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人生見直しのタイミングはガンだった


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記事:丸尾 知実(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
夜、寝る前にツイッターを見ていたら、友人が呟いていました。
「人生見直しの時期かもしれない」
 
いい年した友人が呟いていたものだから、ついに何かの転機が訪れたのだと思ったのです。
だから私は「飲みに行きましょう」なんて、気軽に誘ってみました。
彼の経歴は面白く、一緒に飲むと何かしら発見のある彼です。
だから、これから何を始めるのかと、期待を込めて、飲みの誘いをしました。
 
仕事の転機なのか、それとも恋愛関係のニュースなのか。
どんな事があって、人生見直しの時期だと感じたのか、とても興味がありました。
それに至るまでの、過程がどんなであったのかが聞きたいなと、その時は気軽に考えていました。
 
そして、飲みに行くことになった当日。
お酒が好きだという事が共通の私たちなので、原宿にセンベロをしに行きました。
1000円でベロベロに酔えるといセンベロができるお店とは、呑んべいにはありがたいお店。
リーズナブルなのに、美味しいつまみで、ほろ酔いになれるなんて、幸せでしょう。
 
そんな期待で始まった飲み会。
彼はいつも決まって、この台詞を言います。
「最近、どう」
 
つまり、最近の私の話題を話せという事なのですが、いつも通りだったのは、ここまででした。
一通り、私の話題を話した後、「最近、どうですか」と聞いた時の反応が違いました。
「いや、まだ素面に近いでしょ?もっと酔ってからにしよう」
 
珍しいことをいうものだと思いました。
お酒の勢いがなければ言えないことなのかと思い、時間を置くことにしました。
何か恥ずかしがっているのかなという印象を受けたからです。
 
タイミングを見て、自分から話を切り出すかと思いましたが、結構飲んでも肝心の話が始まりません。
どうしても私は、人生を見直す時期というのが気になったので、帰り際にさらっと聞いてみることにしました。
 
 
「そう言えば、転機ってなんだったんですか」
それに対する回答が、
 
「実は腫瘍が見つかった」
 
 
 
想像もしていなかった話だったので、驚きました。
決して恥ずかしがって、話ができなかったわけではなかった事がわかりました。
まさか、そんな話題が出るとは思わなかったのです。
 
 
正確には、腫瘍が見つかり、検査中とのこと。
ガンかもしれないし、そうではないかもしれない。
最終的な診断はこれからだけれど、人生の限りを実感したから、これからは本当にやることをしなくてはと考えた。
 
これが、彼の人生を見直す時という回答だったのです。
 
正直、こんな時、どんな言葉をかけていいか分かりませんでした。
 
あなたなら、どんな言葉をかけますか。
 
ガンは2人に1人がかかる病気と言われています。他人事ではありません。
周りにも、家族にも、ガンになる人が、身近にいてもおかしくありません。
そんな病気が、ガンです。
 
ただ、ガンは病状や場所によっては、死に直結する病気です。
今は検査中のため、彼自身も病状がどんなか分からない状況です。
そんな状況だからこそ、私もかける言葉に迷いました。
 
結局、私は自分の知っている事で、彼の為になりそうな情報を探していました。
 
10年以上前に勉強した栄養士の知識を思い出してみました。
仕事で使ったガン治療の知識を思い巡らしました。
 
そして最後に、どんな心情であるか本人も分からなそうだったので、最近勉強中のカラーセラピーの知識も使えないかを考えていました。
 
 
彼にどんな言葉をかけようかと考えた時、心情に打ったかけるような言葉を口にできませんでした。
一言で、ガンといっても色々な種類があり、進行の度合いも人それぞれだと知っていたからです。
 
だからこそ、誰にとっても感情が変化しにくい、無機質な情報を探していた様に想います。
 
 
私は弱いと思います。
彼の心情に正面からぶつかることはできませんでした。
 
きっと、ガンという病気になり、心情は揺れていたでしょう。
 
人生見直しの時期というからには、何かしらの変化を求めていたかもしれません。
 
それを無機質な情報を提供することで、逃げてしまいました。
 
ガンになったという話を友人からされた時、あなたなら、どんな話をしますか。
 
 
 
人生見直しのタイミングはガンだった
 
彼にとって、ガンかもしれない腫瘍ができた事が、人生の見直しのタイミングになりました。
ガンかもしれないとなったとき、5年後がどうなっているか分からない状況になって、彼は本当にやりたい事をする事を決めました。
検査の結果、腫瘍がガンでなかったとしたら、良い人生の新たな出発点になる事でしょう。
とてもいいターニングポイントです。
 
ガンであるという事実は、死を思い起こさせて、不安や恐怖を覚えるのかと想像します。
不安や恐怖はできるだけないように排除したい感情のように想いますが、人生を見直し、舵を大きく切るタイミングにもなるのだから、不思議です。
 
 
私にとっても、ガンになったかもしれないという話を聞いて、新たな発見がありました。
不安や恐怖で気持ちが揺れている人に対して、寄り添って会話をする、対峙する強さがなかったという事実。
そんな時に、役に立ったのが、無機質だとも思える情報でした。
 
このタイミングでは以前に学んだ栄養学も、今
勉強しているカラーセラピーの知識もうまく使えなかったという反省が残りました。
 
これらは無機質な情報だけれど、不安や恐怖を軽くさせる事ができるかもしれないと思えました。もう一生使わないだろうと思っていた栄養の知識も無意識に使おうと思っていたのだから、分からないものです。
 
この経験から、同じような状況になった時に、うまく情報を提供できるように、レベルアップしたいというやる気になりました。そして自分では一生使わないと思った知識も、いつか使える時が来るかもしれないという、教訓になりました。
 
彼の知らせは、私にとっても、人生見直しのタイミングになりました。
 
不安や恐怖という感情は不思議です。
人をこんなにも変える力があります。
 
せっかく、この文章を読んでくれた縁です。
やりたい事を今できているか、あなたも振り返ってみませんか。
そして、不安や恐怖を抱いている人に対して、あなたがどうするかを考えてみませんか。

 
 
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2018-11-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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