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夢が叶うよ! 春分の日お宝マップ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:吉田けい (ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
目の前には、満員の観客。
綺麗な衣装と、ばっちりのヘア、メイク。
きらきら輝く照明とスポットライトを浴びて、自慢の歌声を披露する……。
 
誰しも、そんなことを一度は夢見たことがあるだろう。夢物語だ、叶うはずがない、と諦めてしまうような壮大な夢。
 
そんな夢を叶える方法があると知ったら、貴方は実践するだろうか?
私は、「春分の日のお宝マップ」で、そんな途方もない夢を叶えることができた。
 
 
十年前、まだ夫と出会っていない私は、不毛な恋愛にハマり、仕事に行き詰まり、占い大好き女子になっていた。占いをすると、自分の未来を覗いているようで、漠然とした不安が薄れるような気がしたのだ。ある日、お気に入りの先生が運営するブログを読んでいると、気になる言葉があった。
 
「そろそろ春分の日が近いので、宝物マップの準備を」
 
宝物マップ?
なんだろう、知らないな。
 
「春分の日 宝物マップ」で検索すると、関連する情報をたくさん見つかった。曰く、春分の日は、占星術における新年が始まる日。そのパワーに乗せて、自分がなりたい未来のイメージを宝物マップとして描くと、夢が叶うのだという。
 
具体的には、憧れる人や、素敵だと思うものの写真などをスクラップしておいて、春分の日以降の最初の新月に、一枚のボードにコラージュし、飾っておく、というものだった。新月は叶えたい夢を願うのにぴったりのパワーを持ち、春分の日以降の最初の新月はそのパワーが最大化しているとのことだ。
 
大切なのは、そのボードを眺めると、ワクワク楽しい気持ちになること。
 
なにこれ、素敵!
春分の日以降の最初の新月、と日付が限定されているのも、秘密の占いっぽくて素敵!
 
すぐに気に入った私は、来る日に備えてうきうきとスクラップをはじめた。
 
「簿記の試験に合格したい!」
「結婚して可愛い赤ちゃんがほしい」
「いつかどこかで歌を歌いたいなあ……」
「女子ハイジャンプの選手ってカッコいいな……」
 
宝物マップを作ることを意識すると、雑誌にもテレビにもインターネットにも、素敵なもので溢れていた。スクラップは山のようにたまり、いざ宝物マップを作成する時に、写真を選別するのにとても苦労した。その甲斐あって、眺めていると心がウキウキ弾むような素敵な仕上がりとなった。
 
「これで夢が叶うのかなあ。楽しみだなあ」
 
マップは一人暮らしの自宅のテレビの上あたりに貼り付けたので、否が応でも視界に入る。眺めていると、なんだか夢が叶って人生が好転していくような気がして気分が良かった。
 
それから、春分の日お宝マップの作成は、私の毎年の恒例行事となった。一人で作った年もあったし、友人に声をかけてワークショップのように一緒に作った年もあった。スクラップする気力がない年は、画像をスマホのフォルダに入れておくことにした。
 
未来のビジョンを明確にして、それを時々見返すという手法は、占いには関係のない中長期ビジョンや目標管理でも取り入れられている。私はこちらにも興味を持ち、フランクリンプランナーなど有名なものをいくつか実践してみていた。漠然と時を過ごして、あの時こうしていれば、と後悔することがとても怖かったからだ。
 
しかし、目標を定め、明日の行動までブレイクダウンしていく過程で、どうにも息苦しい心地がして、長く続かなかった。気が散りやすい私はやりたいことが多すぎて、中長期目標が山盛りになり、それをブレイクダウンすると毎日のタスクが猛烈な量になってしまったからだ。やりたいことを減らす、という発想がまだなかったのも致命的だった。
 
その点、春分の日お宝マップは、ただただ自分の夢をコラージュしていくだけなので気楽だった。あれこれ深く考えず、素敵だなと思ったもの、ワクワクするものを集めていくのは本当に楽しい。そうして集まったスクラップを見ていて、好きなものを新たに発見したり、好きだったはずのものに心が躍らず、好みや価値観が変化したことに気づいたりすることも大切なプロセスだった。
 
気づけば、目標管理はせいぜい月間目標と年間の抱負を決めるくらいになった。やりたいことをなんでもかんでも目標にしないで、いつかできたらいいなと気楽に構えるようになったからだ。また、未来についてワクワクするので、不安を感じて先を覗きたいとも思わなくなり、占いも時々思い出して星占いを読む程度に落ち着いた。
 
何より、過去のマップを眺めて、「夢が叶ってる!」と発見するのが一番楽しい。仕事や住居、結婚など、様々な分野の夢が大小いろいろと叶っている。つい先日の12月2日も、夢が一つ叶った。
 
大きなステージで、スポットライトを浴びて歌を披露する、という夢。
12月2日、私は市が開催する「やまとde紅白歌合戦」で、大トリ歌手として石川さゆりさんの「津軽海峡冬景色」を熱唱したのである!
 
春分の日お宝マップでは、毎年のようにステージで歌う歌手の写真を入れていた。マップを眺めて時々思い出していたから、出場者募集のお知らせを見た時に、応募してみよう、と勇気を出すことが出来た。でも当選の電話が来た時は腰を抜かした。本番はとても緊張したが、最高の音響と最高の演出を背負って歌うのはやっぱり最高だった! ヒャッホー! 
 
思えば、天狼院ライティング・ゼミに申し込んだのも、物書きになりたいと原稿用紙の画像をマップに入れたことの影響なのかもしれない。
 
来年の「春分の日以降の最初の新月」は、2019年4月5日(金)だ。私はもちろんマップ作成する。次の夢を何にするのか、今からスクラップを探すのが楽しみだ。

 
 
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2018-12-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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