メディアグランプリ

あなたの側にもいる、頼れるアイツの存在


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【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
記事:飯田峰空(ライティング・ゼミ木曜コース)
 
ついに、今年のカレンダーが最後の一枚になろうとしている。
「もう2018年終わるの? 体感だとまだ7月くらいなのに!」 
「一年のスピードが年々早く感じる……」
人に会うたびに、こんな会話をしているような気がする。そう思っている間にも、忘年会やらイベントやら仕事の追い込みでどんどん12月の予定が埋まっていく。
こうなったらもう、年末年始の休みを励みに頑張るしかない。
 
気分も新しくなるし、仕事を考えずにゆるゆる過ごせる年末年始の休みは、やっぱり毎年楽しみだ。
その中でも私は、『12月30日』を格別に愛している。
 
年末を思い出してみてほしい。
なんとか仕事納めをすることができた。大晦日から元日、年明けにかけてはイベントが目白押し、時間の使い方や生活リズムも正月仕様になる。楽しみだけれどその前に、年内の仕事をやりきった自分をねぎらいたい。
そんな時に、そっと寄り添ってくれるのが12月30日だ。
ヒートアップした体を落ち着かせて、軽い体で休みに向かわせてくれる。
仕事をしている日常生活から、少し羽目を外してもいい年末年始の非日常へ行くための橋渡しのような存在だ。
 
そして12月30日は、自分の時間として自由に使える年内最後の日といってもいい。
大晦日、元日といったように名前がついている日は、特別な役割があり、その日だからこその過ごし方がある。家族や地域によって、恒例の催しなどもあるだろう。特別な過ごし方があるあまり、自分の時間としてはなかなか自由に使えない。
だが12月30日は、休みだけどまだ普通の日。日曜日みたいなものだ。だから肩肘張らずに休みになったらやりたかったことに取り組める。もちろん大掃除もできるし、今年やりたかったことけれどできなかったことをやるラストチャンスだ。
 
私は、この12月30日に出来るだけ自分の予定を消化することを、お勧めしたい。
なぜなら、大晦日までやることが残っていると、「もう年内にやらなくていいか」という気持ちが生まれてくるからだ。年はまだ明けていないものの、大晦日からすでに私達は浮き足立っているのだ。あと何時間で一年が終わるというお祭り感に浮かされる。大掃除なんかより今この瞬間を大事にしよう、なんて脳内にパーティーピーポーが現れる。そうすると掲げたミッションはたちまち棚上げになったり、なしくずしになるのだ。
その場合、刹那的な楽しさに身を任せて、やりたいことをやりきれなかったことに、お正月が終わった頃に気づき、じわじわと後悔が始まる。
大晦日から正月の非日常感、キラキラした特別感に浮かれてしまうのはもう仕方がない。
だからこそ、その前にある12月30日をいかに粛々と計画的に過ごすかが、新しい一年で気持ちのいいスタートを切れるかの鍵になる。12月30日、あなどってはいけない。
 
 
こんなに有意義で優秀な12月30日なのに、ただの一日として大晦日や元日の影に隠れているのが可哀想だ。
私は、この日に名前をつけたい!
目立つ存在の側にいて、自分は脚光を浴びずに黙々と動く。
普通と特別の真ん中の位置にいて、クッションや橋渡しになってくれる。
計画性が十分に発揮できれば、全体にいい効果が生まれる。
要の役割がなくなってしまうと、だらけて楽な方へ流れてしまう……。
その時、私の記憶の扉が開いた。
「あ、副部長のあやかちゃんだ。」
 
彼女は、私の中学の演劇部で副部長をやっていた。
副部長、のあだ名がぴったりな子だった。
おとなしいけれど、情熱のある子で、準備や人の嫌がる地道な作業も黙々とやっていた。
普通の演劇部員と部長、先生の間をよく取り持っていたし、後輩の話も親身になってきいていた。
目立つ子がサボったりしてもなぜか許される中で、その子の分までフォローし、盛り上げていた。そうして作り上げた演劇部の定期公演は、人気のイベントだった。
しかし、ある時。いろいろな我慢が限界にきたのだろう、彼女は演劇部をやめてしまった。
大切な存在を失った演劇部は、しゃべって遊ぶだけの部活になり、内部分裂を起こし廃部になった。
演劇部と副部長を外から見ていて、あの子は目立たないけれど色々とやってのける重要なフィクサーだったんだ、と当時の私は強く思った。
20年近く会ってないけれど、急に私の脳内に現れた副部長に敬意を表して、私は12月30日を「副部長の日」と呼びたい。
 
 
さて、もうすぐ年末がやってくる。
あなたの側にも必ず副部長がいる。絶対にいて、あなたの味方になってくれる。
ぜひ副部長の才能を発揮してもらって、気持ちのいい一年のスタートを切ってもらえたら、私は嬉しい。くれぐれも副部長を裏切るようなことはしないように……。
 
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2018-12-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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