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カスタマイズ型 仕事ゲーム術

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

記事:有田実弥(26年9月ライティングゼミ withAI)

 

「自分じゃない人になろうとしてるのかな」

 

そう言われて、少しむっとした。なろうとなんてしていない。むしろ逆だ。

7年勤めた会社を辞め、デザインの専門学校に1年通い、今年やっと、自分に合う会社にたどり着いた。

目指したいものも、大切にしたいものも重なる。

静かな人が多く、無理に話さなくていい。誇りを持てる仕事がある。今の私は、ようやく自分らしくいられるはずだった。

 

20代の私は、足りないものばかり数えていた。何かをやり遂げないと、何者でもない。そんな自分を、どうしても受け入れられなかった。

だから25歳のとき、決めた。これから5年間は、好きなことに挑む投資期間にする。自分を成長させるためなら、お金は惜しまない。

会社で働きながら、転職活動をした。劇団に入り、ダンスを習い、お芝居をした。コピーライターの講座にも通った。

クリエイティブの世界で生きるヒントがつかめるまで、とにかくやってみた。その先に、デザインの専門学校があった。

 

環境を変えれば、足りない自分も終わると思っていた。

でも、終わらなかった。

新しい職場には、もう出会わずに済むと思っていたタイプの人が、一人だけいた。その人とやりとりするたび、体力がごっそり削られる。

仕事のやり方もまだ定まらない。ミスをするたびに自己嫌悪がやってきて、もうやりたくない、という声が頭の中で鳴る。

場所を変えても、私はまた、足りない自分を責めている。

 

だから、向きを変えることにした。仕事の時間の中で、いかに楽をするか、いかに楽しくするか。それを自分なりのゲームにする。

合言葉は「楽してぇ」。このわんぱくな欲を、隠さずに仕事に持ち込んでみる。

とはいえ、どうやってゲームにすればいいのか。正直、まだわからない。だから今、先人の本を頼りに探している。

 

ゲームデザイナーのジェイン・マクゴニガルは『幸せな未来は「ゲーム」が創る』で、ゲームの条件を四つにまとめている。

ゴールがあること。ルールがあること。進み具合がわかる仕組みがあること。そして、自分から参加していること。

最後の一つに、はっとした。同じ作業でも、やらされていると思えば苦行になる。自分で選んで遊んでいると思えば、ゲームになる。

では、ルールはどう作るか。ジェームズ・クリアーは『ジェームズ・クリアー式複利で伸びる1つの習慣』で、目標より仕組みを見よと説く。

人は目標の高さまで上がるのではなく、仕組みの水準まで落ちるのだ、と。

これは、ミスのたびに自分を責める私への処方箋かもしれない。ミスは私がダメな証拠ではなく、

仕組みに穴がある合図。そう考えれば、責める相手が、自分から手順に変わる。

 

グレッグ・マキューンの『エフォートレス思考』には、もっとシンプルな問いがある。

「もしこれが簡単だったら?」。難しく考えるほど、人は消耗する。楽をしたい気持ちは、怠けではなく、近道を探す力なのかもしれない。

そして、楽しさ。心理学者のチクセントミハイは『フロー体験』で、人が時間を忘れて没頭するのは、挑戦の難しさと自分の腕前が釣り合ったときだと述べている。

簡単すぎれば退屈し、難しすぎれば不安になる。

 

読んで、腑に落ちた。今の私の仕事は、事業をつくることだ。正直、知識も実績も、まだ釣り合っていない。

できていないと、いびられる。そのたびに警戒心が疼き、体がこわばる。没頭どころではない。

だとしたら、腕が追いつくのを待つより、難しさを小さく切り分けるほうが早いのかもしれない。

 

試しに、マクゴニガルの四つの条件を、自分の仕事に当てはめてみた。

ゴールは、ある。締め切りと完成形だ。ルールも、会社の決まりとしてある。足りないのは、残りの二つだった。

進み具合が見えないから、終わりが見えずに疲れる。自分で選んだ実感がないから、やらされている気がしてくる。

進み具合なら、見える場所に置けばいい。終わったタスクに線を引く。今日はいくつ倒したかを数える。それだけで、少しゲームらしくなる気がする。

けれど、自分から参加している実感のほうは、どうすればいいのだろう。仕事は、選べないことのほうが多い。選べない仕事を、どうやって自分のゲームにするのか。

 

ここで、私はまだ立ち止まっている。

 

今、私はClaudeCodeを相棒に、実験をしている。タスク管理を任せ、毎日のニュースを拾わせ、AIでチームを組んで仕事に当たる。

うまくいく日もあれば、空回りする日もある。ゲームのルールは、まだ書きかけだ。

それでも、見えてきたことはある。楽をする工夫は、仕組みとして残る。仕組みが残れば、周りの人も仕事を手放せる。

私には任せてもらえる仕事が増え、一人で集中できる時間が増える。静かに働きたい私にとって、それは何よりのご褒美だ。

 

例の人とのやりとりだけは、まだ攻略法が見つからない。ラスボスは、たぶん最後まで手ごわい。

 

「自分じゃない人になろうとしてるのかな」

今なら、少しだけ言い返せる。私は、誰かになろうとしているわけじゃない。

今の自分のまま、楽に、楽しく動けるルールを探しているだけだ。足りないものを埋めるのではなく、今の自分で遊べる場所をつくる。

 

これからも、その答えを探し続ける。

 

 

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