fbpx
メディアグランプリ

変態のススメ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:己波 智司(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「うわぁ、すごい」
「どういう時が楽しいですか?」
「もっともっと、話を聞かせてほしい!」
目をキラキラさせた僕は興奮していた。
30代、40代のおじさん数名に。
 
僕は、おじさんを集めてお話しする場を求めていたのだが、待っていても向こうからやってくるわけでもないので、自分でその場を作ることにした。
自分から動いた甲斐もあり、主夫経験者のおじさんだけでの平日お昼間のランチ会が開催された。
 
おじさんとのひとときは至福の時間だった。
充実した話を終え、満足感たっぷり。
僕はまだまだ話したい衝動を抑えられなかった。
ただ、おじさんを平日昼間に集めるのは難しすぎる。
なので僕は、複数人でのビデオ通話が可能なZoomというアプリを使用し、それ以降もおじさんたちとのお話会の場をセッティングしている。
そこまでしてでも、おじさんたちとお話をしたかった。
 
この時点で僕のことを変態? と感じてもらえたなら、ちょっと嬉しい。
 
そんな僕なのだが、今まで変態という言葉にマイナスイメージをものすごく持っていた。
もちろん、変態なんて言われるのは毛頭嫌だった。
だが、変態という認識が僕を救ってくれることになる。
 
変態と認識するまでの僕は苦しんでいた。
どうも、僕は周りと違う。
趣味、趣向、考え方が、社会の中でなかなか一致しにくい。
僕はこうなんだ、とカミングアウトしてはいるものの、全然周りには理解してもらえない。
時には、それのせいで攻撃されることすらある。
正直つらかった。どうしてこんなにも責められなければいけないのだろうか、と。
中には素敵だと言ってくれる人もいるのに……
 
僕の体験談をさせてほしい。
 
2016年5月。僕が36歳の時、第1子となる息子が産まれた。
昔から子供が欲しくてしょうがなかった僕は、子育てがしたくてたまらなかった。
世にいうパパスイッチは子供が産まれる前から入っていたので、純粋に子育てをしたい思いに突き動かされた僕は、1年間育児休業を取得した。
 
子供好きな僕にとって、産まれた子供との時間は幸せそのもの。
と同時に、初めての育児は夫婦共にとてつもなく大変でもあった。
そんな中、妻が先に育児休業を切り上げ仕事に復帰した。
そこからは僕が7、8ヶ月ほど主夫の立場で子育てに専念。
二人で子育てに専念していた時から一人で育児に専念した瞬間は、人生の中でこれほどしんどい日々はないという位、疲れ果てた。
発狂しそうになった日もある……いや、発狂していたかもしれない。
でも、子育ての幸せや周りのママさんからの
「すごいですね」
「育児休業で子育て、素敵ですね」
といった言葉に救われ、なんとか激動の0歳育児を乗り切ることができた。
幸せに包まれ、充実した日々だった。
今思うと、この経験が僕のパパスイッチを変態スイッチに切り替えていたのだと思う。
 
激動の日々をなんとか乗り切った2017年4月。
無事に息子を保育園に預けることができ、僕も会社に復帰することになった。
そこで僕は、周囲に正々堂々カミングアウトする。
「うちでは妻が大黒柱なので、僕が主に育児に注力することになります」
「子供のお迎えや、熱を出した時の対応で早く抜けなければいけないことも多いです」
「なので、兼業主夫と思っていただければ、と」
宣言後、周りはわかったと快く返答してくれた。
だがそれは、表面上だった。
 
「男が仕事せんと何考えとるんや」
「なんで奥さんがやらんのや」
「なんであいつだけ特別扱いやねん」
「ただのわがままやろ」
直接であったり、裏であったり。色々な辛辣な投げかけをされた。
 
「僕は何か間違ったことをしているんだろうか」
辛辣な言葉に追い込まれ続けた僕は、とにかく悩んでいた。
だが、働く社会との接点が会社だけの間は、答えは何も見つけ出すことができなかった。
 
そこで、僕は閉塞感から抜け出すべく、
「笑ろてるパパがええやん」
とのメッセージを掲げて活動している団体のイベントに飛び込んでみることにした。
すると、形は違えど子育てに注力しながら仕事をこなす父親が沢山いるではないか!
中には、主夫の人だっている!
その団体の中では、自分のやっていることを否定されたりしない。
それどころか、
「その感覚、凄いですね。改めてハッとさせられましたよ」
とすら言ってもらえることだってあった。
僕は自分の道が間違っていないことを感じることができた。
 
ただ、これだけでは単純に浮かれて終わりだったかもしれない。
とある人のちょっとした一言が、そんな僕の中に大きな変化をもたらしてくれた。
 
「こんなパパ、世間から見たら変態の集まりやで(笑)」
 
僕の中で、初めて変態という言葉が妙に心地よく感じることができた瞬間だった。
 
その後もしばらくは会社の中では色々苦しみ悩み続けていたのだが、ある時期から
「悩み続けててもしょうがない、変態なんだから」
と、悩みを捨ててみることにした。
僕は変態なんだと受け入れて、悩みから解放される道を選んだ。
 
すると、あれこれ周りが気になり動けないことが多かったのが嘘のように、
「たとえ周りと違っていてもいいや、変態だもの」
の合言葉とともにいろんなチャレンジができるようになった。
育児休業に興味のある後輩に、育児休業の魅力を伝えてみたり。
主夫のおじさんを集めてランチ会を開いたり、主夫のおじさんとZoomでのお話の場を作ったり。
人見知りなのに、いろんな人に自分から声をかけてみたり。
たとえそれが周りから奇妙なことととらえられたとしても、変態バンザイだ。怖くない。
 
僕は、周りと違うという変態さを受け入れられず苦しんでいただけだった。
大切なのは、周りと違うことを受け入れること。
変態を受け入れることで、自由の翼を手にすることができる。
翼を手に入れることで、今まで見えていなかった世界が一気に広がりを見せる。
翼があるから、同じ場所にとどまり続ける必要もない。
いつだって、自由に飛んでいくことができる。
 
もしあなたが周りと違うことに思い悩んでいるのであれば、まず翼を手に入れてほしい。
残念なことに、僕の体験のように世の中には翼をへし折りにこようとする人も沢山いる。
そんな時は、自由に飛んで行ってほしい。
変態という名の翼は、あなたが行きたいところへ連れて行ってくれるから。
 
 
そんな僕が自由の翼を手に入れ、主夫とのランチ会を開いた日。
ライティング・ゼミの第1講を、京都天狼院書店で受けた日でもあった。
ぞして今、翼にはより大きな力をかけることが出来るようになってきている。
 
さて、僕はこれからどこに飛んでいこうかな。
***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。



2018-10-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事