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男女よりも成立しない、女同士の友情


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記事:井上かほる(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
男女の友情は成立しない。
しかし、女同士の友情の方が成立しないと私は思う。
そう思わせることが、つい最近あった。
 
6月に結婚した友達に、会いに行った。結婚を祝うためだ。
待ち合わせ場所の函館駅までバスで6時間弱。
どんなテンションでお祝いしようか。
笑顔全開で「おめでとう!!!」か、心を込めてしっとり「おめでとう」か。
ワクワクしながらバスに揺られて、あっという間に着いた。
 
函館駅に着くと、彼女が満面の笑みで「井上さーん!」と駆け寄ってきた。15年のつきあいになるのに、私たちは名字で呼ぶ。ある意味、あだ名だ。「斉藤さーん!」負けじと駆け寄ろうとして、ブレーキがかかった。目に入ってきたのは、左手薬指に二重になった指輪。太陽の光を反射して、目が痛むくらいキラキラしていた。
夢から覚めたような感覚がした。何度も味わってきた感覚。女友達に「結婚」「出産」というが訪れると、「あ、違う世界の人だ」と思ってしまう。もちろん「幸せになってほしい」と思っている。でも、なんか隔たりを感じて、近づきにくい壁ができるのだ。たぶん、女性なら感じたことがあるのではないだろうか。ただの嫉妬だ。ダサくて、くだらない。
これが、男友達だと違う。恋愛感情を持っていれば話は別だが、そうでない場合は、そこまで壁は感じない。なぜか。男友達と私には「仕事」という、いくつになっても話せるネタがあるからだ。しかし、女友達となると「仕事」は共通点にならなくなる。家族の話が中心になる。子どもが生まれればなおさらだ。家族の話と仕事の話がイコールとなって理解し合えたことはない。
だから、斉藤さんとはここで関係が切れるんだと思った。
とりあえずの「おめでとう」を言い、馴れ初めや旦那さんの仕事を、事前に考えておいた質問事項のように聞き終わると、会話は途切れてしまった。時間にして約1時間。あっという間にネタ切れだ。
 
こんなもんか友達って。
 
友達は、共通点がないと成立しないのではないかと思う。趣味が同じだったり、好きなモノが同じだったり。共通点があって、意気投合する。それから、その共通点に対して話したり、体験できる場所に行って、同じ時間を共有する。その連続だと思う。
じゃあ、私と斉藤さんはどうか。趣味が違う。性格も違う。出身大学も違う。同じサークルではあったが、特に仲がいいというわけでも、悪いというわけでもなかった。
彼女と仲良くなったのは、社会人になってから。互いに仕事で苦労し、共通する友人が次々と結婚していくのを一緒に見てきたことが共通点だった。
会えば仕事と結婚の話。彼女は特に、仕事で悩むことが多かった。2年前に転職した会社では、夜遅くまで働き、海外出張も多く、年下の先輩女性から嫌がらせを受けていた。そのたび彼女の味方をし、深刻な悩みのときには「とにかく、なんでもいいから休め」と心配してきた。「独身が続くようならお隣さんになろうよ」とも提案していた。彼女も私の愚痴や不安に耳を傾け、真剣に解決しようとしてくれていた。
 
ところが彼女は結婚した。正確にいうと、「結婚していた」。
私は、彼女が結婚し、仕事をやめ、引っ越したことを、すべて終わってから知ったのだ。結婚式も終わっていた。
 
ショックだった。私が連絡しなければ、知ることはなかったのだ。
と同時に、こうも思った。彼女は誰も知らない人と結婚し、誰も自分のことを知らない土地で新しいスタートを切ろうとしていたのかもしれない。そうだとしたら、余計なことをしてしまった。会えばまた、いつものように愚痴を言い合い、悩みを共有し、「がんばろう」と言えると思っていた。でも、私と彼女のいる場所は、もう違っていた。新しい場所に、私は不要だった。
どうして会おうとしてしまったのか。どうして助けようとしてしまったのか。助けられるのは私ではなく、いまの旦那さんだったのに。
 
たいした会話もしないまま、観光客でにぎわう赤レンガ倉庫内を歩き、帰るにちょうどいい頃合いまで時間を潰した。駅に着き、慣れ親しんだ札幌駅とは違う駅の改札に入る前、彼女は「写真、撮ろう」と言った。なんともいえないビミョーな表情の2人が写っていた。
「次会うのはいつになるのかな。かなり先だろうな」と思い、悲しくなった。
彼女からなにも知らなされなかったこと、「仕事」「独身」という共通点がなくなったこと、実は彼女のことをほとんど知らなくてお祝いの品を用意できなかったこと、素直に彼女を祝えなかったこと……。これで途絶えてしまって本当にいいのか。今までの友達と同じく、疎遠になってしまって本当にいいのか。
 
女同士の友情は、いつか成立しなくなる。その思いは変わらない。
でも、斉藤さんとの関係についてはなんとかしたい。
 
じゃあどうすればいいのか。どんな共通点があれば友情は成立するのか。
彼女の好きなモノを私も好きになるのか。違う。私も結婚して田舎に引っ越せばいいのか。違うし、そもそも簡単にできることではない。いまも未来も、無理やりつくるものではないと思う。
じゃあ、趣味も環境も興味の対象も違う彼女との共通点はどこにあるのか。
それは、過去にあった。過去、私と斉藤さんはピンチのときに連絡を取り合い、互いの悩みを解決しようとしてきた。そのたびに彼女を「心の友」だと思ってきた。
心の友。「ドラえもん」で、ジャイアンがのび太に助けられたときに言う、「おぉ~、心の友よ」だ。ジャイアン自身では解決できないことを、のび太やその仲間たちが解決してくれたときに発せられるこの言葉。これであり続けたらいいんだ。私たちはこれまで、互いのピンチを助けようとしてきた。結果的に助けられなくても「助けようとする心」があった。もしこれから先、彼女にピンチが訪れたら、やっぱり私は助けようとするだろう。そしてきっと、彼女も私を助けようとしてくれるだろう。疎遠になった友達とは、この「助けようとする心」がなかったのだ。
女同士の友情は、「助けようとする心」が互いにあれば成立する。
 
いまなら、心を込めて、笑顔全開で言える。
結婚、ほんとうにおめでとう。 幸せになるんだぞーーー!!!
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2018-08-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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