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一夫多妻制


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記事:斎藤多紀(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
10年ほど前、東京で会社員をしていた頃、会社に出入りする宅配便の配達員の人を好きになったことがある。キビキビしていて、愛想がよく、重たい荷物を軽々と持ち上げる筋骨隆々の人だった。私が、何もアプローチできずにいることを知った会社の同僚が、
「結婚しているんですか?」
と聞いてくれた。答えは、
「はい、しています」
あっけなく私の恋は終わったのだ。
 
数年後、そんな恋の思い出が、再びよみがえってきたきっかけがあった。ある情報番組で、今「肉職系男子」に注目が集まっているという特集を見たのだ。「肉職」とは、筋肉を使って働く肉体労働のこと。宅配便の配達員、大工、消防士、海上保安官などなど。特に、佐川急便の配達員の中から、選りすぐりのイケメンを集めてつくった写真集『佐川男子』(飛鳥新社)は、売れに売れたそうだ。
テレビや雑誌などに紹介されて、肉職系男子が流行りだと知り、即飛びついた女性はたくさんいたという。「そういえば、いつも来る宅配便の配達員さんは感じがいいな」と思い、恋愛対象としてさっそく考えたのではないだろうか。行動力のある女性ならば、宅配便を届けてくれたたくましい男性にすぐ声をかけ、プライベートで会う約束を取り決め、そして積極的にアプローチして交際へと発展させられたのだろう。実際に、宅配便の配達員の男性と結婚をした女性のエピソードが、紹介されている本もあった。
男性に守ってもらいたいと思っている女性は、今も昔も多い。だから、たくましい「肉職系男子」を見ると、肉体面だけではなく精神面もタフかもと、想像するのではないだろうか。人命救助をする消防士、厳しい訓練に耐え抜く自衛隊員などは、自分を苦しみから救ってくれる王子様のように見えるのかもしれない。悩みを相談したら、「大丈夫だよ」「俺にまかせて」などと、力強く言ってくれそうに思えるのだろう。
 
肉職系男子のブームからさらに数年が経った今、世の中は「絶食系男子」が増えているという。絶食系男子とは、まったく恋愛を必要としない男性のことである。恋愛なんて面倒くさい。恋人なんていないほうが楽。そんな風に思っているそうだ。もし、こんな男性を好きになったとしたら、女性はどうしたらいいのだろうか。勇気を出して告白をしても、
「俺、恋愛に興味ないから」
で終わってしまうではないか。恋愛にも結婚にも興味のない男性が増えれば、当然あぶれる女性は増えていく。それでは困るからと女性が積極的に相手探しをしたとしても、結婚に乗り気ではない男性ばかりでは、結婚話がまとまるはずはない。婚活がなかなか実らず、ついにはもう一生独身でいいとあきらめざるを得なくなる。
 
ある南の小さな島は「一夫多妻制」で、その島の長には36人の妻がいた。その村を特集したテレビ番組を見たが、36人の妻たちはとても幸せそうだった。妻の中の1人が、「妻が他にもたくさんいるから自由があっていい」と言っていたのが印象的だった。確かに、「亭主元気で留守がいい」とはよく言ったもので、夫が毎日家に帰ってきて家でご飯を食べることに、面倒くささを感じている妻は少なくないのだという。
もし日本が一夫多妻制だったら、どうなるだろうか。絶食系男子がいる一方で、妻を何人も持てる経済力も精神力もある男性もいる。そうした男性に、女性たちは群がっていくだろう。1人も妻を持たない男性もいれば、10人妻がいる男性もいる。そんな社会になっていくのかもしれない。都合のいいことばかりではないだろう。いろいろと揉め事が起こったり、法律上の問題があったり、骨肉の争いが生まれたりと、一夫多妻制を日本で実現させるのは実際には難しいだろうとは思う。そこは南の島とはわけが違うからだ。しかし、恋愛や結婚に対する価値観が多様化していく中、いろいろな形の幸せを認める社会風潮や制度があれば、もっと自分らしい幸せを見つけられる人が増えていくのではないだろうか。
 
もし日本で一夫多妻制が認められることになったら、私は2番目か3番目の妻がいい。その家の跡継ぎを産んだり、舅や姑の世話をしたり、親戚付き合いをしたりするのは本妻にお任せしたい。その代わり、大きな家に住み裕福な暮らしをすればいいと思う。夫には月に数回会えればいい。その他の日は、私の自由に過ごしたいのだ。こんな妄想をしている自分は、なんて自分勝手で子どもっぽいのだろうとは思うが、これが私の本音である。そうかといって、不倫は嫌だ。やはり、堂々と「2番目の妻です」と言いたい。本気なら例の南の島に嫁にいかないとダメだろうか。日本政府に期待するのは、到底無理なことかもしれない。恋愛したい人もしたくない人も、結婚したい人もしたくない人も、みんなが幸せになれる世の中になればいいのに……。さて、絶食系男子の次は、どんな男子が流行るのだろうか。

 
 
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2018-11-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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