メディアグランプリ

ノーベルな女の、希望的観測なひとりごと。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:イリーナ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「すごい! きっと、いつか、芥川賞か直木賞をもらうような作家になるね!」
天狼院書店のライティング・ゼミで初めて課題を提出し、WEB天狼院にアップされた記事を読んだ友人から、こんなうれしいメッセージが届いた。
 
ライティング・ゼミは途中からの参加だったし、まだ第1講の動画しか見ていなかった。おまけに、締め切り直前になってとりあえずキーボードを打ち始め、講座の肝となる、なんちゃらユニットのことも抜け落ちていて、2時間程度で仕上げたものだった。それでも、友人の多くに褒めてもらえて、少しばかり書くことへの自信が蘇ってきた。
 
なるほど、芥川賞か。
ほう、直木賞ね。
 
でも、私はそんな賞をもらう気は毛頭ない。
〝そんな〟というのは、見下しているのではなく、恥ずかしながら、そのような賞をよく知らないのだ。芥川賞と直木賞が、どのように区別されて作品が選ばれているのか、以前ググった記憶はあるのに、その結論が思い出せない。本屋大賞なら、文字通りの意味合いだと解釈できるけど、いずれの賞にしろ、どういった類の文学賞にしろ、実際の受賞作品を読んだことが、ほとんどない。
 
そう、私は、本を読むことが、どうしようもなく苦手だ。
水木しげる大先生の妖怪シリーズとか、未解決事件を扱ったノンフィクションなどは、ちょっとうんちくを傾けられるくらい、ハマって読んだ時期もあるので、読書が嫌いとは言わない。が、基本的に、活字を追い続ける忍耐力が欠如しているのだと思う。なので、ジュンク堂や丸善よりも、ついつい映画館へと向かってしまう。ちなみに、映画なら、年間50本以上は劇場で鑑賞している。
 
そのため、学校の宿題の定番である「読書感想文」において、最も難しい課題は「私が最後まで読み終えられる本」を探すことだった。
高校時代は、副読本として持たされていた「国語便覧」が大いに役に立った。確か、文学史のあたりに世界的な名作がずらっと並び、それぞれ2,3行のあらすじで紹介されていた。正直、この2,3行で私には十分なのだが、これでは原稿用紙5枚とか6枚の感想文は書けない。実際には、私なら何かしら書けると思うが、感想文じゃなくて、創作文になってしまう。
ともかく、そこに載っている本のタイトルと一言のあらすじで、面白そうなものをひと通りピックアップしてメモをとった。
それから、いそいそと、できるだけ大きな書店におもむいた。世界的名著なら、図書館に行けば全部そろっているだろうが、図書館には行かなかった。絶対に2週間の貸出期間で読み終える自信がなかったのと、ただでさえ嫌々なのに、ページの隅にチョコレートのしみなんぞ見つけたら、たちまち読み終える気力が無くなるからだ。
そして、がらんとした本屋の、色気のない文庫本コーナーの前に立ち、端から順番にピックアップしてきた書名を探していった。実際には、出版社ごとや作者名ごとに並んでいたりして、なかなか探すのに苦労した。
 
『赤と黒』……上下巻、ありえない。上だけでも約400ページ。却下。
『ライ麦畑でつかまえて』……なるほどねぇ。そうよねぇ。このくらいの厚さが普通よねぇ。
『異邦人』……おおっ。なかなか手ごろな薄さじゃないか!
『変身』……すごい! 他の文庫本に埋もれて、探すのが難しいくらいの薄っぺらさ!! 採用!!!
 
そんなしょうもない理由で、世界的に知られているカフカの『変身』を選び、感想文を完成させた。『変身』の内容は全く薄っぺらくなかった。この私が、あっという間に読み終えて、今でも心に残る数少ない1冊だ。まあ、読書の絶対数も少ないのだけれど。その後、アルベール・カミュの『異邦人』にも手を出して、感想文を書いた。そして、本の厚みで選んだ題材にも関わらず、私の感想文は毎回何かで表彰された。やはり、何のコンクールだったかは思い出せないのだが。でも、国語の先生が私の感想文にいたく感銘を受けたらしく、わざわざ呼び出されたのは覚えている。
ともかく、文字を読むのは苦手でも、文章を書くのはなかなかセンスがあるのだ、きっと。
 
ライティング・ゼミに参加している人や、小説家・ライターを目指しているような人というのは、たいてい本好きか、そうでなくとも、仕事なり、趣味なり、それなりに文章を読んでいる人なんじゃないかと思う。だから、私もゼミを受講するにあたり、少なくともメディアグランプリに掲載されている記事ぐらいには目を通したい、と考えていたが、なかなか実行できていない。大体、仕事に関する資料すら、タイトルだけで眠くなる。それは仕事だからかもしれないが。
 
しかし、それでも、私は大作家になる素質があると確信しているのは、まさしくそこである。
なぜなら、誰よりも「読むことは苦痛である」と知っているからだ。
そして、そんな人間にとって、目の引くタイトルと、無駄に長くない本の厚みは甚だ重要である。
だからいつだって、そんな視点で書くことができる。
もう一つ、他人の作品をほとんど読んでいないので、他者の考えに影響を受ける可能性も低い。知らずに(?)盗作・盗用なんてことはまずないだろうし、なんだってオリジナルだ。
むしろ、オリジナルすぎて、他人に理解されるか心配なくらいだ。
 
ちなみに、こんな未来の大作家が目指している、唯一の賞がノーベル文学賞だ。
文学賞を受賞しているアルベール・カミュ、カズオ・イシグロ、そしていつか受賞するだろうと期待されている村上春樹は、私でも読んだことがある作家だ。つまり、唯一、どんな賞か知っているので、そういう意味では最も身近な賞だからだ。
 
「人生を変えるライティング教室」なんて、随分大げさなネーミングだなぁと思ったけど、確かに、ノーベル賞を受賞したら、間違いなく人生は変わる。そうか、そういう意味だったのか。
 
え? さすがにノーベル賞は無理だろうって?
まだメディアグランプリでも、入賞してないのに??
ってか、ライティング・ゼミを始めて1か月だろう???
 
でも、現実を創っているのは95%の潜在意識らしいよ。だから、潜在意識にそう刷り込めばそうなるってことだろう? 
……誰が言ったかは知らないよ、本は読まないんだから。いろんな人がそう言ってたんだよ。
どうやって潜在意識に刷り込むのかって?
……それについては、これから本で勉強するよ。
 
「私のノーベル文学賞への道のりは、ある書店のライティング・ゼミから始まりました……」
 
受賞スピーチの出だしはそうなるだろう。
これを読み終えたあなたは、いつかその目撃者となるに違いない。

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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2018-08-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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