青天の霹靂の1年後に、再び青天の霹靂が降ってきた
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:りりぃ(ライティング・ゼミ5月コース)
「まさか……」
その言葉が、心の中で何度も響いた。
この日は、術後1年の定期検査の日だった。
何ごともなく通り過ぎていくと思っていた。まさか、こんな展開になるなんて──想像さえしていなかったのだ。
現在、私は天狼院書店のライティングゼミを受講していて、毎週2000字前後の記事を執筆している。
提出後はフィードバックをいただき、優れた記事は公式サイトにも掲載され、メディアグランプリという公開選考にも参加できる。
これまでのように、ただ思いのままを綴るSNSとは違って、「誰かに読んでもらう」という前提で書くこの学びは、私の文章にも、そして心にも大きな変化をもたらしてくれた。
だからこそ、今回のこの体験を、書こうと思った。
学びを活かすために。
そして、何よりも書くことで、自分の心の声を聞きたかったから。
1年前、私は大腸がんと診断され、腹腔鏡手術を受けた。
きっかけは、毎年の生活習慣病検診。
検便の結果により再検査となり、大腸内視鏡を経て、地域で最も大きな病院を紹介された。
再度の内視鏡検査の末、「結腸がん」と診断され、手術へと進むことに。
あのときの衝撃は、まさに「青天の霹靂」だった。
“2人に1人ががんになる時代”
そんな言葉を他人事のように口にしていた私が、まさか「その1人」になるとは思ってもいなかったから。
術後は、2~3ヶ月ごとの定期検診を重ね、半年も経つ頃には心身ともに回復し、以前と変わらぬ日常を取り戻していた。
そして今回、術後1年にあたる来月の診察に備え、今月はCTと大腸内視鏡の検査が行われることに。
数日前、大腸内視鏡検査を受けた。
前日から準備が始まる。
消化のよい食事のあと、当日の午前中には「経口腸管洗浄剤」という液体を1~2リットル飲み、大腸内を空っぽにする。
この洗浄剤がとにかく飲みにくくて、飲めば飲むほど気持ち悪くなり、吐き気をこらえながらなんとか流し込んでいく。
ちなみに、昨年はこの洗浄剤を4回、大腸内視鏡を3回も経験していた。
「生きるって、なかなか大変だなあ……」
そんなことを思いながら、吐き気と格闘していた。
そしてその日の午後、
お腹もすいて、「終わったら何を食べようかな」なんて思いながら病院へ向かった。
私の通う病院では、希望しなければ基本的に麻酔なしで検査が行われる。
20~30分で終わるはずだった……それなのに、様子がおかしい。
検査が長引く。
次々と医師が集まり、何やら相談をしている。
不安が胸の奥をじわじわと満たしていく。
痛みを感じながらも検査が続き、ようやく医師が「なんとか小腸まで届きました」と一言。
ようやく終わるかと思った、その直後だった。
「ポリープが、いくつかあります。切除して検査に出します」
……ポリープ?
手術をした部分じゃない、別の場所に?
しかも、ひとつじゃなくて?
頭が真っ白になった。
「呆然」という言葉が、これほどしっくりきた瞬間はなかったかもしれない。
これまでの定期検診では、特に問題はなかった。
運動も食事も、特に制限はないと言われていた。
今回は5年後の「寛解」に向けた、ただの通過点──そう信じていた。
それがまさかの「再びの異変」
医師からはこうも告げられた。
「小さなポリープで取り切れないものもあり、今後、治療が必要になるでしょう」
その言葉に、胸がざわついた。
前回のがんの経験がある私にとって、「陽性」の可能性を完全には否定できない。
しかも、すべては取り切れていない──ということは、抗がん剤治療も視野に入るのだろうか。
1時間にも及んだ検査と切除の間、隣室からは誰かの苦痛の声が聞こえていた。
私自身も確かに痛かったけれど、叫ぶほどではなかった。
痛みの感じ方が違うのかな……それとも、私が少しだけ痛みに強くなったのかな……
そんなことをぼんやりと考えながら、心のどこかでは「これからどうなるんだろう」と、自分に問いかけていた。
検査後、医師からは
「1週間ほどは旅行や運動を控え、消化にいい食事を心がけてください」との注意があった。
青天の霹靂から1年──
ようやく日常が戻ったと思った矢先に、またしても青天の霹靂がやってきた。
がんを経験したことで、私は「死」を身近に感じるようになった。
そして、その感覚は私の生き方や価値観に少しずつ変化をもたらしてくれた。
「いつ死んでも後悔しないように」
そんな思いで、毎日を丁寧に生きようと決めた。
でも……それは「生きていく」ことが前提であって、「いつ死んでもいい」なんて思っているわけじゃない。
そう、私は
生きていくつもりなのだ。
だから今は、検査結果が出る8月1日まで、あれこれと想像して思い悩むのではなく、その時が来たら、結果を受けとめ、やるべきことをやる。それだけ。
これまで、何度も泣いて、何度も転んできたけれど、私はそのたびに立ち上がってきた。
7転び8起きどころじゃ足りない。
99回転んで、100回起きてきた。
その積み重ねが、少しずつ、でも確かに強くしてくれた。
だから──
私はきっと、大丈夫。
たとえ、どんな結果が待っていても、私はちゃんと向き合って、前に進んでいける。
だって私は、もう「生きる覚悟」をしているから。
***
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