fbpx
メディアグランプリ

スイッチの切り替え


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:山田 楓(ライティング・ゼミ木曜コース)

「あー今日も1日頑張った」

そう思いながら、家に着いた私が最初にすることは
顔にへばりついている化粧を落とすことである。

どうもクレンジングだの何だのを帰ってきてからすぐにするのは
めんどくさいと思ってしまう性分なので
とりあえず化粧落としシートという便利なものを使って
自分の顔の層を一枚はがす。

その瞬間に「解放された」といつも思う。

私が化粧という層をまとうようになったのはいつ頃からだろうか。
高校生の時は周りに化粧をしている人はほぼいなかったと思うし
意識もしていなかったので、自分もする意味を感じていなかった。
ということはやっぱり大学生になってからだ。

大学生になってから急に周りが化粧をし始めた。
周りの友達や大人たちにも
「大学生になったら化粧をするもんでしょ?」と言われた。
そうかそういうもんなのか、と私も化粧を始めたが
最初の頃は一つ一つにすごく時間がかかっていたので
世の女性たちは時間のない朝に、毎日こんなことをしているのかと
とても感心してしまったことを覚えている。

化粧というのは、素の自分に一つ層を作ることだと思っている。
物理的な意味でも、精神的な意味でもだ。

だから化粧を落とすその瞬間が私はたまらなく好きなのだ。
その行為を通して、「外に向けた自分」から「自分に向けた自分」へ、
オンからオフへとスイッチを切り替えている気がするからである。

スイッチの切り替えといえば、私はよく周りの友達に
「オンとオフの差が激しいよね」と言われる。
自分でもその通りだと思う。

スイッチがオンの時は勉強でも何でも
やるべきことをさくさくと、すさまじい集中力のもと終わらせていく。
とても集中しているので、その時に誰かに声をかけられたりして
自分の時間を阻害されるとイライラしてしまうことさえある。

一方で、スイッチがオフの時はだらけきっていて
美味しいレモンティーとお菓子を手元に置きつつ
ぼーっと1日中Netflixで映画をただ見ているだけの時もある。

どうやら私にとってオンとオフのスイッチの切り替えというのは、
日常生活を過ごす上で非常に重要な意味を持つらしいと最近分かった。
オンの状態でずっと走り続けることも無理だし、
オフの状態が続きすぎると、自分が不甲斐なく思えてきてしまうのだ。

私はいわゆる短距離走タイプの人間なのだろう。
ガーッと走って、ゆっくり時間をとって休む。
一定のペースで走り続けることは苦手で持久力はないけれど、
短時間の集中力はすごくあるタイプだ。

例えば学生時代のテストのことが思い出される。
私はとてもひねくれた性格をしていたので
「自分が面白いと思わない授業を聞いて何の意味があるのか」と
授業中は大して眠くもないくせに、机に突っ伏して
ノートも取らずに寝ていることが多かった。

先生には起きなさいとよく怒られたが、
なぜかかたくなに起きることを拒否していた。
今考えると先生方に反抗的な態度を取っていたのは非常に申し訳なかったし、
毎回毎回ノートを写させてくれた友達には感謝の気持ちしかない。

しかし、テスト前になると急に私のスイッチはオンになる。。
テスト期間だけ、すさまじい集中力を発揮するのだ。
まずテスト勉強の計画を立てて
今までの授業の内容をざっと振り返り
テスト範囲の問題集を分かるところ、分からないところに分類して終わらせる。
応用問題もしっかりこなし、二周目に取り掛かる。

そして結果的にはテストで良い点数を取ることができる。
そうすると友達も先生も驚くのだ。
「授業中はずっと寝てるくせに」
「いつもノートを貸してもらって、写しているのに」
「むしろ起きてちゃんと聞いている時の方が珍しくない?」
「何で点数だけは取れるの?」

私にとってはそれが、最大限に嬉しさを感じる瞬間だった。
勉強していませんよ、授業は聞いてませんよ、という感じを装いながら
テストという結果が求められるところではちゃっかり点数を取る。
ギャップを意識的に作り出していた、と言えるかもしれない。

このように、良く言えば力の入れどころを自分でコントロールする、
スイッチを切り替えるということを意識的に行っていた。
悪く言えば、授業中に先生の話を全然聞かない不真面目な生徒だった。

でも私はその頃の自分がそんなに嫌いではない。
もちろん基本的に授業中に先生の話は聞くべきであることは
分かっているし、反抗的な態度だったのも良くないのは知っている。

だけどそういった行動を通して、自分の頑張る頑張らないの
リズムみたいなものを形成できたと思っている。

私にスイッチの入れどきがあるように、
人にはスイッチの切り替えが常に必要だと思う。
ずっと気を張っていたら疲れてしまうし、
自堕落な生活を送りすぎたら自分で自分が嫌になってきてしまう。

大切なことは、自分は今何モードなのか、オンかオフなのか、
どうすればスイッチをオンにできるのか、
どういう状態の時にオフと感じることができるのか、を
自分自信で把握しておくことなのではないだろうか。

今日も私は家に帰ったら、まず化粧を落とす。
今日も1日頑張ったと思いながら、スイッチをオフにするために。 ***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜《9/27までの早期特典あり!》

天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。



2018-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事