キャリアは、あのヘディングシュートのように一瞬だ
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記事:なかむら(ライティング・ゼミ日曜コース)
「俺、企画部に異動しようと思うんだけど、どう思う?」
「いいんじゃないかな? 今、お前がいる営業部よりは良いと思うよ」
私は、友人と2人で居酒屋で飲んでいた。私の相談に乗ってもらっていたのだ。
その友人は、先月まで企画部に所属していた。私は、企画部の仕事の内容や、職場の雰囲気を知りたくて、彼に相談に乗ってもらった。
「なんとかして、異動する方法はないかなぁ。どうしても企画部で仕事がしたいんだけど」
私は、熱心に自分の想いを語った。話をしていく中で、私の熱意を感じ取ったのか、友人が切り出した。
「お前がそこまで異動したいなら、企画部の人に話してあげようか? 明日、前の職場の企画部の人たちが、俺の送別会を開いてくれるんだ。そこに課長とか部長も来るから、お前のこと話しておいてやるよ。お前のことを売り込んでおく」
「本当? それはありがたいよ。是非お願いします」
遠くに感じていた企画部が、ちょっとだけ近づいた。
後日。友人が、私に連絡をくれた。企画部の送別会での「営業活動」の報告のためだ。
「送別会で、お前のことを話したよ。そうしたら、部長も課長もかなり乗り気だった。どうやら、営業経験をもった、お客様との接する経験を持った人材をちょうど探していてみたい。お前が良ければ、部長と一緒に飲む機会を設けようか?」
一気に企画部が自分に近づいてきた。私に断る理由はなかった。
「こちらこそ、ありがたいよ。是非、お願いします」
また後日。私と友人、企画部の部長の3人で食事した。
「はじめまして。なかむらと言います」
「はじめまして。企画部で部長をしている山本です」
最初は、ぎこちなかったが、お酒も手伝って、話が盛り上がった。
私は、企画部で仕事をしたい理由、営業部での経験や実績、はたまた趣味や家族の話まで、たくさん話をした。
どうやら好感触を得たようだ。
「なかむらくん、いいねー。君が良ければ、企画部に来なよ。うちは、大歓迎だよ」
私は、内心、飛び上がるほど嬉しかったが、必死に平静を装った。
「ただ、異動に伴って、必要な人事手続きがある。まずは、人事部門に、異動要望の申請をしてくれるかな?」
私は、すぐに申請の手続きを取った。異動を成立させるためには、書類選考と面接を突破しないといけない。私は、今までの業務経験や、異動における志望動機を丁寧に書き上げた。
書類選考は順調に突破し、面接もしっかり自分の気持ちや志望動機を伝えることができた。自分ができることは、すべてやった。あとは、結果を待つのみ。
待つこと、約1ヶ月。私のデスクに1つの茶封筒が置かれていた。
中身は、人事異動の選考の結果だった。
「貴殿は、以下の部署への異動に適する人材として認める」
合格だ。私の企画部への異動が正式に決まった。
友人に相談した日から、わずか2ヶ月の出来事だった。部門をまたいだ異動としては、異例の早さだった。長い会社人生における2ヶ月なんて、一瞬の出来事と言ってよいだろう。
その時、私は思った。
「人生は出会いとタイミングだな」
たまたま、企画部出身の友人がいて、
たまたま、その友人と飲んだ日の翌日に、友人の送別会があり、
たまたま、企画部で営業経験を持った人材を探していたところに、
たまたま、企画部長と私の相性が合った。
すべての歯車がうまく噛み合って、私の異動が成立したのだ。
そのとき、私はあるワンシーンを思い出していた。
2012年のサッカーW杯。グループリーグでのオランダ対スペイン戦でのワンシーンだ。
オランダのエースストライカー、ファンペルシー選手が、空中にダイビングしながらヘディングシュートを決めたのだ。後方から円孤を描きながら放たれた長いパスに、ファンペルシー選手が、まさに「どんぴしゃり」のタイミングで、ダイビングをしてヘディングシュートを放った。まさに3次元空間で、点と点が交わった一瞬の出来事だった。「うまい」というよりかは「すごい」。まさに「タイミング」が決めたシュートだった。
私の今回の異動も、まさにタイミングが決した出来事だった。
自分の力だけではどうしようもないことは、世の中たくさんある。
皆、人それぞれ、いろんな社会や組織の中で生きている。その社会や組織の中で、自分らしく生きていける場所を手に入れるには、自分の力だけでは無理だ。
出会う人、出会うタイミング、出会った人との相性。
すべてがうまく噛み合えば、素晴らしいゴールが生まれる。
私にとっても、企画部への異動は、この3つが噛み合った素晴らしい出来事だ。
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