メディアグランプリ

たくさんのにんにく料理から学んだこと。ごめんね、にんにくさん。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:はるな(ライティング・ゼミ 日曜コース)

 
 
「では、このにんにくをみんなで剥きましょう」
 
といって目の前に現れたのは、おそらく5キロはあるのではないかと思うにんにくの山。
 
青森のにんにく農家さんと一緒に、にんにく料理を作って食べようという趣旨のイベントのお手伝いをさせてもらっていた。
以前に仕事で東北にいたことで、一次産業に触れ、食べ物の大切さを痛感している私。
毎月、東北から食材一品とその生産者を取材した冊子が送られるサービスを利用しており、毎月送られてくる旬の素材をその人の想いと共に楽しむことが一つの気分転換になっている。今回もこのサービスのイベントだった。
 
正直、にんにくは私の中で避けてしまっている食材のひとつ。
理由は単純で、匂いが気になるから。
自炊でもにんにくを使うことはあまりなく、使用しても完全に脇役のさらに脇役のイメージだ。しかし今回は違う。にんにくのフルコース。
 
にんにくドレッシングのサラダ、にんにくの丸揚げ、にんにくで柔らか唐揚げ、にんにく主役のペペロンチーノやピザなど。
 
これほどまでににんにくという文字を見たことがなかったし、にんにくが主役になれるのか疑問だった。
 
みんなでの調理時間は約1時間半。
お酒を持って乾杯し、にんにくをひたすら剥いていく。
今日、初めましてという人がほとんどだったが、同じ作業を通じて自然と仲良くなっていく。そしてあっという間ににんにくの山はなくなっていった。
 
剥いたすぐ横で丸揚げがスタート。
「揚げ物は出来立てが美味しい」という農家さんの助言もあり、調理したそばから食べることになった。
勢いよく油の中に入れられたにんにくもいい香りとともに色が変わっていった。
横ではみじん切りにされたにんにくとトマトでピザのソースを作っている。
さらには、鳥肉がにんにくの特製ダレにつけられて、唐揚げになる瞬間を今か今かと待っている。
 
異様な光景だった。
 
3分ほどして、丸揚げされたにんにくがお皿に盛り付けられた。
「うーん、美味しい! ホクホクだぁ!」
皆、声のトーンが上がって興奮していた。
たくさん揚げていたはずのにんにくがどんどんなくなり、調理のスタッフも「では第2弾も入れちゃうよ!」と再度大量のにんにくを鍋に入れた。
 
この農家さんが作るにんにくは農薬を使っていないことで、本来イメージする臭みがほとんどないのが特徴。
みんなで食べれば怖くないと言いながら、本当ににんにくを食べているのかと信じられないくらいに美味しく、お酒も進む。
 
その後丸揚げと共に唐揚げも出来上がり、にんにくソースをかけて食べる。これがまた美味しく止まらない。
 
剥いたにんにくの山も少しずつ減っていきながら、農家さんが作り始めたのはペペロンチーノ。
普段見るペペロンチーノのにんにくは薄切りだが、みじん切り、さらには大きめにザクザク切ったにんにくが準備されていた。
まさににんにくが主役のペペロンチーノ。
 
オリーブオイルたっぷりのフライパンににんにくが踊っていた。
そこに茹でていたパスタを入れてサッと絡める。
 
そんな横では、ピザのいい香りが。
昼間からこんな贅沢な時間があるだろうか。
 
いただきますの予定の時間に近づいてきた。
突然、揚げ物を調理していた方が「あ!」と声をあげた。
調理をしながら、みんなで食べていた量が想像以上に多く、盛り付けうようとしたらあまり量がないことに気づいたのだ。
思わずみんなで笑った。
丸揚げや唐揚げが選んだお皿の割に少なく盛られていることは愛嬌だが、たくさんの料理がテーブルの上に並んだ。圧巻だった。
 
農家さんを囲んで「いただきます」と言い食べ始める。
あっという間になくなっていく料理。
こんなにも一度にたくさん食べたことがないとみんなで笑いながら、時間もあっという間に過ぎていった。
 
その後みんなで片付けしながら、再度農家さんに作り方のポイントや農家としての想いを聞き、美味しさに満足していた以上に知らない世界が広がっていた。何だか恥ずかしくなった。
 
普段、スーパーに並ぶ野菜の数々。
産地までは分かるが、どんな人がどんな想いで作っているのかまではなかなか見えない。
しかも店頭に並んでいることが当たり前になっていて、時々欲しかったものが並んでいないと、悔しい気持ちになる。
しかし、農家さんだって様々な想いで作られており、できることが当たり前ではない。天候や様々な条件で思う通りに作れないこともあるし、それがどのように消費されているのかも分からない。捨てられてしまう悲しい現実もある。
 
しかも今回はにんにくという私は脇役のさらに脇役と考えていた野菜。
それでも農家さんはみんなに食べてもらいたく作るし、実はそれが食卓を豊かにする一つ。
 
世の中知らないことだらけ。
一つひとつに他には譲れない価値はあって、フィルターをかけているのは紛れもない私。
 
にんにくをあれだけ食べたのに、すでにまた食べたくなる不思議な感覚。
全くもって侮ってはいけない野菜の一つだ。
 
ごめんなさい、にんにくさん。

 
 
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2018-11-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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