メディアグランプリ

ラーメンが好き過ぎて、テレビに出たあの頃と今


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:浅野純也 (ライティング・ゼミ平日コース)
 
「1日食べない日は、翌日には2杯食べる」
「最初と最後では、味が違うので、スープは最後まで飲み干す」
「メニューの中身と客の入り具合で、店のおいしさを見分ける」
「がんこ親父がいるか」
 
これらは、私が20代前半の頃、ラーメンにおいて意識していたことであった。そう、私はラーメンが好きで、若い頃は毎日食べていたのである。しかも、スープを一滴も残さずにだ! それだけ食べても、若い時はすぐに消化してしまうのか、全く太らずにいた。健康にも自信があったのだ。毎日ラーメンをスープまで飲み干しながら、全て平らげるのは、私の日課であった。
 
その頃は、毎日食べるだけでなく、全国まで食べ歩いた。しかも行った先では、1日に3~4食は食べた。それ以上食べると、正確に味を判断できなくなるので、それ以上は、敢えて食べないようにした。
 
そんなある日、就職したばかりの会社で、先輩社員から声を掛けられた。
「お前、ラーメン好きだったよな。こんなチラシがラーメン屋に置いてあったよ」
 
渡されたのは、某テレビ局で新しい番組が始まるので、その予選会の参加案内であった。ある程度の年齢の人は知っているかもしれないが、様々なジャンルのフリークが集まる番組である。その第一回は大食いで、第二回がラーメン王とのこと。私が渡されたのは、その参加案内であるが当時は新しい番組でもあり、誰も知らない。
 
「先輩、ありがとうございます。なんでしょうね、これっ。でも面白そうだから行ってみますよ」そう伝え、後日テレビ局で行われる予選会へ行った。部屋一杯に人が座っている。時間ギリギリに着いた私は、後ろの方へ座らされた。
 
「なんだ、これ! この人たち、みんなラーメンばっかり食べている人達なのかな。結構太っている人いるし、この人たちと一緒にされるのも、心外だな!」
 
当時は、若く自称イケメンだったので、生意気にもそう思った。将来同じような体型になるとも知らず。
 
予選が始まった。皆、必死の形相で書いている。以外に簡単だった。毎日、営業に出る度に、電車の中でラーメンの本を暗記するくらいに読み込んでいたおかげだ。ただカップラーメンについては、本格派を自認していただけに普段食べてないので、全く問いに答えられなかった。時間終了の合図とともに、筆を置いた。その場で採点である。少し時間が空いた後、発表となった。
 
1番点数の高い人から呼ばれた。私ではない。2番目も違う。しかし、3番目に私の名前が呼ばれた。テレビに出演できるのは5名なので、3位通過である。呼ばれた5名は、皆の前に並び、テレビに出演することが発表された。テレビに出るなど、初めてのことなので、緊張しながら立っていた。
 
当日は、小型バスで回った。有名ラーメン店が会場になる。司会の人は、当時有名でよくテレビで見かけた人であった。バスの中で色々と話してくれた。その方の話は面白い。その前週の撮影は大食いだったようで、そのリアルさを語ってくれたが、私にはとてもできないと思った。餃子100個、ラーメン30杯、その他にも色々と食べたらしい。全て1日で撮影したというから、やはり大食いの人たちはすごい!
 
バスの中は、さすがにラーメン好きが集まっただけあり、しばらくはラーメントーク一色になった。基本的に皆、食べるのが好きなようで、その後も他のおいしい食べ物の話題になった。「皆、食いしん坊だな」と思った。
 
 勝負は、1R、2R、3Rで、最後は決勝ラウンドである。1Rは皿が5皿あり、その上にチャーシューが載っていて、どこの店か当てる。同様に2Rは麺のみ、3Rはスープのみで、それぞれ当てる。1Rは全員通過した。2Rは一人落選。私はそこまで無事クリアであった。3Rの2問目。これを通過すれば決勝ラウンドであった。
 
「間違えた!」
 
他の一人も私と同じ答えを書きかけていたが、途中で消して書き直していた。私は3Rで脱落である。皆が乗るバスが去っていくのを遠めに見ながら、バイバイした。カット終了。本当にここでサヨナラであった。出演のギャラもその場で手渡された。半日以上かけたが、実際のテレビでの放映時間は、25分であった。他の皆は、まだ続きがある。次の決勝ラウンドは私の得意な地域が舞台だったので、残念であったが仕方ない。勝負の世界である。
 
その後、私は勤めていた会社を辞めた。本を書くことも薦められたが、チャンピオンでもないので断った。私は、日本のラーメン屋を世界に広めようと思い、屋台で修行した。当時、事業・収支計画なども若いなりに作成したことが思い出される。ラーメン屋は、色々とあって、結局それも辞めることになった。懐かしい思い出である。
 
 毎日、ラーメンを食べていたあの頃。一滴も残さずスープを飲み干し、行列の店では、苦もなく2~3時間ならんだあの頃。本当に懐かしい。今では、身体はメタボだらけで、尿酸値、血糖値、中性脂肪、高コレステロールと、これらを気をつけなければいけない状況にある。とてもじゃないが、毎日ラーメンなど食べていられない。おいしくなければ途中で、スープを残すことも覚えた。食べる時に、無言で一気に食べていたのが、人と話しながら食べることも、今ではできる。何よりも大きいのは、毎日食べていたラーメンを毎日食べなくなったことである。これは大きな進歩だ。もうすぐ数値も大幅改善し、健康体に向かって、まっしぐらだろう。
 
 何と言っても、今は週に4~5回しかラーメンを食べないのだから!
 
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2018-09-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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