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茶道は現代日本人に必要な嗜みになると思う


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記事:月岡カツヒロ(ライティング・ゼミ平日コース 2018年10月開講)
 
 
遠いむかし、僕がまだ若い頃。男性と女性が出会いか何かを求めて集まる会合によく行っていた時期がある。僕には鉄板ネタが2つあって、そのネタさえあれば、初回のツカミはばっちりだったし、なんなら1時間くらいは場を盛り上げることもできた。
 
「趣味ってなんですか?」
 
お決まりの質問すぎて、自分にさしたる趣味もなければ、なんとなくやり過ごしてしまっている男性諸君も多いと思う。僕も20代前半はそんな感じだった。よくいる普通の、なんら特徴のない20代のお兄さんだった。
 
当時はフットサルなんかをやってたりもしたが、サッカーや野球などのスポーツ系を趣味と言ってしまう男性は多い。女性陣がスポーツバリバリのアクティブ女子なら食いついてくれると思うが、実際そんなに多くない。当然のようにサッカー日本代表選手の話題をふってみても、有名選手名ですらピンとこない場合もあるだろう。
 
そこで「茶道」だ。
茶道を嗜んでいれば、会話の広がりは無限である。会合でのメリット満載、てんこ盛りだ。僕の鉄板ネタの1つはこれだった。
 
まず、茶道人口は少ないので「レア感」を演出できる。普段生活していて、茶道をやっている人に出会ったことがあるだろうか? 高校時代に茶道部だった女子に会うことが、たまにあるくらいだろう。さらに男子ということになると、出会う確率は宝くじで100万円当たるくらいに低い。僕は茶道を初めて10年近く経つが、同門のお茶会で同年代くらいの男子に会ったためしがない。というか、男子といえばほとんど初老の先輩方ばかり。この時点でほかの男性諸君との差別化ができる。
 
そして、そうしたレアな趣味をもっていると、必ずといっていいほどこう質問される。「なんで始めたのですか?」と。社交辞令みたいなものだが、会話のキッカケとしては十分すぎるネタだろう。ただし、決して「モテるためだ」などと言わないでほしい(笑)ここは、茶道の魅力や出会いについて語るべきだ。
 
さらには、茶道の中では「所作」を気にすることが多い。車が買えそうに高価な茶碗もあれば、歴史上にでてくる偉人に由緒ある茶道具がでてくることもある。茶道の稽古ではその道具たちを丁寧に、安全に、慎重に扱うための所作を徹底的に叩き込まれるのだ。道具を扱う様子(さま)も茶道を構成する要素の1つ。この所作の訓練により、自身の普段の所作まで影響を受ける。「所作がきれい」「姿勢がいい」と言われたことは一度や二度ではない。「茶道をやっていると言ったからではないか」と訝ることも無きにしもあらずだが、なんにせよ印象はよくなること請け合いだ。
 
もっと言うと、茶道は相手が女性だけでなく、男性であってもコミュニケーションの潤滑油になる。特に年上の男性との会話にはもってこいだ。茶道は、日本の歴史と密接に関係している。ご存じないかもしれないが、かの有名な織田信長や豊臣秀吉、徳川家康なども茶に興じたと言われている。豊臣秀吉が大きな茶会を開いたことは教科書にも出ていたんじゃなかろうか。本気で茶道にのめり込みだすと、このあたりの歴史的背景まで詳しくなってくる。
 
あなたがビジネスパーソンであれば、接待などでお客様のお偉方を会食に招くこともあるだろう。その場での会話に困ったことはないだろうか。茶道の話と歴史を絡めて語ることができれば、ツカミはOK。相手が経営に近いところで仕事をされているのであれば、歴史好きな男性が多いと思われる。経営やマネジメントは歴史に学ぶことが多い。明治以降の近代史あたりが好きな方もいるが、信長を知らない人はいないだろう。茶道を趣味とするような若者に興味をもってくれることも多いと思う。
 
と、茶道のメリットについてお伝えしてきたのだが、この話を読んだら、僕の茶道の先生には怒らてしまいそうなので、最後に言い訳をしておきたい。
 
これまでお伝えしてきたメリットのようなものは、茶道に真摯に向き合ってきた結果、偶然生み出されたものだと思っている。僕が茶道を始めたのは、女性にモテるためでも、接待のためでもない。
 
世界はインターネットをはじめとしたテクノロジーの発達によって、ボーダーレスになった。瞬時に地球の裏側と連絡をとることができるのが当たり前だ。それに伴って、日本企業ではグローバル人材の重要性も叫ばれることも増え、その育成のためか英語を社内公用語にする企業も多くなった。
 
ただ、グローバルな人材の育成のためには、僕の少ない海外経験から考えるに、日本人としての矜持のようなものが一番大事なのではと思うのだ。自身の国の歴史を知り、それを誇りに思える「心」と言えば分かりやすいだろうか。最近では、海外の友人が自分より日本の歴史に詳しいなんてこともある。事実、僕の茶道の先生の一番弟子は、ドイツ人だ。彼のドイツの自宅には畳が導入されており、掛け軸をかけて、友人に抹茶を振る舞っているそうだ。多くの日本人より、異国の友人たちのほうが日本に詳しい。これでは異文化コミュニケーションが成り立たないと思う。自分の国の歴史や文化を理解してこそ、相手の国の文化や思想、その他諸々への深い理解と円滑なコミュニケーションが生まれるのではないだろうか。そのキッカケとなるであろう「茶道」。これはもう現代日本人の必須の嗜みになる、と言いたい。
 
「茶道」だけが日本文化だと言うつもりはないのだが、何か「道(みち)」がつくものを身に着けてみてはいかがだろうか。
 
それでも茶道をオススメするのは、剣道や柔道のように痛いことはない(正座で足が痺れることはある)し、歴史的背景もマンガになっていたりして身近に感じやすいし、毎回美味しい和菓子までいただける、「道」だからだ。ぜひ一度、駒込「六義園」や浜松町「浜の離宮」内で、抹茶と和菓子セットをいただきながら日本庭園を眺め、歴史に思いを馳せる静かな時間を過ごしてみてほしい。
 
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2018-12-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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