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花とは魔法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:三好康博(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「ありがとうございます!」
「わぁ、素敵!」
「綺麗!」
今年の2月から花屋で働くことにった私が、一番驚いたこと。
それは、花を受け取る人は必ず笑顔で、発される言葉は必ずと言って言いほど上記の言葉で感謝され喜ばれる。花屋の店先や花の配達先、どこに行っても笑顔が溢れ、花を贈る人も貰う人も笑顔なのである。世の中が笑顔でしか溢れていないんじゃないかと錯覚を覚えるぐらいだ。
 
私が花屋で働き始めたきっかけは、花屋を経営している知り合いに、「花屋で働いてみない?」と誘われたからである。私は現在35歳。35年間生きてきて、正直いって花屋さんで働きたいとも思わなかったし、花屋に足を運んだのは数えるほどしかない。しかし、熱心な誘いに乗り、花屋で働き始めて半年が経とうとしている。笑顔溢れる花屋業界に、なんて素晴らしい恵まれた環境なんだ!ここで働きはじめて良かった! 誘ってくれてありがとうと感謝するぐらい半年前の自分と違う自分がいるから恐い。
 
世界中に花の種類は20万種類。その中の一部が花屋の店先に並ぶというのだが、それでもかなりの数になる。花屋が提供するサービスは、皆が知っている花束やアレンジしたものが大多数を占める。四季折々、様々な色、種類の花を組み合わせて花束を作るため、一つとして同じものがないといってもいいぐらいである。
 
花屋で働くまで気づかなかったことがある。それは、私たちの生活に花が溶け込んでいるということだ。結婚式、お葬式といった冠婚葬祭から、入学式や卒業式といった様々な行事には必ず花が飾られる。それぞれの花の持つ意味や色彩が空間を演出しているのだ。
そして、人は花を贈り合う。
そこで私に疑問が浮かんだ。花を身近に感じていなかったからこそ浮かんだ疑問。
どうして、人は花を贈る? 花を贈ることが当たり前のようで当たり前でないように感じる自分がいる。一つの理由に、色鮮やかだからで、見た目に美しいからだということが考えられる。香りも、その理由に関係してくるかもしれない。
しかし、ここで合理的に考えてしまう自分が……。
花は枯れてなくなるし形として残らない。その上、食べ物みたいにお腹を満たしてくれることもない。数日で枯れて無くなってしまうのが常である花は、プレゼントとして実用的でないのではないのだろうと考えてしまう。
 
それでは、人はいつから花を贈り合うようになったのだろうか?
調べてみると、人が花を贈ったという記録で最古のものいわれる記録を発見した。
それは、7万年前のネアンデルタール人が最古という説である。なんと7万年前のネアンデルタール人が死者に対して花を贈っていたというのだ。つまり、墓を花で飾っていたのである。
 
どうやら、花を贈るという習慣は、私たちのDNAに古くから埋め込まれているみたいなのだ。理由はわからない。ただ、花を贈る時に必ず生まれるもの。それは感情や願い。
例えば、彼女にプロポーズする場合。好きだという気持ちと結婚して欲しいという願いが生まれている。もう一つ例を挙げてみる。お見舞いの時の花には、慰める気持ちと治ってほしいという願いがそこには生まれている。
つまり、人は自分の気持ちを表現する一つの方法として花を贈っているのではないだろうか。贈られる花は、贈る側の人の気持ちを具現化したものではないかと思えてくる。花を贈る人は、知らず知らずの間に、今の自分の気持ちに合った花の種類や色を知らずと選び花束に気持ちを込めているのかもしれない。
 
理屈では説明し難いが、事実、花によって気持ちは伝わるし、7万年も前から続く歴史が何よりの証拠。つまり、花は人と人の気持ちを繋ぐ魔法である。
そもそも、実体がない気持ちや願いを伝えるのだろうから、花は枯れたって良い。花はプレゼントとして実用的なのだ。
 
このお客さんは、この花を誰にプレゼントするのだろう? どういう思いがあるのだろう? この人の運命を変えてしまうかもしれない。そう考えるだけで、同じ花束を作ることはないし、同じ花束を作れるわけがない。
今作っている花束がこの人の気持ちを表現して、上手く魔法がかかってくれるだろうか?
お客さんの一人一人の気持ちを考えながら、人と人の気持ちを繋ぐお手伝いができるのが花屋さん。私が巡り巡って偶然出会った花屋さん。
素晴らしい出会いに、私の「いらっしゃいませ」の声のテンションが高くなる。

 
 
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2018-08-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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