僕は読書が好きだから、僕は決して太らない。
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:高木淳史(ライティング・ゼミ平日コース)
僕は本を読むのが大好きだ。
本は新しい世界の入口で、本屋は新しい世界がたくさん集まっている場所。
想像もできない未知との出会いが待ち受けている場所だ。
読書が何より大好きで、大きな本屋はまさに夢の国だと思っている。
ところがある日、いつものように本屋を歩いていると不思議な感覚に襲われた。
いつもは本屋を歩きながらほぼすべての棚を眺め、気になった本があればあらすじを立ち読みする。時間にしてだいたい一時間くらいだろうか。仕事終わりのこの一時間は僕にとってエネルギーを充電する時間だ。立ち寄った本屋で新たに出会った世界を家に持ち帰り、お茶を飲みながらその世界を楽しむ。まさに至福の時間だ。
それなのに、どうもその日はいつもと違う。
本屋を歩いていても身体が重いし、頭がボーっとしているようでまるで頭が回っていないのだ。本棚を眺めていても目元がかすれてどこか焦点が定まらない。新しい本が平積みにされていても、手を伸ばそうという気にならない。いつもならこんなことはない。仕事終わりで疲れているのかな? それとも仕事のストレスか?
ふだん僕は子ども専門の歯医者をしている。
歯科医院にはいつもたくさんの子どもたちがやってきてくれる。泣きながら虫歯を治した男の子や、きれいな歯並びになって喜んでいる女の子、妹の前でカッコつけようと強がっているお兄ちゃんに、弟の面倒を見ようとしているお姉ちゃん。
診療室にはいつもたくさんの子どもたちの笑い声や泣き声が響き渡り、たくさんのありがとうとさようならに包まれている。そこはとても楽しい空間で、そこで仕事ができるのは本当に幸せなことだ。
そんな仕事が終わるのは、だいたい夜の8時を過ぎた頃。
いくら楽しい仕事でも、仕事終わりの身体には疲れがたまっているし、小腹もそれなりにすいている。体が塩分と糖分をほしがっていることがよくわかる。
仕事終わりに本屋に寄るため、帰り道に車を飛ばし、その途中にあるいつものコンビニに車を停める。すいた小腹を満たすため少しのスナック菓子を買い、車の中で食べながら少しの休みをとるためだ。その後、その足で本屋に立ち寄るのが僕のささやかな楽しみだった。
「きっと疲れているんだろう」「たまたま今日だけのことかもしれない」そう思い、その日は早めに家に帰ることにした。その日はあまり無理をせず、本を全く読むことなく眠りについた。
その後、同じようなことがその日から何度も続いた。本屋に行けなかった日はどこか物足りなさがあるし、本を読めなかった日はその日一日何もできなかったという気持ちでそわそわしてしまう。調子のいいときとあまりよくないとき。この違いはなんなんだろう。
そんなとき、たまたまつけたテレビで血糖値の特集をしていた。どうやら空腹状態で糖分をとると血糖値が急激に上がる。それを血糖値スパイクというらしい。
ラスボスを倒す必殺技の名前のようだ。
その特性は、眠気、だるい、吐き気、イライラ…etc。いわゆる敵の集中力を下げる効果を持っているらしい。なるほど。
もしかすると、仕事終わりに軽く食べているお菓子とかのせいで、血糖値スパイクという攻撃を受けているのかもしれない。疲れた体と空腹にお菓子。量は少ないかもしれないけど、確かに血糖値が急激に上がってもおかしくない状況だ。
気づかないうちに必殺技を受けるような習慣ができていたのかもしれない。
でも困ったことに、仕事終わりの空腹は抑えるのが難しい。軽くお菓子は食べたい。でも僕としてはできるだけ読書に集中して楽しめる環境を作りたいし、そのためにはできるだけ体力と集中力を残しておきたいところ。だから血糖値を上げたくはない。どうしよう。
でも要は血糖値が急激に上がって下がらなければいいんだろう?
とりあえずお菓子の量を減らすようにしてみよう。あとお菓子を食べる前は豆乳とかコーヒーとか飲んでみるようにしようか。もともとジュースは飲まないから大丈夫。あと他にできることは……
そんなことを考え、いろいろと試しながら自分の体を確認していった。そうすると結果的に、食べなきゃいい。っていう結論にたどり着いた。実に単純だ。お腹がすいたら軽く豆乳でも飲んで小腹を満たしておけば十分だ。
そんな工夫がどうもうまくいったようで、頭がボーっとする回数が確実に減っている。少しお腹がすいているくらいの方が、集中力が高まって頭の回転よくなるんだろうか。
間食がなくなったぶん、周りから「痩せた?」と言われるようになったし、実際に体重を測ってみると2㎏ほど体重が落ちていた。決して太っているわけではないけれど、体重が落ちるとやはり身体も軽くなる。そうなると間食をしようなんて気に全くなれなくなってきた。
そうなるとしめたもので、本を集中して読むために生活のなかでいろんなことに注意するようになれてきた。集中力を下げるような暴飲暴食はなくなったし、部屋の机周りの環境も整理整頓するようになった。間食をやめたことで、お金の節約にもなって、そのぶん本に使えるお金も増えた。読みたい本を買えるようになったぶん、読む時間をしっかり確保するよう残業も減らすような工夫もするし、読書自体の質を高めるような方法も考えるようになった。そして読んだら発信したいという気持ちもでてくるし、おかげで天狼院のことを知ることができて、こうしてライティングゼミの文章も書いている。
はじめはささいなきっかけだった。間食をやめる、そんな簡単なことだった。
読書に集中したいと考えて行動した結果、体調もよくなって、お金の無駄遣いもなくなり、時間も有意義に使えるようになった。本腰を入れて本を生活の中心に置くことで、他のいろいろなところにいい影響を及ぼすようになったと思う。
これからも僕の読書生活は変わらないだろうし、本屋巡りの旅は続くだろう。そして本が僕の生活の中心に居続ける限り、僕は決して太るようなことはないのだと信じている。
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