メディアグランプリ

「食は命なり」という奇妙な言葉に出会い……、私は変わった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:松田紗也加(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
昔、むかし……。 と言ってもそんなに昔の話ではない。
江戸時代に、水野南北という観相学の大家がいた。18歳の頃、道を歩いていたら突然、「顔に死相が出ている」と、人相見に言われたそうだ。命を救いたい一心で、出家を決意。弟子になる条件として節食を命じられた。驚いたことに、節食したら、顔から死相が消え、運勢も好転した。この経験を通して「食は命なり」という閃きがやってきたという話を聞いた。
 
最初私は、「食は命(イノチ)なり」と読んでいた。ところがある人から、「食は命(メイ)なり」と読むのだと聞いた。重たい感じの言葉が、急に軽く平らに感じられた。と、同時に、「食は命(メイ)なり」という言葉の響きが、心にスッーと入ってきた。
 
この話を聞いた頃の私は、節食とは真逆の食べ方をしていた。健康や食を整えることに無頓着で、仕事や人間関係で溜まったストレスを、美食・飽食で癒そう、というような生活をしていた。つまり、自炊は皆無で、美味しいものを食べ歩いたり、コンビニ・デパ地下惣菜の日々。そして食後にはコーヒーを淹れ、毎日、アイスクリームやスイーツを何個も食べてほっこりする。そうすることで、ストレスや疲れが回復すると思っていた。
 
それでも若さに助けられ、健康診断結果はずっと「異常なし」だったので、自分はいたって健康であると思っていた。でも、時々ど〜〜〜っと疲れることがあって、高額な健康食品を購入し、それに頼って凌いでいた。
 
あのまま年を重ねていれば、近い将来、きっと体調を崩していたに違いない。
私が幸運だったのは、健康に全く問題のないうちに、「食は命(メイ)なり」という不思議な言葉と出会い、その導きのような流れが現れたことだ。
 
それから数日後、ネットサーフィンをしていたら、突然、綺麗に切られた野菜がキラキラ輝いて…… ”光” が飛び出しているかのような ”まばゆい” 画像が目の前に現れた。ピンピンに砥がれた庖丁がずら〜と並んでいる画像に目が釘付けになった。ワクワクして、どんどんどんどん過去記事をさかのぼっていくうちに、そのブログの持ち主が、お料理教室をされていることを知った。
 
「行きたい!」すぐにそう思った。
 
お料理教室初日。
 
「えっ? これが玄米?」
「白米よりもはるかに美味い!」
 
先生が焚かれた玄米ごはんをパクッと食べた時の感想だ。正直驚いた。私はそれまで、玄米は食べにくいし、美味しくない、というイメージを持っていたからだ。その思い込みが打ち砕かれ、「こんなに美味しいのに、なんでみんな玄米にしゃーらへんにゃろ」と、不思議な思いがしたことを覚えている。
 
デモで先生が作られた、おかずやお味噌汁も、これまた最高に美味しくて、無心でパクパク食べた。
 
「なんか、しあわせ ♪」
 
身体中にじんわりと優しい味が広がって、心がほっこりした。初対面同士で固かったクラスの雰囲気が、食事の後は、会話がやわらかくなって、仲の良い友達と食卓を囲んでいるような暖かな空気に変わった。今想い出しても、しあわせな気持ちになるほどだ。
 
お料理を習い始めて、そろそろ9年になる。
 
食べ過ぎで太り気味だった体重が8kg減り、理想的な体重となった。
冷え性も改善され、ポカポカ体温が高くなった。
花粉症の症状が軽減され、嬉々として桜を愛でに出かけられるようになった。
 
でも一番良かったなぁと思うのは、教えてもらった玄米ごはんやお料理を頂くと「美味しくて」「体が元気になって」「心も楽しくなる」ことだ。「美味しいねぇ」って楽しんで食べていたら、穏やかな心と元気な身体に、自然と生まれ変われたことだ。
 
健康な身体を作るお料理というと、淡白な味で、とかく ”身体” のことだけに捉われがちですが 、心と身体、両方あっての私たち。美味しくないと続かないし、切り方だとか、盛り付け方だとか、色どりだとか、いろなことに心を届け、丁寧に、丁寧に、氣を込めて作るからこそ ”心” もほっこり楽しくなれる、これが最近少しずつ実感できるようになってきた。
 
そして、こんなお料理を食べて育った子供たちは、人と争いを好まない、やさしい子に育つと思う。だからたくさんのお母さんに、食の大切さを知って欲しいなって最近特に思うのです。
 
ここにきてやっと「食は命(メイ)なり」の意味がコトンと落ちた。
 
食事をおろそかにするところから、心が乱れ、運気も落ちる。食べ方は生き方であり、人の心をも作るのだ。
 
そして、心を込めて丁寧に作ったお料理は、少量で体も心も満たされる。だからたくさん頂かなくても満足できる。食を節することが自然にできるのだ。
 
そして、食を節することは、天地に対する徳のエネルギーとなる。
 
食とは、食事法とか健康法と同列に並べるものではなく、大宇宙の一部の人間としての正しい生き方なのではないでしょうか。

 
 
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2018-06-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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