私の中での、ライティング・ゼミの「もう一つの不純な目的」とは……
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:楠瀬 航(ライティング・ゼミ平日コース)
「まあ、あまり堅苦しい注文は付けませんので、あなたのこれまでのいろいろな経験を踏まえて、いわゆる『まちづくり』とか『地域活性化』の世界で実際に起こっていることを、ざっくばらんに学生さんに話していただく感じで、ひとつ。期間は毎年秋学期(10月~1月)の約4か月、90分×延べ15回の講義でお願いします」
今から考えると何ともアバウト過ぎる依頼だったと思うが、某大学の経済学部長からこんな形で非常勤講師の依頼を受けたのは、今から10年近く前のことになる。
当時私は、大阪のとある商店街の活性化に関わる仕事を手がけていたのだが、それが縁となって「うちの大学で、そういうテーマについて学生に話してもらえないか」という依頼がやってきたのである。めったにない機会でもあり、あまり深く考えず二つ返事で引き受けたのだが、この安易な考えが、後の自分を少しだけ苦しめることになる。
私がお世話になっているところも含めて、おそらく多くの大学では、非常勤講師に常勤の教授陣や専任講師ほどの厳格な講義のクオリティは求めていないのだろうし、良くも悪くも、一種のルーティンワークとして大過なくこなしていれば翌年以降も継続して依頼されるのだろう。私もその例に漏れず、先方の依頼通りに“ざっくばらん”な漫談のような講義を現在まで毎年続けてきた。
もちろん、一定数の履修希望者を毎年コンスタントに集めてはいるし、講義の中で特に大きな問題を起こしたわけでもないので(小さな問題は何度か起こしていて、大学の事務方から呼び出しを食らったこともあるが……)、その点では大学側からも及第的な評価は得られているのかもしれない。
ただ、さすがにそれでも「毎年こんな感じでのんべんだらりとやってはいるけど、本当にそれでええんやろか?」という疑問のようなものは常に生まれてくる。しかし、それを具体的にどう解決するかにまでは至ることなく、最終的には「まあ、こんな感じでええんとちゃうやろか」という都合のいい結論を自分の中で出して、秋から始めた講義を翌年初めに微妙な形で終わらせることの繰り返しとなっていた。
偶然にも、知人が天狼院の「スピード・ライティング特別講義」を受講してきたのは、そんな感じで当年度の自分の講義をいつものように終わらせた、今年初めの頃だった。
講義の感想などを一通り聞いて「なかなか面白そうやん」と思い、自分でも天狼院のサイトにアクセスしてその内容をチェック。1日だけの特別講義とは別に4か月コースがあることを知り、思い切ってそちらを受講するのも悪くないか……と思ったところで、ダメ押しのようにこの一文が目に入ってきたのである。
【「ABCユニット」が学生を寝かせない人気講義を生む】
ABCユニット? 何じゃそりゃ??
その時は何だか全くわからなかったが、「学生を寝かせない人気講義を生む」という魅力的なフレーズについ食いついてしまい、ライティングのスキルと人気講義を生むスキルの両方が一度で身に付くのなら一石二鳥ではないかという少々不純な動機で、ライティング・ゼミの受講を申し込んでしまったのだ。
もっとも、世の中そんなに甘くない。ゼミの内容は思った以上にハードで、どれだけ心が折れそうになったことか。特に自分の場合、それが本業ではないものの、時々ライターの仕事をしていることもあり、中途半端な我流のスキル(正確には“スキルもどきの何か”程度のものだろう)が身に付いてしまっている分、今まで如何に自分がいい加減なライティングをしていたのかを毎回思い知らされることにもなった。
しかし、それでも不思議にゼミへの参加を「もうやめたい」とは思うことは一度もなかった。つまり、その内容は自分にとっては間違いなく「学生を寝かせない」ものとして成立していたのである。
では、それはなぜ「寝かせない」だけの内容に達していたのだろう? その理由はどこにあったのだろう? さらにその中で、今の自分のレベルでも習得できて、かつ、数ヶ月先に自分の講義を受けるであろう学生に対しても使えそうなものは何だろう?
気がつけば、毎回の講義を京都天狼院で受講し、さらに数日後に直近の講義をYoutubeで改めて見直して、自分なりにそのポイントを考えてみることを繰り返すようになっていた。
……いやいやいやいや、そういうことに血道を上げるのがこのゼミの本筋じゃないだろうよ。それだけの手間を掛けている余裕があるのなら、毎週の課題をもっとちゃんと出せよ!
はい、全くその通りです。こんな風に偉そうなことを書いておきながら、ゼミ期間中の課題提出(「天狼院メディアグランプリ」への投稿エントリー)は期間中全16回のうち、今回も含めて5回しか提出できていないので、私自身はゼミの中では落第生以外の何物でもないのだが……
そんなことを考えているうちに、5月から始まったライティング・ゼミの4か月はあっという間に終わり、10月になった。大学でも暦通りに秋学期へと突入し、私の担当科目でも今週から今年度の講義がスタートする。
さあ、ゼミで得た内容で、今年度の自分の講義を本当の意味での「学生を寝かせない」ものに少しでも近づけることは出来るのだろうか?
その答えは、これから自分の手で出していかなければならないのだろう。
初回講義の資料づくりをしながら、今年は、例年よりも少しだけポジティブな気持ちになっている。
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