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メディアグランプリ

宿題という名のファイナルファンタジー


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:福田 冠司(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
 「げっ! 全然宿題終わんねぇ!」
 夏休みの最終日、今まで溜めに溜めた宿題の山を、私は片づけていました。「なんで夏休みの最初のうちに終わらせなかったんだよ!」と強く後悔しながら、朝から必死になって格闘していました。
 
 私はゲームが大好きです。好きなゲームだと寝食を忘れてハマることも多く、睡眠時間が無くなってしまったことも一度や二度ではありません。社会人になってからはさすがにそこまでやらなくなりましたが、キラータイトルが発売されると、発売日に買ってプレイすることは、今でもあります。
 
 アクションゲームやアドベンチャーゲームもプレイしますが、一番よく遊ぶジャンルはロールプレイングゲームです。代表的なタイトルである「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」といえば、誰もが一度はタイトルを聞いたことがあるはずです。
 
 どちらもストーリーに沿って主人公が強くなり、最終的にはラスボスを倒すという流れなのですが、ドラゴンクエストはストーリーの途中から物語の自由度が高くなる、ファイナルファンタジーはストーリーが最後までほぼ一本道、という特徴があります。また、作品の世界観も異なることから、ドラゴンクエスト派とファイナルファンタジー派に分かれるようです。私はどちらも好きですが、どちらかといえばファイナルファンタジー派です。どの作品もストーリーの完成度が高く、なかなか中断したくないと思わせるからです。
 
 そういえばあの夏休みは、ずっと「ファイナルファンタジー5」をプレイしていました。最初は普通にレベル上げをしながらラスボスを倒して満足はしていたのですが、まだまだ遊び足りません。2回目は、パーティーメンバーのジョブ(職業)を変えたり、あえてレベル上げをせず弱いパーティーのままどこまで道中進められるのかを試してみたりしながら、プレイしていました。
 
 「ファイナルファンタジー5」テクニックのひとつに、攻撃役のパーティーメンバーのヒットポイントを減らして、あと一撃で死んでしまうぐらいの瀕死状態にしておくと、攻撃力が上がって、敵により多くのダメージが与えられるようになる、というのがあります。そのメンバーが攻撃されたらどうするの? という疑問も出てくるのですが、他のメンバーがダメージを受けて肩代わりできるスキルを発揮させることで、攻撃役がダメージを受けないようにします。こうすると、攻撃役が一撃で死ぬリスクを減らしつつ、比較的安全に敵を倒すことができるのです。
 
 気が付けばお盆が近くなってきました。お盆は母方の祖父母の家に遊びに行って、いとこと遊ぶのが定番になっていました。海が近かったので、朝から海で泳いだり浜辺で釣りをしたり……。そうこうしているうちにあっという間に夕方になり、お風呂に入って晩御飯を食べたらお布団が待っている。そんな日々でした。一応宿題は持ってきてはいましたが、遊んでいるうちに宿題は後回しになっていました。
 
 お盆も終わり、祖父母の家から帰ってきました。気の向くまま遊んでいたので、私もさすがにフラフラです。しかし、ふとカレンダーを見た私は、一気に血の気が引きました。
 
 私が当時住んでいたのは北海道、夏休みは本州より短く、お盆が終わってしまうと残りの日数は片手で数えるくらいしかありません。宿題の分量を残りの日数を考えると、今から本気でやって終われるかどうかというギリギリの状態になっていました。さすがにもう「ファイナルファンタジー5」で遊ぶ暇はありません。
 
 眠い目をこすりフラフラになりながらも、宿題に手を付けました。それでも、一度手を付けるといつもより集中しているので、処理するスピードが全然違います。のちに知ったことですが、これは締め切り効果というもので、期限の直前にタスクをこなしていくと処理能力が普段より上がるのです。それこそ「ファイナルファンタジー5」の瀕死の攻撃役のように、極限まで追い込まれた私が宿題という敵をバッサバッサと片づけていく、そんな感じになっていました。唯一異なるのは、かばう役のパーティーメンバーがいないので、寝落ちしてしまったら即ゲームオーバーになることぐらいです。
 
 それでも何とか、夏休み最終日の夜中、日付が変わる頃に宿題をすべて片づけることができました。よくやった! よかった! 
 
 ……ここから先の記憶がなく、気が付けば始業式の日の朝9時を過ぎていました。寝落ちした上に完全に寝坊していたのです。しかも慌てて家を出たせいか、せっかく終わらせた宿題を家に忘れるという始末。担任の先生からお小言を食らい、あの夏休みは幕を閉じたのでした。

 
 
***

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2018-09-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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