メディアグランプリ

結局、私は「結果だけ欲しい病」を患っていたのだ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:あかばね 笑助(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
どうやら私は病を患っていたらしい。
 
「結果だけ欲しい病」である。
 
「結果を出し、みんなから称賛を浴びてる自分を夢想する」というのが主な症状である。
そしてこの症状が重くなると、人生の時間をムダに過ごすという重大な事態を招く。
かなり恐ろしい病気である。
このおかげで、かなり人生をムダに消費してしまった。
だが最近、幸いなことに治療法が判明した。
よって現在の私は治療中の身である。
有り難いことに快方に向かっている実感がある。
私は、いつ頃この病気にかかったのだろう?
これには自覚があった。
それは幼少期である。
 
 
不衛生な環境が伝染病の温床になるように、「結果が欲しい病」の温床になりやすい環境は、
 
「一人っ子」である。
 
「カギっ子」なら、更にこの病気になる確率が高まる。
私は一人っ子でカギっ子であった。
もちろん、「一人っ子でカギっ子」でもこの病気にかからない人もいる。
だが、私はかかってしまった。
決定的な要因になる体験をしたからだ。
この病気の根源に起因してる体験を、だ。
 
私には幼少の頃、親友がいた。
「ノリ君」と呼んでいた。
毎日のように、一緒に遊んだ。
その日も、いつものように川岸で遊んでいた。
目の前に石があったのを見つけた私は、川の中に敵がいると想定し、石を川岸から投げ込んで攻撃するという、戦争ごっこをして遊んでいた。
 
だが、それが事故になった。
 
大きな石を川岸から落とそうとしたノリ君は、誤って川に転落してしまったのだ。
私は助けられなかった。
小学校二年生で、彼の人生の幕は下りてしまったのだ。
親友が亡くなり、私は悲しかった。
そして彼の通夜、葬式を終え、私が学校にいた時のことだ。
学校の校庭を歩いていたら、後ろの方から声がした。
 
「アイツだよ! 川に友達を突き飛ばしたやつ」
 
上級生の一人が私を指さして言った。
私は「友達を殺したやつ」になってしまったらしい。
町中に、そのウワサは拡散していた。
そして七歳の私は、意識の奥底で思い込んでしまったようだ。
 
「どうやら人というものは、イイカゲンで、信じてはイケナイらしい」
 
「結果だけ欲しい病」の根底には「人間不信」があるようだ。
 
人を信じていないのだから、人と関わることを「嫌な事」と感じてしまう。
 
無意識に私は人と関わる、共同に体験するようなことを避けるようになってしまった。
 
ただ残念な事に、ほとんどの現実は人と関わることにより成立しているのだ。
 
私も成長の過程で「幸せになりたい! 人生を充実させたい!」と思うようになった。
だが、人と関わることを拒否し、目の前の現実を生きることなく「幸福感」を得ようとしたら、私には「結果を出して、みんなから称賛を浴びてる自分を夢想する」ことで自分を慰め、疑似でもこの「幸福感」を得ることしか残されていなかった。
 
素晴らしい成果の結果が欲しい!
だが、それを達成するための「努力」という過程は「現実」であり「人と関わる」ことが多くなるから避けたい!
 
私は目標達成のための努力をしり込みするようになった。
そして「結果だけ欲しい病」の患者になってしまった。
 
 
そんな夢想ばかりしていた私にも、転機が訪れた。
私の元に、アルバイト先で知り合った女性が転がりこんできたのだ。
同棲が始まり、後に結婚するのだが、この女性は私よりも「現実逃避」する人だった。
全然働こうとしない。
私は仕方なく収入を増やすため正社員になった。
しかし、それが自分には良い方向転換になった。
目の前の現実に取り組むしかなくなったからだ。
今、思えば赤面することだらけの仕事ぶりだったけれど、お陰で人と関わることに慣れてきた自分がいた。
 
そして私には二十歳の頃から夢があった。
作家になること。
だが結果だけ欲しい病、人と関わることの恐れが空想の世界に自分を誘い込んでいた。
作品を書いてダメだった時を想像して恐れてもいた。
だからなのか、書こうとしても、モヤモヤしたものが心に沸き上がり、作品を書く事を阻んでいた。三十年間も。
 
そんな自分を打破したかったから、天狼院のライティング・ゼミを受講した。
そして毎週、記事を書いて投稿している。
書いていると「結果を、成果を欲しがってばかりの自分。ほんの少しの挑戦で、ダメなら落ち込んで諦める自分」が顔を出してくる。
Web天狼院にアップされないと「もう、書くの止めようかな」と思う自分がいる。
 
そんな、記事がアップされなかった時、私は気が付いた!
 
「上手くいった、いかないで一喜一憂するのは止めよう! 毎週書き上げて投稿出来た、その努力を喜ぼう!」
 
もう、結果に一喜一憂しないよう心掛ける事にした。
 
結果が欲しいばかりで、失敗を恐れて挑戦に二の足を踏む自分だった。
 
そんなスタンスでは、努力が続かないことは明白だ。
挑戦できたこと自体を喜びとしよう!
結果は二の次だ。
そして、高すぎる目標は、もう夢想にしか過ぎない事がわかっている。
毎日、毎日、足の「くるぶし」くらいの高さの課題を課して、達成していくことにした。
 
これが「結果だけ欲しい病」を完治させる治療法だと思う。
 
私は今、治療中だ。
 
そして、結果を恐れないで挑戦し続けることこそ、生きがいだと、今は思う。
 
私はもう、今日一日のことしか考えない!

 
 
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2018-11-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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