子どもの気持ちを理解しようとする姿勢が、関係を深める
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:森高 正義(ライティング・ゼミ土曜コース)
「うちの子、もう小学校3年生になるんですけど、全然言うこと聞かなくって」
「素直に言うことを聞いてくれる、魔法の言葉があればいいのにね」
近所に住むお母さん達により、年明け早々『2019年《第1回》井戸端会議』が開催され、そこでは白熱した討論が繰り広げられていました。
きっと冬休みに色々なことがあったんでしょう。
クリスマス前になんとかプレゼント候補を聞き出したと思ったら、当日「サンタさんへのお手紙」には別の物が欲しいなんて書いてあったり。そこからバタバタの年末年始。そりゃあ、会議も盛り上がるはずです。
「子どもが素直に言うことを聞いてくれる魔法の言葉か……。あるにはあるんだよなぁ」
そんなことを考えながら、コンビニでパンを買って家に帰りました。
僕自身、これまで数年間に渡って日本と海外で教師をやっていたこともあって、「教育」と「子育て」というテーマはめちゃくちゃ大好物です。独身男性にも関わらず、子育て系の番組をメモを取りながら観るレベルで。
最近はなかなか相手がいないので、よく「ひとり会議」をしています。
せっかくなので、今日は『子どもへの言葉かけ』について考えてみます。
ちなみに、今回は『子ども』の対象を「0〜9歳まで」と定義。
なぜかと言うと、9歳までと10歳以降では、精神的な発達の関係で、コミュニケーション方法が180度近く変わってくるからなんです。なので、今回は低学年への言葉かけを考えてみます。
僕はいつも思うんです、「コミュニケーションとは、思いやり」だと。
なぜなら、どちらも相手を理解しようとする姿勢が大切だと思うからです。
社会人2年目のとき、ご縁あって、東京のとある有名学習塾で学ばせてことになりました。しかも、当時憧れていた、メディアで目にしていた先生の授業に入らせてもらえるという奇跡。
その時に、徹底的に教え込まれたのが「子どもの気持ちの理解」でした。
実は、子どもの気持ちを理解した上でコミュニケーションを取ると、自分が伝えたいことも伝わりやすくなり、すごくスムーズに物事が進むようになるんです。
例えば、「お片づけをして欲しい」「お手伝いをして欲しい」という時なんて、効果抜群。
何も言われなくても、自分から進んで動いてくれるようになります。
今でこそ一番大切にしているものではありますが、当時は目からウロコでした。
なぜなら、当時は「教師として、こうあらねば!」という思いが強く、「自分が望むゴールに辿り着くように、どう子どもをコントロールするか?」という考えになってしまっていたからです。
「ちゃんと〇〇しなさい!」
「なんで〇〇しないの?」
こんな感じの言葉を発することがよくありました。言うことを聞かせようとして、ついつい命令口調になることも多々。もうね、思いやりもクソもない。でも、当時はそれしかできなかったんです。知らなかったから。
その時の悩みは、「子どもが言うことを聞いてくれない」でした。
「子どもの気持ちの理解が大切」と頭では理解していても、気づけば自分の希望通りになるように誘導的になってしまったりして、当初はなかなか上手くいきませんでした。
そんな時に出会ったのが、担当していたクラスに新しくやってきた小学3年生の女の子「Nちゃん」でした。
Nちゃんを一言で表すなら「スーパー気分屋さん」。
少しでも機嫌を損ねてしまうと、こちらの言うことを何も聞かなくなります。
「どうやったら、Nちゃんの機嫌を損ねずに教材に取り組んでもらえるか?」
毎回の授業で、いつもそのことを考えながらNちゃんと接していました。
ですが、毎回毎回、思うようにいかないんです……。
この時、僕は内心、めちゃくちゃ焦っていました。
研修に来る前までは、高校受験を控えた中学3年生を相手にすることがほとんどでした。
会話は成り立つし、上下関係等もしっかりと分かっている年齢。それが今までの相手でした。
しかし今、目の前にいるのは、これまでやってきたことが通じない未知の存在。
小3女子。
毎回のように、授業後はひとり反省会をやっていました。
ある日、同じようにNちゃんとの関わりが上手くいかず、ひとり反省会をしながら片付けをしていたとき、教室に電話の音が響きました。Nちゃんのお母さんからでした。
色んなお話をしている中で、お母さんからこう言われました。
「Nが、家でいつも先生のことを話してくれてるんですよ。すごく気に入ってる様子で!」
思ってもいなかった突然の言葉に驚き、そして思いました。
ああ、僕は今までNちゃんの何を見ていたんだろう……?
「ちゃんとテキストの問題に取り組ませよう」
「学校でわからない問題がないようにしよう」
どれも、自分が一方的に思っていたことばかり。良かれと思ってやっていることに、どれも一番重要な「Nちゃんはどうしたいか?」が入っていなかったことに気づきました。
次の授業の日。
僕が決めていたことは一つ。
「Nちゃんのことを、よく見よう」
その日、今まで何をやっていたんだろうかと思うくらい、Nちゃんとのコミュニケーションが弾みました。Nちゃんは、色んなことを話してくれました。
「周りの友達に自分のできないところを見せたくなくて、わがままなフリをしてた」
「本当は頑張りたいけど、難しいところが多くてわからない」
「わからないところを質問するのが恥ずかしかった」
などなど。
すでに2ヶ月近く経っていたにも関わらず、初めて聞く話ばかり。
いかに自分が、Nちゃんのことを見ていなかったかを思い知りました。
その日を境に、Nちゃんが気分次第で問題をやったりやらなかったりはなくなり、わからない問題があっても、一生懸命に取り組むようになりました。
この時初めて「子どもの気持ちを理解する」ことの大切さを体験的に学びました。
今では、
「今、どんな気持ちなのか?」
「表面的に見えているのは本当の姿か?」
「本当は何を求めているか?」
というようなことが、自然と見えるようになったものの、
「自分の主観で決めつけていないか?」
「自分のフィルターを通して見ていないか?」
と、常に意識をするようにしています。
冒頭の話に戻ると、「子どもが素直に言うことを聞いてくれる魔法の言葉」は、ノウハウとしては確かに存在します。ですが、子どもの気持ちを理解する姿勢が前提としてなければ、逆効果になることもあります。
「素直に言うことを聞く」というのは、双方の間に信頼関係があってこそ。
「子どもは、親の鏡」という言葉もあるように、子どもが言うことを聞かないときは、何かしら自分の対応に原因がないか?と見つめ直すことのできるチャンスです。
僕自身、子どもと関わる機会が多いからこそ、より一層自分の言動をしっかりと見つめていきたいと思います。
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