旅は道連れと言うけれど、一人だって悪いものではない
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記事:宮嶋周一郎(ライティング・ゼミ木曜コース)
「平成最後の年越しだ」
2018年の終わりは、東京天狼院で迎えさせてもらった。
年越し前に、誰からともなく平成最後というキャッチフレーズをたくさん聞いたねと話題になった。
確かに、平成最後のというキャッチフレーズが出尽くした年だった気がする。
平成も30年まであったことを考えると、30年という月日はなかなか長かったなと思う。
30年あれば、赤ん坊でもいい大人になっている。
そして、平成最後の正月は、毎年恒例となった一人旅を決行することにした。
毎年、年始になると一人旅を行うのも、もう始めて四年目だろうか。
基本旅行好きな私だが、年始に行うこの一人旅は意味がある。
それは一年の振り返りと始まった年の目標を立てることだ。
「真面目だねぇ」
そう他人から言われてしまったことはあるが、別に真面目ではなく、これがなかなか楽しいのだ。
しかも、旅行なので好きな土地で解放された状態で行うということだ。
さて、今回目的としたのは長野県の諏訪大社に行くことにした。
知り合いの方に諏訪出身の方がいて、温泉もあって旅行にいいと教えてくれたのがキッカケだ。
長野で諏訪大社に参拝し、温泉に入り、ゆっくり考える。
そう、今回の年始はそうしようと決めた。
年始の長野は、やはり東京より寒かった。雪も残っており、雪道を徒歩で諏訪大社に向かうことになってしまった。今年の東京では味わえない雪道だったが、それも楽しかった。
参拝を終え、ホテルにチェックインして、温泉に入る。
そう、この旅行のもう一つのメインは温泉に入ることでもあるのだ。
温泉も土地によって質が変わり、それぞれの温泉の良さを味わうのもまた楽しい。
温泉でも去年の振り返りと今年の展望を考える。
贅沢な時間だと思う。忙しい現代社会で、のんびりと時間を使えることは、非常に贅沢をしている気分になる。
温泉から出て、寝て、あっという間に一日が終わり、一泊二日の旅も終わる。
一泊二日なので、あっという間に終わる。
あっさりと終わるが、この旅がやめられないのだ。
なぜなら、目的がどこに向かおうが、旅とはよいものだ。
知らない土地、名所、食事、人に触れあうだけで、日常から解放される気分を味わえる。
私が旅を好きなのは、この解放感が好きだからなのかもしれない。
普段私達は多かれ少なかれ、社会から抑圧されて、生きている。
人間関係、規則、様々なしがらみの中で生活をしている。
そのしがらみがなくなってしまったら、それはそれで問題が起きる。
必要なしがらみであり、必要なルールというカゴの中に入っている。
でも、時々そのカゴの中から解放されたくなるときがあるのだ。
私にとって旅は、カゴの中の鳥がカゴから出て、自由に空を飛ぶようなものだ。
だから、この素敵な解放感を感じるのだろう。
別に一人旅ではなくても、旅行ならばこの解放感は味わえると思う。
でも、あえて一人旅という選択肢もありだと思うのだ。
一人ではわからないことも誰かとだったら理解できる、共有できる。
その楽しさもある。
でも、一人だからこそ、見えるもの、感じるもの、考えることもある。
それを考えたくて、私は年に一度、年の始まりにこの一人旅を行っている。
特に、今年は平成最後の年明けとなった。
新しい元号にもなり、これから社会はどうなっていくのか、自分はどうなっていくのか、人間関係の悩み、仕事の悩み、未来への展望、色々な想いがあって、新年を迎えると思う。
でも、これが平成最後であろうが、新しい元号が始まっても、やること、やれることは変わらない。
また新たなルールができるかもしれない、カゴの中はさらに窮屈なものになり、閉塞感が漂うかもしれない。やはり人は、カゴの中にいると疲れてしまい、息苦しさを感じるものだと思う。
確かにずっと空を自由に飛び回っているだけではいけないかもしれない。でも、たまには大空を飛び回ることが必要だ。
飛び回って、カゴの中に戻って、ルールを守って生きていく。
そういうものだと思って、私は一人旅をこれからも続けていくだろう。
一人でなくても誰かとの旅行も楽しいし、解放されるだろう。
でも、もし一人になりたいなと思うときがあったら、一人旅という選択肢もあるのだと思ってもらえればと思う。
一人でなんのしがらみもなく、旅の解放感を味わってほしい。
そうすれば、一人旅も案外悪いものではないと思うだろうから。
さて、来年はどこへ行こうか。
早くもそう考えるのも、楽しい。
でも、まずは新しい元号の年をしっかり生きなければ。
どういう年になるかはわからないけれど、自由な気持ちで過ごせる年にしていこう。
それこそまさに、自由に飛び回る鳥のように。
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