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メディアグランプリ

子どもは尊く、そして邪悪だ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:玉井多映子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
毎日毎日、子どもと向き合ってみる。
家の中に大人は私一人しかいない。対して子どもは2人いる。それぞれに、いつでも泣き出す準備はできている。ちょっとした些細なことで、悲しみとも痛みともわからない涙を流し、わんわんと泣きながら私に近寄ってくる。子どもは尊く、そして邪悪だ。
 
「子どもが、一人遊びをしてくれたらいいのに」
こう感じている親は、きっと多いことだろう。私もその一人だ。
 
だから、毎日毎日、子どもと向き合ってみる。
どんな環境があれば、子どもたちが自ら、安心して遊んでくれるのであろか。
私たち大人が、家庭の中で努めるべき役目はなんなのであろうか。
 
人間は習慣の生き物だと言われている。もちろん子どももだ。子どもたちは、まだこの世に生まれて数年の未熟な存在である。大人のように、全てを自分の自由意志で叶えることはできない。だからまわりの大人が、子どもたちにより良い習慣を身につけさせるべく、環境を整え、生活リズムを整えてあげる必要がある。
 
生活リズム。そう、リズムなのである。それは時間割ではない。特に幼い子どもたちのリズムは、時間割のように、きちんきちんと区切られるものではなく、収縮と拡散を繰り返しながら、朝の目覚めから夜の就寝までの間、緩やかに、時に激しく、連なっていくリズムなのである。
 
生活リズムを構成するのは1つ1つの家事。家事は、まるで様々な楽器で奏でるオーケストラのように、いくつもの要素が重なり合っている。そして、私たち大人は、オーケストラの指揮者のように、それぞれの楽器の出番を見極め、タクトを振り、リズムを作り出す。目指すは、子どもたちにとって快適で、大人にとってより効率的なリズムだ。
 
子どもが生まれた時から、名前で呼び合っていた夫婦がお互いを「パパ」「ママ」と呼び始め、夫婦の両親は「おじいちゃん」「おばあちゃん」に、子どもが一人増えれば、先に生まれた子は「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」になる。呼び方はいつも、一番小さい人に合わせて設定されていく。
 
では、家事はどうか。
家事を一番小さい人に合わせて設定している家庭はほとんどない。家事は子どもが寝ている時にやるものとしている家庭も多いはずだ。子どもが起きている時では、家事に時間がかかり、いつまでたっても終わらない。確かにその通りだ。
ただ、思い出してほしい。人間は習慣の生き物で、子どもには生活リズムが大切だということを。子どもは、大人の行動を見て、人間らしい生活を習得していく。この生活リズムを構成するものが、家事なのではないか。そう考えると「家事は生きる力」だとすら感じる。
 
このことに気づいた私は、できるだけ家事は子どもが起きている時にやるようになった。私は、子どもたちに「家事」を伝え、身につけさせる必要があると考えたからだ。それが結果的により良い生活リズムを整えることにつながるだけでなく、子どもの情緒を安定させ、冒頭に述べた「一人遊び」を始める手助けになるとしたら、やらない手はない。
 
では、家事を一番小さい人に合わせて設定するとは、どういうことだろうか。小さい子どもたちは、「いつも同じであること」に安心を覚えると言われている。自分がご飯を食べる場所、お昼寝の場所、おもちゃが置いてある場所、これらが全て、毎日違う場所だったら、さぞかし子どもたちは混乱することだろう。最低限、小さい子ども達が直接関わる行動に関しては、同じ場所で行わせた方がよい。
 
幼稚園や保育園で、子ども達が自らおもちゃを出し、そして片付ける姿を見て、「家ではやらないのに」と感心したことがある人は多いのではないだろうか。お昼寝も同じだ。保育園では寝かしつけをすることなく、お昼寝をして帰ってくる子どもを見て、「先生はどんな魔法を使っているのか」と感じたことはないだろうか。これがまさに習慣の力、生活リズムの賜物なのである。
 
子どもが直接関わる行動に関しての習慣化ができたら、その範囲を広げて、一つ一つの家事を習慣化していく。ご飯の支度は台所、という当たり前のことも一つの習慣だ。洗濯物を干す時はこの場所で、掃除機をかける時はここから始めよう、アイロンがけはこの場所で、というように、一つ一つの家事を行う場所、流れを見せる。すると子どもは、「あぁ、これね」「いつものやつか」という具合に見慣れてきて、徐々に安心して一人遊びができるようになるのだ。
 
もちろん、個人差はあるし、その時々の状況によって、毎日子どもも違うので、全戦全勝とはいかない。でも、子どもたちの習慣の力を信じ、子どもたちにとって快適で、大人にとってより効率的なリズムを導き出せる指揮者になること。「家事」という多岐にわたる行動を俯瞰し、一つの流れを作り出すことができれば、突発的な出来事にも、丁寧に対応できるのではないだろうか。
 
そんなことを考えながら、これからも毎日毎日、子どもと向き合ってみる。子どもは尊く、そして邪悪だ。でも、その邪悪さすら愛おしく、いずれ宝物のように思い出すだろう。
 
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2018-12-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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