メディアグランプリ

ロボットには、ならない。 


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記事:平川美南(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
ロボットには、ならない。 
前の職場で私が自分に立てた、たった一つの誓いだ。 
 
「この月初の業務、本当しんどいわ」
「しょうがないですよね。所詮ウチは子会社だから、親会社様が
やれといえばやらないとですし」
「俺、定年までここで働いてなきゃいけないのかなー。しんどいわぁ」
「我々は立派な社畜ですよね」
「あーあ、こんな会社やめてしまいたい」
「俺も」
「そしてみんないなくなったりして」
ハハハ……
残業後によく繰り広げられていたこの会話。 
一見、他愛のないやりとりに聞こえるこの一連のやりとりが私は大嫌いだった。 
なぜ、しょうがないのか。 
なぜ、同じ職場でずっと働いてなければいけないと決めつけているのか。 
なぜ、辞めたいと言って辞めないのか。 
業務が流れ作業と化して、毎月同じ作業の繰り返し。 
言っている愚痴の内容も同じで進歩がない。 
先輩方が日々、厳しいノルマや上司からのプレッシャーの中、 
疲弊しているのは日々、様子を見ていれば分かる。 
家庭の事情もあって簡単には辞められないのかもしれない。 
さりとて、そう言ったネガティブな言葉を口にすればするほど虚しい思いは増幅して、 
いいことなど1つもないのにいったいなぜ、口にするのか。
そんな愚痴を聞き続けながら、残業していたある日、私は気づいてしまった。 
この人たちは、疲弊していることを言い訳にして、物事を考えたくないのだと言うことに。  
与えられた作業は完璧にこなすが、意思を持たない無機質な機械、 
そう……まるでロボットじゃないか。 
この事実に気づいた瞬間、私は恐ろしくなった。 
絶対にこの人たちの様にはならない。絶対にこの職場から離れるんだ。 
ロボット達の延々続く進歩のない愚痴や、無気力さに支配された職場への怒りを押し殺しながら、 
私は残業を終わらせつつ、静かに決意を固めた。  
 
それから数ヶ月後、私は転職して新しい職場に移り、新しい業務に日々邁進している。 
幸いなことに、職場の雰囲気も前職とは180度といっていい位違っており、 
先輩や同期も自身の業務に誇りを持って取り組んでいるのが空気で伝わってくる。 
繁忙期で残業が重なることもあるし、案件を取ってこなければいけないプレッシャーもある筈だ。 
業界は違えども、一体なぜ、こんなにも仕事への姿勢が違うのだろう? 
入って1ヶ月目は正直不思議で仕方がなかった。 
しかし、2ヶ月目位でやっとその謎が解けた。 
……ロボットがいないのだ。 
自分の任されている仕事を、自分で責任を持って取り組む。 
愚痴を言う前に最善な策は何か。 
誰かにやれ、と言われたからではなく、自ら考えてお客が満足する最善の答えを用意する。 
社会人一年目の研修時に耳にタコができるくらいに叩き込まれた、 
かくあるべき基本的な姿勢を息をする位に自然な具合で保ちながら、仕事に取り組んでいるのだ。
もちろん、お客がこんな理不尽なことを言ってさ……みたいなことを笑い話や
酒のつまみにしていることはある。 
しかし、その愚痴の吐き方が決して暗くないのだ。
誰かのせいにしたり、偉い人がこういったから仕方ないよね、 
どうせやったところで何にも意味が無いし、面倒くさいからやらない……という、 
やらされている印象を与える内容ではないのだ。  
主体性を持つか持たないかで愚痴の吐き方まで違うなんて! 
カルチャーショックの域を超えて、感動している自分がいた。 
この職場で、もっといい仕事ができる様になりたい。自信を持って主体的に動けるようになりたい。
主体性を持って動く、ということを実践しているお手本となるべき方がいる職場に来られたのは、本当に幸運な事だと今でも思う。 
 
天狼院書店のライティング講座の門を叩くことができたのは、おそらく偶然ではない。
まだ自分の武器は何かもわからないけれど、まずは武器となり得るものを見つけたい。 
そうおもっていた矢先、 Facebook で当講座の広告を目にしたのがきっかけだった。 
正直、自分のライティングのスキルは海のものとも山のものともわからない。 
一方で、自ら動いて挑まなければ永遠に未知数のままだ。 
怖いから、という理由でチャレンジを避けるのはロボットと一緒である。 
ロボットには、ならない。 
この誓いを破ることなく、着実に前に進んでいきたい。

 
 
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2018-08-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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