人生、まるっと楽しむべし!
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:山田美虹(ライティング・ゼミ7月コース)
人生ってなんだろう。
皆さんも一度くらいは考えたことがあるだろうか。
「人生」といえば、往年の某人気時代劇のテーマソングで、「人生、楽ありゃ、苦もあるさ」と言っていたのを思い出す。また、「人の一生は重荷を負いて遠き道を行くが如し」という、かの徳川家康公の御遺訓も有名である。
生きていれば、楽しいことも辛いことも、うれしいことも嫌なこともある。まあ、それが普通だ。だが若いころは嫌なことが起こるたびに、私ってついてない、なんでこんなことばかり起こるんだろう、辛い、もう嫌だ……などと思いがちだ。「楽」もあったかもしれないが、そちらにはあまり目がいかず、「苦」の方ばかりに意識がいくので、辛いことばかり起こっているような気がしてしまう。そして、何とかその「苦」から抜け出そうと、必死にもがいたりする。
家康公の遺訓の方は、いかにも幼少期から大変な人生を送ってきた家康公らしいお言葉ではあるが、現代においてそのまま受け取るには、少々重い。私だったら、ずーっと思い荷物を背負っているのも疲れるし、「遠き道」もゴールがわかっているなら耐えられるけど、先が見えないのではちょっと……気力がもつかなぁなどと思ってしまう。50歳を少し超えた私でさえそう思うのだから、今の若者たちに言ったら「えー、重い荷物?ずっと歩くの?ウザい」とでも言われそうである。
私自身は、30代半ばまでは、人生とはビルの階段を上るようなものだと思っていた。小学校、中学校、高校、大学、と上の学校へ進んでいき、「学業」のフロアが終わったら、就職。今度は「仕事」のフロアで、ステップアップしていく。新入社員からスタートし、2年目・3年目と先輩社員になり、5・6年くらいしたらチーフとか、主任とか?一つの会社に長く勤めないなら、転職するという方法でステップアップを図るか。
また、仕事以外で人生に関わることと言えば、結婚や出産である。特に私は「女」という性別に生まれたので、これらは非常に大きい問題であった。ここで、一般的には、女性としては分岐点がやってくる。仕事というフロアで、上に行く階段を上り続けるか、一旦上るのをやめて違う道を行くか。
「結婚」という道を選んだとしても、やはり常に階段を上り続けることになる。新婚生活という初々しい時期を経て、次に子どもが生まれたりする(もちろん、すべての家庭がそうだというわけではないのであくまで一般論として、である)。子どもの成長は、またステップアップそのもの。親となった自分もそれに合わせてステップアップしていく。
私の中では、人生とは、こういうイメージだった。
このイメージに陰りが見え始めたのが30代半ばである。何となく結婚生活がうまくいかなくなる。そして家出からの別居。娘が小さかったので思い直して同居。でもやっぱり別居して離婚。おかげで娘には、小学生時代、不安定な生活をさせてしまった。
その後、シングルマザーになる。人生がどこに向かっているのか、そんなことを考える余裕はなかった。とにかく毎日の生活を何とかしないといけない。でも幸い、半年後に再婚。夫いわく、当時の私たちは、「このまま放っておいたら路頭に迷うんじゃないか」というふうに見えていたらしい。確かに、経済的な余裕はなかったから、拾ってくれた夫に感謝、である。
生活は落ち着いた。娘は中学生になり、さあ、これからまた階段を上ろうか……と思った矢先、娘が入学2か月で不登校になってしまった。原因は何かあったのだろうが、私はそれに気づいてやることができなかった。母親失格か。階段どころか道すら見えず、娘と手探りで進むことになった。
そんな中、14歳離れた妹が生まれることになった。長女が多感な時期、しかも不登校という問題も抱えているのに産むのか、という声もあったが、私は、この子が何かしらの突破口になってくれると信じて、産んだ。劇的な変化があったわけではないが、長女は少しずつ変わり始め、高校から立ち直り、3年間ほぼ皆勤で通学できた。希望の大学にも合格し、今はもう4年生。内定ももらい、来年には就職である。ほかの子より少し遠回りはしたが、結果オーライ。行く先が見えなかった分、親子とも学びが多かったと感じる。
その時に生まれた子も、今年8歳。少しマセてきて、クラスの「女子問題(グループを作るとか、ボスの子が偉そうに命令してくる、とか、トイレに一緒に行こうと言われる、とか)」を毎日のように私に話してくれる。自分も女子だから体験してきたし、長女の時もさんざん聞いたし、もううんざりなんだけど(私は「女子問題」が大嫌い)、なぜか次女の話を微笑ましく、「お、きたきた、女子問題」などと楽しんで聞けている。これも、長女の時に一度経験している余裕からか。そして、次女との生活に関しては「階段を上っている」とは全く思わないから不思議である。
ここに至るまでの様々なことを通して、私の人生観はガラッと変わったのだ。
人生は、ハーモニー。
今は、そう考えている。「私」という音を中心にして広がるハーモニー。
このハーモニーには、これまでに経験してきた様々なものが含まれる。出会った人。遭遇した出来事。体験してきたこと。感動したこと。嫌だと思ったこと。うれしかったこと……。
すべてのことが「音」だとすると、それらが調和して、「私」というものを形作っている。経験してきたことの多さ、出会った人の数、影響を受けたことなどによって、ハーモニーの豊かさが異なる。音の幅が変わる。ドレミの音は7音しかないが、低音があったり高音があったりする。オクターブが重なり合えば合うほど、豊かな響きになる。
……こう考えたら、どれだけ楽しいことか!
過去に経験したこと(音)も、今の私に必要であれば残っていて鳴り続けているし、もう必要でなくなっていれば、見えない音符となって消えている。また、これまでに出会ってきた苦手な人や嫌な出来事は、「私」と波長の合わない音、つまり不協和音となって表れているとしたらどうだろう。不協和音が鳴っていたら、気持ち悪いし、居心地がよくない。何とかその響きの中から抜け出したいと思う。解決する方法は、その合わない音を合う音に変えるか、または、自分のハーモニーの中から抜けてもらう(あるいは自分が移動して外れる)か、ということになる。つまり、相手を変えるか、自分が離れるか、というようなことである。こんなたとえでさえ、何だか「人生」を語るのにぴったり来る。
私は、今、この「ハーモニー」をとても楽しんでいる。ここに来るまでに、いろいろなことがあったが、そのすべてが今の私を形づくっているハーモニーだ。そう考えたら、このハーモニーを楽しまない手はないだろう。「人生100年時代」、私の人生もまだあと半分残っている。この先、どんな音が付け加えられていくか、どんなハーモニーが聞こえてくるか、本当に楽しみである。鳴っている音のすべてを楽しみながら、生きていきたいと思っている。
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