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海外旅行で武器になる三つの単語


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記事:伊勢真紀子(ライティング・ゼミ平日コース)
 

私の趣味は海外旅行。独身の頃は一人でいろいろな国を回った。しかし、昔は「一人で海外旅行をしている」と言うと皆から「危なくないの?」と聞かれるのが常であった。ところが、結婚して子育てをしている今、「一人で海外旅行をしている」と言うと皆から一様に「いいな」と言われこそすれ、「危なくないの?」と言われなくなった。それが年のせいなのか、私が置かれている環境のせいなのかはわからない。
 

そもそも、私が思うに女友達との旅ほど危ないものはない。なぜなら、友達がいるという安心感から、ついつい危険に対する感度が低くなってしまうのだ。現に、私が女友達とバリ島を旅行したとき、友達が前回のバリ島旅行で友達になったという現地の男性を食事に誘い、そのまま三人でかなりのお酒を飲んだ。すると、彼はそのままホテルの私たちの部屋までついてきて、なんと彼女のベッドに入ってしまったのだ。彼女は泥酔し、状況が全く分かっていない。私は一生懸命彼に部屋から出て行ってもらうように頼み、ようやく夜中の12時を回って怒りながら部屋から出て行く彼の背中を見送ったのだ。海外旅行をしていて、こんなに恐ろしい目にあったのはこれが初めてだ。この時私は痛感した。旅は一人で行くものだと。
 

しかも、私はこの翌日、事の次第を理解した友達から「お詫びに」とおごってもらった生ビールのジョッキで当たり、体調を崩して車いすで帰国する羽目になった。友達の貞操を守ったのにもかかわらず、である。以来、友達と海外旅行に行く際は、とにかく身を慎むよう言って聞かせているのは言うまでもない。
 

一人旅だと、まずもってこういう状況にはならない。なぜなら、危険な場所にはまず行かないし、危険そうな人にも近づかないからだ。例えばレストランで食事をしているときに、同じテーブルに座られて睡眠薬でも混ぜられては事なので、絶対にスキは見せない。とにかく自分の身は自分で守るしかないので、いつでも緊張状態を保っている。そのおかげか私は一人旅で危険な目にあったことは一度もない。
 

一人旅はいいものだ。緊張状態を保っているとは言っても、別に出会う人のすべてを拒否しているわけではない。私はよく、現地で働いている人と友達になったり、現地を観光している日本人と友達になったりして、そのまま一緒に観光をしていた。知り合う人は皆、年齢も性別も職業もバラバラ。まさに一期一会。
 

イタリアに行ったときは、レストランの隣のテーブルで『地球の歩き方』を見ている日本人の女の子と友達になった。どちらからともなく会釈をし、一緒のテーブルで食事をすることになった。聞けば、彼女は結婚を控えていて貯金をしていたが、なんと相手から婚約破棄をされたため、その貯金で世界一周の旅に出ていると言うことだった。当時長期の休みが取れない仕事をしていた私には、傷心旅行とはいえ自由気ままに旅をしている彼女の姿がとても眩しく映った。
 

韓国に行ったときは、ホテルのフロントの男の子と仲良くなった。「明日は勤務日ではないから」という彼に釜山の街を案内してもらい、夜は彼の工業高校の同窓会についていった。言葉は通じないけれど、同年代の韓国人と一緒にどんぶりに注がれたマッコリを飲み、楽しいひと時を過ごした。
 

一人旅はいいものだ。自分の目だけを信じ、現地の人と自由に交流ができる。同行の友達に遠慮することもないし、友達のせいで危険な目にあうこともない。
 

しかし、一人旅をしていて困ることもある。一つは食事のレパートリーが限られてくること。せっかくの海外旅行だから「あれも食べたい。これも食べたい」と思っても、残すことを考えて結局一、二品を頼んで終わりになる。そして、もう一つは言葉の問題。実は私は、英語もフランス語もイタリア語もスペイン語も韓国語もできないのだ。友達がいれば、お互いにつたない英語で何とか乗り切ることもできるのに。
 

しかし、この二つ目の問題については、私なりの解決方法を編み出したのだ。それは、どんな国でも三つの単語を覚えて行くことである。
 

その三つの単語とは、「こんにちは」「ありがとう」「おいしい」である。
 

信じられないかもしれないが、この三つの単語さえ覚えておけば、お店の店員さんでもレストランで隣り合わせた人とでも仲良くなれるのだ。例えばレストランに入ったとき、「こんにちは」と笑顔で入っていけば店員さんも笑顔で「こんにちは」と返してくれる。人によって満足の基準は違うが、私は海外でのコミュニケーションは笑顔のやり取りができればそれで充分だと思っている。そしてお店を出る際には、爽やかに「おいしかった」「ありがとう」と言う。これが言えれば最低限のコミュニケーションは成立するのだ。レストランで隣り合わせになった人にも、同じように話しかけてみよう。「こんにちは」「おいしいね」と。自分の国の食事を外国人に褒められて嫌な顔をする人はまずいない。まして、その国の言葉で伝えれば100%の人が喜んでくれる。
 

もしあなたが一人旅に行きたくても不安でいけないと思っているのなら、試しにこの三つの単語を覚えて飛び立って欲しい。飛び立った先には、きっとあなたを魅了する素晴らしい世界が待っているはずだ。
 
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2018-09-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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