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盆踊りを踊っていて気が付いたこと

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:井口敦子(ライティング・ゼミ5月コース)
 
 
先日、みたままつりに行ってきた。参道の両脇一面に黄色い提灯が灯り、その数のすごさと何とも言えないきれいな光景に、昨年に続き、今年も出かけた。
昨年同様、やぐらが組まれており盆踊りも行われていた。
 
実は、私、盆踊りが好きなのである。
決してうまいわけではないが、子供の頃から盆踊りは身近で、踊るのは当たり前のように感じてきた。難しい踊りはパスしてしまうが、最近はポップな曲や懐メロが盆踊り風にアレンジされ、ノリがいいのも楽しみの一つである。
ここでもそうだった。
銀座カンカン娘やダンシングヒーローに合わせて、踊るのはなんとも楽しかった。うまい下手は関係なく、みんなノリノリで踊っていた。私も見様見真似で踊っているので、傍から見たらなんとも滑稽な姿ではないかと思う。外国人もかなり来ており、なぜかうまかったりする。踊りの輪は1重・2重じゃ足りなくて、4重・5重にもなっていた。老若男女、皆、踊りを楽しんでいるではないか。やっぱり日本の夏は盆踊りでしょ!
 
大抵、町内会や○○会という踊りのベテランの年配女性がやぐらの中心で踊っていることが多い。そうした方の踊りを見ながら、一般の我々は踊るのである。
 
だが、私の踊っている目の前に、浴衣をきれいに着こなした男性がフラッと入ってきた。その男性、なんとも盆踊りが完璧なのである。そういう人は踊りの輪の中で際立ってしまうもの。
私はその男性を見ながら踊ることにした。なんだか、踊りがうまいだけでなく、所作も美しいではないか。私は踊りだけでなく、その男性の様子が気になった。
普段はどんな人か知らないが、その男性がもっている雰囲気というのがとても気持ちいい。年齢は40代くらいであろうか。その雰囲気は浴衣姿が織りなすものかもしれないが、どこか背筋を伸ばしたくなるような気持ちにさせるのだ。
私はこの男性を見ながら、なぜか自分を振り返りたくなった。この男性の所作の美しさや踊る雰囲気から、どこか自分の至らなさが情けなく思えた。自分はなにをしているのだろうか、もっと本気で生きないといけないのではないかとまで感じたのである。
所作の美しい人が周りに与える影響が大きいというのは、こういうことなのか。
いってみれば、人としての姿勢を感じるのである。私はモタモタ、いじいじしてしまうところがある。
でも、この男性のスパッと切れのいい動きと、丁寧なふるまいが、人としての重み、質の高さを感じさせるのであった。所作が美しいというのは、本当に穏やかで気持ちいい空気を感じさせる。
美しい所作。私が獲得できていないものだ。
 
それと別のエピソードをもう一つ。
私は引っ越しを控えているが、そこに携わって下さる不動産屋の担当者は言葉遣いがきれいだ。当たり前のことと思うであろうが、丁寧な言葉遣いによって、私はこの担当者への印象が変わった。最初は正直、提案される引っ越し先が私の希望とズレていて、あまり印象が良くなかった。でもこちらの疑問や思っていることに対して、言いづらいことも丁寧に伝えて下さるのがわかった。ちょっと感情的になりそうな内容についても、丁寧な言葉で必死に話されている様子は、どこか聞いていて嫌な感じがしなかった。それどころか、そういう内容こそ、丁寧な言葉で話すことで印象は変わるのだと実感した。もちろん職業上、そういうことには慣れているだろう。でも、人は自分が受けた体験が心に刻まれる。
そうやって、信用を獲得していくのが営業という仕事なのかもしれない。でも、私はここまで真摯に向き合ってくれる気持ちが嬉しかったし、自分の中に信用していく気持ちが湧いてくるのがわかった。そして、何かあればすぐに連絡し、物事がスムーズに行くのを感じた。そして、気持ちよく引っ越しに向けて準備が進んでいる。
 
話を元に戻そう。
美しい所作と丁寧な言葉遣い。
それだけでも人はなにかを感じることができるのだと思った。自分の心がきちんと感じたことには、何かしらの作用が起きる。自分の感性に響くことで、人は変わろうとすることができるし、変わることもできるだろう。
いまの時代は、情報を頭でキャッチして、すぐに結論を出すことができる。私も正直、そういう傾向がある。でも、どこか心はモヤモヤしているということも感じる。
本来、人は関わりの中で、自分の感性を通して感じることが大事なのではないか。リアルな体験はスマホの情報よりも、もっと心に何かを残してくれる。自分の中で、イキイキしたものを久しぶりに感じて嬉しかった。自分の在り方と他者への意識。すぐには変われなくても、この気持ちを留めて過ごしていきたいと思った。
 
 
 
 
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2025-07-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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