整体はプロレスである
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:藤牧誠(ライティング・ゼミ平日コース)
「んっ? ここはどこだっけ」
「あぁ、そうか」
気がつくと仰向けになって天井を見上げていた。
もう3カウントがはいってしまったのかと。
まだ意識はハッキリしていなくそれはちょうど、眠りから覚めた状態である。
そばには中年の男が立っている。戦いを終えたあとには見えないほどの爽やかな顔つきだ。「だいぶお疲れのようですね」 この男は何を言っているのだ。
その言葉で私はふたたび我に返ることができた。
そう、ここは整体院のベッドというリングの上である。
「今回も、また落ちてしまったようだな」
仕事でストレスがたまっていたり、パソコンやスマホで姿勢も悪くなり、最近は肩こりもひどかった。おまけに、座っている時間も長かったせいか腰もつらかった。
カラダは限界にきていたらしい。
このリングでは派手なアクションや飛んだり跳ねたりと軽やかな選手はいない。
また照明もまぶしくはなく、スポットライトもない。しかし落ち着く感じの照明だ。リング上には清潔なタオルがひかれており、汗臭さもない。
たいていはアロマを焚いたりして、「ここちよい場所ですよ!」 的なところが多いが、ここでは、かすかに香る程度で不思議とおちつくのである。
この時点で相手のワナにすでにかかっているのか。
しかしそれだけではなく、その男の技の1つに関節技といわれるものがある。
「人間にはいくつもの関節といわれる部分があります。たとえば、肩、肘、手首、膝、足首などがそうです。関節は筋肉で動かすこともできるんですよ」。
と、その男はいう。
その男は片手でしっかりと肘ホールドし、もう一方の手でひねったり、逆関節という本来まがりにくい方向へとまげている。
その力は強すぎず弱すぎず、痛気持ちいい感じで逆関節を決めてくれるのである。
今日は不覚にも相手のこの関節技で落ちてしまったらしい。
そのほかには鍼というものを使うらしいのだ。これは人体にはいくつものツボと呼ばれている部分があり、そのツボに刺す。
それは痛いと思いきや刺された感覚もないときもある。人によっては心地よい刺激だそうだ。
鍼を刺されるときはわかるので、カラダは一瞬防御姿勢をとり身構えるが、そんな抵抗もむなしく、鍼がカラダの中に入る。鍼をすべて刺し終えた後は、「どうだ、動くことはできないだろう」と、その男は勝ちほこる。こちらは「負けてたまるか」と、思い抵抗するもカラダ正直でポカポカと温まり、リラックスさせて力が入らないうちに3カウントを奪いにくる。
その男と再戦を繰り返した結果、次の日はカラダが軽くなりまた、頑張れるから不思議だ。時々刺激が強すぎると、重だるくなる。
普通ならこんな逆関節を決められたり、鍼で攻撃されたら相手を恨んだり、マイクパフォーマンスでいろいろ怒りをぶつけたいが、なぜか「ありがとう」という感謝の気持ちが出てくるし、「また挑戦してやるから、首を洗って待ってろ」と、再戦を思ってしまう。その男も挑戦者をよろこばせるために準備万端で挑みつづけているのだ。いつでもかかってきなさいと。
たまに行くプロレスも同じようなもので、ワクワクするような戦いが観たい。
ストレス発散のために行く。
楽しみたい、などと観客は思うのである。
興行する方としては、よりわくわくするようなイベントにしたい。
日頃のストレスを忘れてもらい、楽しんでもらいたい。
一緒にイベントを盛り上げてほしい。
気にいってもらえたら、また応援にきて欲しいなどと思う。
その為にはプロレスの興行を成功させるため、みんなに喜んでもらうためを考え、日夜激しい練習を繰り返し、カラダを作り、どうすればケガをしないで最高のパフォーマンスをみせられるかが大事。ケガで欠場となれば、ファンをガッカリさせてしまう。
一流になれば成るほどファンサービスもハンパではない。
会場では試合前にTシャツやグッズ販売をし、サインや一緒に写真を撮らせてくれる。
日常生活でもイメージダウンさせないサービス。
ツイッターやFacebookでも自分自身の想いや考えを発信し、常にファンを意識したことを書いている。最高にカッコいい!
整体師なるものも、来店してくれるお客様に満足のいくものを提供できるように、
日夜さまざまな改善点を考えたり、技術を高めたり、自分自身のカラダと向き合いお客様のために自ら実験台となり試してみたり、一人で院を開業していると同じ職場の人からフィードバックがない。気づかないうちに自分中心の考えになってしまう所がある。
気づかないうちにお客様が離れて始めて気がつく。それではもう遅く再び戻ってくる可能性は低い。
なにかと一流のプロレスラーやプロレス団体は参考になり、また自分を鼓舞させられる。もっともっと多くの人たち喜ばせられる、レスラーいや、整体師になれることをめざして欲しいのである。
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