メディアグランプリ

スマートなお会計ができる女になりたい


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記事:斎藤多紀(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
先日、私よりも一回り以上年下の男性とバーで飲んだ。3時間ほど飲んで、そろそろ帰ろうかということになり、お会計をすることになった。彼のほうがかなり年下だし、私のほうがたくさんお酒を飲んだので、ここは私が奢るのがいいのではないか。私はそう勝手に判断して、バーテンダーさんにいくらか聞いて、さっさとお金を払ってしまった。しかし、一緒に飲んだ彼はそれが不満だったらしい。お店を出て帰る途中、3回くらい、
「僕もお金出します」
と言われたが、私は受け取ろうとはしなかった。実は私にはある下心が浮かんでいた。今回彼に奢っておけば、「次は僕に奢らせてください」と言ってくれるのではないかと思ったのだ。つまり、次また一緒に飲むきっかけになるのではないかと思ったのだが、その目論見は失敗だった。なぜなら、
「また一緒に飲みましょうよ」
と私が言ったら、彼の返事は
「機会があれば」
だったのだ。これは完全に「次はない」という彼の意志表示だろう。私は駆け引きに失敗した。飲んでいる間はとても楽しかったのだが、お会計を済ませた後、彼はちょっと不機嫌そうだった。やはり、女性にお金を払ってもらったというのが気に食わなかったのだろうか。私は彼のメンツをつぶしてしまったのかもしれない。割り勘、あるいは自分の飲んだ分だけ払うとかの方がよかったのだろうか。
確かに、女性誌などの恋愛テクニック特集では、お会計のときに男性を立てるようにと書いてある。たとえば、テーブルの下でこっそり男性にお金を渡し、レジで男性がさも奢っているように見られるようにするのが、女性がするべき気遣いなのだとか。正直言って、そこまでするのは面倒くさい。どちらがどれだけ飲食代を負担するのかは相手との関係性にもよる。そのあたりの空気をきっちり読んで、スマートにお会計ができれば、いい女だと思われて次につながるのかもしれない。冷静になってそう考えたら、私はダメダメ女だなあと思った。
 
いろいろなお店やスクールなどで、初回0円お試しコースというのがある。たとえば、英会話教室やエステサロンなどで、よく見る販促方法だ。タダで試せるのなら、ちょっとやってみようかなと思う人は多いだろう。しかし、0円のコースだけで終わってしまったら、お店側は何にもならない。だから、0円コースで来たお客様には、あれこれオススメして正規のコースへと入ってもらう算段になっているのだ。
私が一緒に飲んだ彼に対してした行為は、この0円コース手法に似ていたのかもしれない。初回の彼の飲み代を0円にすることで、私と飲んだお得感を持ってもらおうとしたのだ。しかし、私の場合はこれが逆に彼にプレッシャーを与えることになってしまった。タダほど高いものはない! 早くこの女から逃げなくては! 彼をそんな気持ちにさせてしまったのかもしれない。
 
では、私が逆の立場だったらどうだろうか。過去に男性と飲みに行って、奢ってもらったことはある。しかし、その人たちは私よりもかなり年上で、経済力も十分にある人だった。だから、遠慮なく奢ってもらっていた。一応レジでお財布は出すが、
「ここはいいよ」「ごちそうするよ」
という言葉に、何の疑問も抱かずに、
「ごちそうさまです」
と言っていた。毎回奢ってもらっていたが、何か見返りを期待されることもなかった。私のように、下心があるわけではなかったのだ。
 
冒頭の彼からは、飲んだ翌日
「ごちそうさまでした」
とメールがきた。どうせこれっきりなのだからと思いダメもとで、
「また誘ってもいいですか?」
と返信してみた。そうしたら、
「もちろんです。また飲みましょう!」
という返事がきたので、私は小躍りしてしまった。社交辞令かもしれないけれど、絶対にまた誘おうという気になった。次は割り勘にしよう。ちゃんと細かいお金が出せるよう、小銭や千円札をたくさんお財布に入れていこう。そして、自分ばっかり飲み過ぎないように、彼の飲むペースに合わせよう。そんな風に気遣いをする意欲が出てきた。今度こそスマートでキレイなお会計をして、彼と気まずいムードにならないように気をつけようと思う。
 
基本的に、デートがうまく行くにはお互いに尊重し合うことが必要だ。女がお金を出すような関係性が日常化していくと、その男性の成長を止めてしまうのかもしれない。男性にとって、女性からかっこよく見られたいと思うプライドや責任感は、向上心を育て、成長していくうえで大事なことなのだから。それを思わせない女になってしまったら、いい関係は築けないだろう。お互いが気持ちよい関係を続けられるように、自分が相手に喜んでもらうことを心がけていきたい。そうすれば、1回飲んだだけで終わりということにはならないのだと思う。0円体験コースなんて、こざかしいことはもう止めることにする。

 
 
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2018-12-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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