メディアグランプリ

黄色いスカートがつれてきた新しい自分


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:山田 楓(ライティング・ゼミ木曜コース)
 
「その黄色のスカートかわいいですよね、おすすめです」
 

そう声をかけてきてくれたのはアパレルのきれいなお姉さん。何か春っぽい服が欲しいと思って、お店で服を探していたときのことだった。黄色のスカートを自分にあてたり、鏡を見たりしているのに店員さんが気がついて声をかけてきてくれたのだ。いつもは服を選んでいるときに、店員さんに声をかけられるのは正直苦手なんだけれど、なぜかその日は素直に店員さんと会話していた。
 

私の服装はほとんどがモノクロでかためられている。白、黒、グレーを使って服装を考えることが圧倒的に多い。そのため自分にとって未知の色である「黄色」を試すことにはすごく勇気がいった。しかも、面積をとるスカートで挑戦しようとしていた。
 

実は、服を選ぶのはちょっとめんどくさい。中学生のときはこんなダサい制服着たくないと思っていたし、高校生のときは私服で登校できる高校に通っている友達がうらやましかった。でも、いざ大学生になって毎日コーディネートを考えないといけないようになると、それはそれはめんどくさいことを知った。しかも、服を買うのにはお金がかかる。もちろん服のコーディネートを考えるのがすごく楽しいという人が世の中に存在することはわかっている。でもどうやら私は毎日コーディネートを考える、ということには向いてないらしかった。
 

早く時代が変わって、AIが毎日自分の好きなジャンルで、自分に合う服を選んでくれないかなーと思ってしまうことさえある。季節が変われば、適当にその年のトレンドの服を購入してくれるとか。そもそも自分に合う服を探すために何軒も何軒もお店をまわることが苦手だ。サイズが合うかどうか毎回試着しないといけないのもめんどくさい。最近はインスタグラムで好みのコーディネートを見つけたら保存して、そのままネットで注文することが多い。ネットの中で服の買い物をすましてしまうことはとても便利だ。届いたものを見たら、思ってたのと違ったということはたまにあるんだけれども。
 

おしゃれをすることに興味がないわけではない。ある程度おしゃれをしていたいという思いはある。いわゆる女子会に出かけるときは大人っぽい服を着たいし、好きな人とデートに行くときはちょっとでもかわいいと思われるような服を着ていたい。
 

だからこんな私にとって、私らしくない色である黄色のスカートを買うことはとても勇気がいった。でもきれいなお姉さんが熱心にすすめてくれるし、今人気なんですよと言われると、心はぐらついてしまう。思い切ってお姉さんに素直に気持ちを伝えてみることにした。
「いつも白とか黒とかを着ることが多くて、黄色の服を着る勇気があまりないんですけど」
「そうなんですね。でも白や黒の服をたくさん持っているからこそ、黄色のスカートがさし色になって、合わせやすいですよ。1つ華やかな色の服を持っていると、コーディネートの幅が広がって便利だと思います」
 

結果的に私はその黄色のスカートを買うことに決めた。家に帰って、すぐにもう1回黄色のスカートを着て鏡を見てみた。改めて見てみると子どもっぽい黄色ではなく、やまぶき色に近いような大人めな黄色で、とてもかわいいと感じた。膝よりちょっと長い丈だから、大人っぽく着ることもできる。それからは黄色のスカートを着て、外に出ることが多くなった。お母さんや友達からも良い色だねって言ってもらえたりして嬉しかった。黄色という明るい色の服を身につけるだけで、何だか自分自身も明るくなれるような気がした。
 

こんなのはダメだ、似合わない、似合うはずがないと先入観で決めてしまうんじゃなくて、たまにはいつも着ないような服を着てみるのもいいなと思った。買うかどうか迷っていたときに、背中を押してくれた店員のお姉さんの存在は大きかったし、感謝している。
 

こうやってときどき日常のささいなことで冒険してみるということも必要だと思う。自分がいつも買わないようなものを買うと、新たな自分を見つけるのにつながったりする。自分で自分の範囲を無意識にせばめていることに気づいて、たまには広げてみるという大切さに気づいた。買う前は絶対にこんな色私に似合うはずがない、と決めつけていた。でも勇気を出して買ってみてよかったと心から思った。いつもは買わない色の服を買ったというちっぽけなことに過ぎないのだけれど、私にとってはその黄色のスカートは思い出のスカートになった。
 

これからも私にいつもと違う私をプレゼントしてくれた黄色のスカートを大事にしたい。

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2018-11-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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