夜の皇居を走りませんか?
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:植松真理子 (ライティング・ゼミ 日曜コース)
贅沢……というと一般的にはお金がかかることのイメージがありますが、普通に日常を過ごしている時よりも、数段得をしたような気持ちにさせてくれることを贅沢というなら、私も1つ贅沢な趣味をもっています。しかもお金はかかりません。
皇居ランです。
それも夜の皇居ランがとびきり贅沢な時間の過ごし方だと思うのです。
私は以前からジョギングが趣味でしたが、東京で就職してからしばらくの間は、休日にわざわざ都心の皇居まで出かけていく気にならず、自宅周辺を走っていました。ある日、
「一度くらいは皇居ランを経験してみよう」
と思い立ち、まずは休日昼間の皇居ランにはまりました。
皇居周辺にたくさんあるシャワー施設をネットで調べ、着替えて皇居外周の道路に着くと、いきなり空が広くなります。お堀にはなぜか野生の白鳥がいて、お堀の向こうの皇居はこんもりもした緑の山に見え、遠くには近代的な高層ビルが見えます。皇居警備の警官に見守られながら、こんな場所で走るということ自体が特別なことのように思えました。
この後、何回か休日に皇居ランに出かけたのですが、行き帰りの時間を含めると、少なくとも半日がかりになります。そこで、会社帰りに皇居ランに寄るようになりました。
夜の皇居ランを楽しむ人も多いのですが、それでも休日の昼間よりは大分人が少なく、レトロなデザインの街灯に照らされた道路や交番。高層ビル群の夜景と真っ黒にみえる皇居の木々とのコントラストなど。昼間とはまるで別の空間にいるかのようです。
明るい月がお掘りの水面に映っている時などは本当にきれいで、「私ってもうすぐ死んじゃうんじゃないだろうか」などと思ってしまったことがあります。それほど、贅沢さを自覚できる時間です。
この話を会社ですると、普段ジョギングをしている人ではなくても興味を示す人が何人もいることに気がつきました。
そんなときは積極的に誘うことにしています。絶対に人に勧める価値があると思うからです。
「せっかくこの場所で働いているんだから、一度は走ってみたら?」
「でも、1周5キロでしょ? そんなに走れるかなぁ?」
「大丈夫。別にずっと走っている必要はないもの。苦しくなりそうだと思ったら歩けばいい。よければペースメーカーするよ」
こういうと「じゃあ、いってみようかな」となることが、私の経験では確率40%くらいあります。これは結構普段走らない人をジョギングに連れ出す成功率としては、すごく高いのではないでしょうか。
先日も一人、私が誘って皇居ランデビューをする人がいて、一緒に走ってきました。
皇居ランはどこからスタートしてもいいのですが、私はいつも平川門をスタート地点にしています。会社からのアクセスのよさと、最後にちょっとした寄り道ができるからです。
「この平川門は、江戸時代は大奥に勤める女中さんの通用門だったんだって」
そんな説明をしながら準備体操をしていると、なんだが気分が高揚してきます。
「路面には、日本全国の都道府県の花がデザインされた距離表示板があるから、自分の出身県の花を探しながらいこうね」
そんな話もしながら歩き出し、ゆるゆると走り出して竹橋駅を越えると、いきなり皇居ラン一番の難所にさしかかります。緩やかな坂道が約1キロつづくのです。初めて走る彼女はちょっと、苦しそうです。でも大丈夫。ここを超えさえすれば、あとは楽に走れますし、見どころ満載です。
坂を上りきると千鳥ヶ淵にでます。「怪談千鳥ヶ淵」の舞台にもなった、春は花見の名所でもある場所です。ここで少し歩いて息を整えます。
ここから桜田門までの約1.5キロは、ひたすら下りになります。左手に皇居のお堀を見下ろし、右手には英国大使館、国立演芸場、国会議事堂、と次々に現れる重厚な建物を見ながら走ります。正面には高層ビル群の夜景がきれいに見えます。私はここが一番好きです。
坂を下りきったところに桜田門があり、ここから皇居の中に入ります。あの「桜田門外の変」のあった場所ですが、夜に通っても他に人がいるので怖くありません。
皇居に来ること自体が初めてだという彼女のために、ここから皇居の見どころの1つである、めがね橋に寄ってみます。めがね橋は皇居の玉砂利の敷地部分にあり、玉砂利の部分はランニング禁止なので歩きます。夜景に囲まれた、とても豪華な夜の散歩ができます。
ここからは平坦なコースが続きます。旧GHQ本部や東京駅の駅舎等を眺めることができます。ゴールはもうすぐですが、余力があれば、もう1つ寄り道をすることができます。
その寄り道とは、将門の首塚です。粗末に扱うと祟りがあると言われ、東京の一等地でありながら開発されずに残っている場所です。少し怖いですが、いつも新しい生花が供えられていて、先日寄ったときには、まだ煙があがっているお線香が手向けられていました。
ゆっくり走り、ときどき歩いて寄り道をしても1時間強しかかかりません。いっしょに走った彼女は、
「贅沢だといった意味が分かりました。何より気持ちがよかったです。また来たい」
と言っていました。
実はこの秋、私が誘って皇居ランデビューしたのは彼女で2人目です。
駅からのアクセスが良く、周辺にたくさんあるシャワー施設にはシューズやバスタオルのレンタルができるところもありますから、東京在住や在勤の人でなくても旅行や出張のついでに皇居ランをすることもできます。是非、皇居を夜に走ってみませんか?
もし良ければご案内しますよ。
***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
http://tenro-in.com/zemi/59299
天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら
天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
【天狼院書店へのお問い合わせ】
【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。