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人生最大の謎、ちょうどいい距離感ってなんだろう


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:田中優希菜(ライティング・ゼミ5月コース)
 
 
すべての悩みは全て対人関係の悩みだ、とアドラーは言ったらしい。
実際に自分の過去の悩みを振り返ってみても、確かに人間関係で説明がつくような気がする。
 
大学生の頃、いくつかバイトを掛け持ちしていた私は、あることに気がついた。
どこのコミュニティにいても、たいてい「田中“さん”」と“さん”づけで呼ばれるのだ。
バイト仲間の間では、呼び捨てになったりあだ名がついたりと、仲良くなって呼び方が変更されていく中、私の呼ばれ方は変わらない。
なんか、距離遠くない……?
名前の呼ばれ方は、そのまま自分の見られ方を映す鏡のようなものだ。
私は「田中」とか「田中ちゃん」とかではなく、「田中さん」。
この気づきから、私は自身の人間関係をはじめてしっかり考えることになる。
 

 
その当時、私は人と仲良くなることにすごく苦手意識があった。
バイト先の後輩が、先輩とプライベートで遊んでいると楽しげに話してくれた。
私は先輩とも後輩ともご飯にも行ったことがない。
あれれ……?
別に仲が悪いわけではないけれど、遊びに行ったりはしない距離感。
まさに、“さん”の距離感。
遊びに行くほど仲良くなれる人と、私は何が違うんだろう。
そう思って、友人にきいてみた。
 
「バイト先の人と遊びに行った話とかよく聞くけど、私、そんなに仲良くなれたことないんよな」
 
友人①の答えはこうだ。「ん~、まあそれくらいの距離感の方が正解じゃない?」
別の日に友人②に同じ話をすると「その距離感大事よな!」と返ってきた。
私は改善したいと思ってきいているのに肯定されるので、脳内は大混乱を極める。
 
ある程度大人になると、仲良くなりすぎない良い距離感が大事なのだという。
同じように相談した一回り上のバイト先のお姉さんは、「仕事だと特にね」と付け加えた。
正直、当時の私にはよくわからなかった。
 

 
「良い距離感ってなんだろう」 家に帰ってゆっくり考える。
 
悪い距離感はわかる。近すぎて過度な要求や依存があったり、遠すぎて関心がなかったりお願いができなかったり。でも、普通に遊びに行く友達は、良い距離感なんじゃないか?
大学生のときは、ここで考えが止まっていた。
近すぎないところまでなら仲良くなればなるほど良いと思っていた。
そのために話を盛り上げたり、相手の趣味嗜好に合わせたりしていくという社交スキルが私にはない。それがダメなのだ、と心に小さなトゲを残していた。
 

 
社会人になって、“さん”づけがマナーの世界になった。
みんな“さん”づけで呼ばれるし、特別仲の良い人しかそもそも会わなくなるので、呼ばれ方が気にならなくなっていった。
そんな折、ふと“さん”づけが気になっていた頃のことを思い出す。
 
「良い距離感ってなんだろう」 今なら、どんな答えを出すだろう。
 
私は「もしよかったら」の関係が良い距離感なんじゃないかと思う。
この台詞を言う相手って、友達じゃないけど相手を気遣う好意はある感じがする。
 
もしよかったらお菓子はどうですか。
もしよかったら手伝いましょうか。
もしよかったら教えてもらえませんか。
もしよかったら一緒に行きませんか。
 
友達のように相手をよく知っているわけではないけれど、それでも「よかったら」と好意でお声がけをする。
近すぎる要求ではなく、お誘い。距離はあるけど声をかけられる距離。
 
この「もしよかったら」が積み重なって相手のことがよくわかるようになったら、「一緒に行こう」と自然と提案できる関係になっていく。
きっと楽しんでくれるだろう、一緒に行くと楽しいだろうと、疑わず声をかけられる友人に。
 
そんな風に考えると、人間関係に必要なのは「もしよかったら」の声掛けなのかもしれない。
大学生の頃の私はバイトの中で「もしよかったらやっときますよ」なんてことは言っていたが、他のことを聞いたり誘ったりすることはしていなかった。
それが周囲の言う「良い距離感」で、私の抱えていた「仲良くなれない」の正体だ。
 
会社の中で良い関係を築くためには、会社の中のことでお声がけをする。
もしもっと仲良くなりたいときは、会社以外のこともお声がけして「もしよかったら」を重ねていく。
 
大学生の私と、社会人3年目の私。
環境が変わって「良い距離感」への考え方も、人間関係についての認識も、すごく変わったと思う。また環境が変われば、また違った考えが出てくるのかもしれない。
 
人間関係は、やっぱり人生最大の謎だ。答えは出ないし、変わっていく。
ここまで読んでくれたってことは、読む前からそう思ってた節、あるよね?
私はそんなあなたと、「難しいね~」って笑いたい。
もしよかったら、一緒に考えてみませんか。
 
人の悩みは、すべて対人関係らしい。
だからこそ、こうやって文字にしたり、いろんな人の話をきいたりしながら、折に触れて、少しずつアップデートしていきたいと思う。
 
 
 
 
***

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