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アニメの教師が教えてくれた宝箱の探し方


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:原雄貴(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
自分がやりたいこと。
それは、僕がずっと探し続けたものだった。
一生出会えないかもしれないと思いながらも、とにかく探し続けたものだ。
 
「お金以外の目的で働いている人って本当に少ないよね」
誰かがこんなことをつぶやいた。
僕がまだ大学生だった頃、身内で集まって焼肉をしたときのことだ。
どのようにして始まったのかは覚えていないが、僕がもうすぐ大学卒業後の進路について考える時期になるという理由で「働き方」の話題になった。
その場にいた人は僕以外みんな社会人だったので、みんな自分の職場の話なんかをした。
もう定年までそんなに年数がないという人も結構いて、老後の話なんかも飛び出してくる。
でも、僕は誰の話を聞いてもこう思うだけだった。
「みんな、現実的な話ばかりだな」
僕はまだ大学生で、色々な職業につける可能性がある。さすがに幼い頃のように何にでもなれるとは思っていない。でも、まだ僕の人生は始まったばかりなのに、普通にサラリーマンになって何事もなく数十年働いて、退職後は静かに暮らすなんて人生ルートは考えたくなかった。社会は甘くないと誰かに言われるかもしれないけど、やっぱり面白味のある人生ルートを選びたいと考えていた。
でも、起業とかいわゆる「夢のある話」はこの焼肉の席では聞こえてこない。
そして、僕のこの不満が最高潮に達したのが、誰からともなく放たれたこの言葉だ。
 
「お金以外の目的で働いている人って本当に少ないよね」
 
「もういいや」
この場にいても、悲しい現実ばかり見せられるだけ。
結局、それ以降はこの焼肉の席で自分の人生について考えないようにした。
 
それからあっという間に時間は経ち、僕はついに自分の進路を決める時がきた。
だが、いざ自分の進路と向き合ったとき、僕は凍り付いてしまった。
 
「自分って何がやりたいんだろう」
 
いくら考えても出てこなかった。何をしたらいいのか分からない。
僕は大学時代、ボランティアや国際イベントなど様々な課外活動に関わってきた。特にボランティアでは管理職のようなこともしてきた。でも、自分のやりたいことはどこにもなかった。
そのまま、就職説明会が盛んに行われる時期になった。
「仕方がない。あちこち歩いてやりたいことを探すか」
これが向いているのではないかという業界や職種を手当たり次第に見て、興味を持った企業の説明会や面接に顔をだした。就活エージェントにも相談した。
でも、やりたいことは見つからない……。
 
そのうち、僕は家に閉じこもるようになった。
就職活動では、長距離移動もいとわないという姿勢であちこちの企業や町を見て回った。でも、結果的にどこへ行っていいのか分からないままだ。
「どうせあちこち動いても見つからないよ」
 
そんな時だった。あのアニメに出会ったのは。
その名は「電波教師」。
「理系の学校の話かな?でも何だか面白そう。観てみよう」
話の内容は僕が想像していたものと全く違っていた。
主人公は引きこもりのオタク男性。その主人公がひょんなことから高校の教師になり、独自の手法で授業を行って生徒やその周辺の人達が抱える問題を解決していくというストーリーだ。
あまり現実にはなさそうな話だったのと、少し現実から離れたかったということもあり、僕はこのアニメにのめり込んでいった。
そんなアニメの主人公は、あるキーワードを大切にしている。
「YD(ワイディー)」
「やりたいことしか(Y)できない病(D)」の略称だという。
主人公はただ「やりたい」「欲しいものを手に入れたい」という衝動だけで行動を起こす。生徒やその周辺の人達の問題を解決するのもその一環だ。主人公の授業のおかげで、関わる人達は自分のやりたいことやありたい自分の姿を見つけていった。
 
でも、話が進むにつれて1つの疑問が浮かんできた。
 
「どうして主人公はこんなにやりたいことが次から次へと見つかるんだろう」
 
毎回、主人公は偶然やりたいことを見つけているように思える。
でも、偶然にしてはできすぎている節もある。
何かやりたいことを見つけるうまいコツでもあるんだろうか。
 
でも、ある回の話で主人公自身が言い放った答えはこうだった。
「おもしろいことがあるから行動するんじゃない。行動するからおもしろいことが見つかるんだ!」
 
このセリフを聴いた瞬間、自分の何かが変わるのを体で感じた。
それと同時に今の自分の甘さに気がついた。
やりたいことは家の中に転がっているわけではない。
外へ出ないと見つからない、いわゆる「宝箱」なのだ。
 
そう考えると、ふと小説やアニメで見た宝島を思い出した。
それぞれストーリーの展開は違うものの、何の苦もなく宝箱に至った主人公は見当たらない。
どんなストーリーでも、自分の力で船を手に入れて海へ乗り出していくことで、はじめて宝島への第一歩を踏み出せた。いざ海へ出たら、その先には嵐があるかもしれない。海賊に遭うかもしれない。何が待っていようと、様々な困難を乗り越えなければ宝島にはたどり着けない。
何とか島にたどり着いたとしても、宝箱は大抵見つけにくいところにある。
島の中でいろんな冒険をして、ようやく宝箱にたどり着く。
大抵のストーリーではこれでハッピーエンドになる。
 
でも、宝が「自分のやりたいこと」となると少し事情が違ってくるかもしれない。
宝箱を見つけたとしても、それは空箱だったり、自分にとってはガラクタの入った箱だったりすることもあるだろう。
でも、その時は自分のやりたいことがそこにはなかったというだけのこと。
外れの宝箱に当たってしまったのなら、どうすれば少しでも自分の欲しい宝箱に近づけるのかを考えなおして、また次の島へ向かえばいい。
この多難な冒険の先に、本当に欲しい宝が入った箱が見つかる。
やりたいこと探しとは、そういうものだろう。
 
僕はハッと我に返った。
「もう一度、あちこち探し回ってみよう」
あれこれ考えることなく、僕はそう決意した。
次の瞬間には、手足が自然に動き出していた。
 
「おもしろいことがあるから行動するんじゃない。行動するからおもしろいことが見つかるんだ!」
このセリフはずっと心に留めてある。
就職が決まり、さらには仕事とは別にやりたいことが見つかった今でも。
この先、何が起こるかは分からない。今とは違う「やりたいこと」が将来欲しくなるかもしれない。
でも、その時はまた宝探しの旅に出ようと思っている。
人生をもっと面白いものにするために。
 
***

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2018-10-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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