を打ってひざまづいて拝礼をしたと記載されています。我々の祖先は古より手を打つことで人に対しても尊敬の意を表していました。
 
現代でなじみが深いのは神社参拝時の柏手や相撲においての手打ちです。相撲においての手打ちは感謝や敬いの意味に加え、音と振動に場を清める力があるとためと考えられています。また会合などの最後に締めということで手を打ったことのある方も多いでしょう。これは滞りなく終わることが出来たことへの感謝を表し、皆の気持ちを通い合わせることができるという効果があります。このように手打ちの行為は敬ったり感謝したりする気持ちを表すことができ、それを相互に伝えあい、さらには場を清めることもできるのです。
 
手を打つという動作がここまで特別になった大きな要因はその音にあると考えられます。他にこのような音が出せる生き物を思い当たらないからです。以前サルが拍手をしている動画を見たことがありますが、パンッという小気味の良い音は出せていませんでした。手の皮と皮をぶつけてパーンという音を響かせる行為は虫や魚や鳥はもちろん、肉球やひづめがある他の生き物には不可能なのです。人間ならではの所作だと言えます。
 
そう考えると、ここらで実際に一発手を叩いてみたくなりませんか? 手元にゆっくりパワーをためて、集中してパーン! ……なんだか気持ちがスッキリしますね。感謝や敬いの気持ちを優しく相手に届けることができ、振動や音で場を清めることができる手打ちの力。リフレッシュしたいとき、気持ちを前向きにしたいとき、簡単に一瞬でできる「手」段として、もっと日常でも使ってみたくなります。
 
ここで提案です。手打ちのパワーを上げ、効果を確認する方法として、次に神社に行かれるときに、意識して柏手を打ってみてはいかがでしょう。周りを見渡すと残念ながら、柏手にまで意識を回していない人が多いと感じます。実はかくいう私もその1人。叶えてもらいたい時は熱心にお辞儀をし、熱心にお願いごとをします。しかし柏手にはそこまでこだわっていませんでした。
 
ところがある日たまたま訪れた神社で、大音量の柏手に遭遇します。本殿にお参りを済ませ、摂社にお参りしようと、いったん鳥居の外へ出た時でした。パアーーーーーーーン!!! と辺り一面を震わせる柏手が響きわたりました。どなたかが本殿にお参りされているのでしょう。あまりに凄まじさに我に返った後、今まで柏手を大切にしていなかった自分でしたが、気合を込め、あたりに音を響かせてみたい気持ちがこみあげてきました。家に帰り正しい柏手のやり方をチェック。型が整ったら後は気持ちを乗せるだけです。とはいえ1回に様々な思いを全て込めるのは難しい。しかし参拝の作法は幸いにも2礼2拍手1礼。すなわち2回チャンスがあるのです。それなら1回目は全力で神様に向けて、敬いと感謝を込めて。2回目にはベクトルを自分に向けて、現在の自分の立ち位置を記憶にピン止めするつもりで。1回目気持ちを外に出し、2回目で内にこめる。気持ちを出すだけのお願い一辺倒だった今までの参拝と異なり、まるで呼吸をするかのようにその後は自ずと自分を認める気持ちとその先の覚悟が出てきます。へにゃへにゃだった打ち方も何回か練習するうちにまずまずのできになりました。しかし実践だと、上手く音を出したいという邪念が入り、スカしてしまったりして奥が深い。舞台上で本番を迎えるがごとく、いざ参拝の順番がまわってくると意外と緊張します。逆に上手くいった際には、1人だけ柏手が響き渡ってちょっと恥ずかしくなりますが、気分は上々。おすすめです。
 
幸せを目指して、気持ちをこめて、手をたたいてみませんか。
 
 
 
 
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2025-03-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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