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メディアグランプリ

自分への無茶振りと開き直りで人生は変わる


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:宮﨑聡史(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
学生の頃から旅が好きで、お金を貯めて時間を作っては海外旅行によく行っていた。
旅好きの友人と一緒に計画して行くこともあったが、気楽なひとり旅も好きだ。
 
12年ほど前、新卒で入社した会社を辞めた。
理由は不況による部署の統廃合で、千葉の田舎にある工場へ異動させられそうになったからだった。
それに仕事にも退屈してきていたし。
田舎の工場にも行きたくないし、仕事も飽きたんで辞めます、なんて適当な理由で辞めたわけだ。
それで、こんな機会もなかなか無いだろうからと、すぐに次の会社を探すことはせず、以前からやりたかった計画を実行に移すことにした。
 
「ヨーロッパ周遊放浪計画」
 
とにかく長期の旅がしたかったのだ。
少なくとも1年くらいは就職しないつもりだったし、貯金もあった。
 
計画はイギリスから入って、フランス、スペイン、ポルトガル、イタリアを周り、ギリシアに渡って、東ヨーロッパを経由してスイス、ドイツを抜けてオランダから帰る。
交通は鉄道かバスか船で、日本からの往復以外は飛行機は使わない。
とにかく地べたを走って地球の広さを実感したかったから。
泊まるところは旅費を浮かすためにユースホステルに泊まる。
日本から予約をするのは難しいし、そもそも日程もルートも固定していないから予約は不可能なので、現地で探すことになる。
 
我ながら面白い計画だと思うけれど、まぁ、普通に考えて無茶である。
 
そして、出発の日。
僕は成田空港のロビーでひとりだった。
ひとり旅に出る直前の気持ちはいつも同じだ。
これから始まる冒険への期待と楽しみが半分、もう半分はというと、後悔というのが近い。
パスポートに判を押してもらい、ゲートを出て、飛行機の座席に座り、シートベルトを締める。
 
「しまったなぁ」と思う。
 
いくらなんでも、今回のはさすがに無茶振りしすぎだろうと、こんな無謀な計画を立てた過去の自分に文句を言う。
少なくとも1ヶ月は帰ってこれない。
いや、そもそも1ヶ月後、無事に日本に帰ってこれるのか?
英語だってそんなに得意じゃないのに、ちゃんと現地で宿を見つけられるのか?
電車やバスにもちゃんと乗って、目的地にたどり着けるのか?
ヨーロッパでひとり、どこにも行けずにホームレスなんて最悪だ。
不安が頭の中をぐるぐる回る。
 
飛行機のエンジンの音が急激に大きくなり、スピードが上がり、体を椅子に押し付けられる。
あっという間に眼下に東京の夜景が広がる。
もう逃げられない。
僕はその時点ではもうすっかり開き直っていた。
何が起ころうとも、すべて自分の責任として、受け入れて、対処するしかない、と。
 
1ヶ月間のヨーロッパ放浪の旅。
僕は必死で生きていたと思う。
多くの人に助けられながらも、本当に頼れるものは自分自身しかなく、必死で自分の力を信じて動き続けた。
ユースホステルの場所がわからず、迷子になりながら重い荷物を引きずって歩き回ったり、やっと見つけたと思ったら満室で、ホテルに空室確認の電話をかけまくったり、深夜や早朝にバスターミナルに着いて、不安になりながら暗い道を歩いたり、英語が通じなくて四苦八苦するなんてのはしょっちゅうだった。
そして、美術館や博物館、教会、宮殿で美しい美術に触れ、ヨーロッパの街並みを眺めながら歩き、勇気を出して入ったレストランで食事をし、明るい日差しの下でビールを飲む。
ものすごく大変だったけれど、楽しくてしかたなかった。
 
約1ヶ月後、山ほどのトラブルを乗り越えて、山ほどの面白い体験をして、日本に無事帰ってきた。
出発した時の自分とは、違う自分になった気がした。
 
この旅で学んだことがある。
開き直ってしまえば、たいていのことはなんとかなるということと、自分への無茶振りは成長の糧になるということだ。
 
「開き直り」というとネガティブな印象がある。
責任を放棄して、すべてを放り投げて知らない振りをして逃げるというイメージだ。
それは言ってみれば、「子供の開き直り」だと思う。
「大人の開き直り」は一種の諦めでもあり、一種の覚悟のことである。
自分が行動した結果、何が起ころうがかまわないという「諦め」と、その起こったことを自分ごととして受け入れるという「覚悟」だ。
 
開き直った人間は強い。
それは人生を変えるほどの力を持つと思う。
 
そして、1年半ほど前、僕はまた会社を辞めた。
今度はもう就職するつもりもない。
会社を辞めた理由は、長時間労働とプレッシャーによるストレスで体調を崩したからだ。
会社という組織の中で働くのはもういいやと思ったので、フリーランスになった。
結果として体調を崩したが、幸い一人で十分やっていける程度の経験とスキルは積むことができた。
だから、会社なんかに頼らずに一人で生きていくと、開き直ることにしたのだ。
 
開き直った結果、時間も収入も増えた。
会社を辞める直前は死にたいと思うほどだったけれど、今は生きるのが楽しくてしかたない。
そして、こうしてライティングのスキルを身につけたり、他にも準備を進めている。
 
何の準備って?
それはもちろん、次の「無茶振り」に対応するための準備ですよ。

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2018-06-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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